●ん
「な、に、ぬ、ね、の」がほとんど「ん」になる。
「ん」なんて目立つだろうが、そんな名前の場所はない。
●…ん
「…ない」の方言で非常によく出てくる。東日本では「書かない」と言うが、西日本では「書かん」。こうした「言葉の東西対立」の境界線が、富山県あたりにある。例:「知らん」。
●…ん
「ん」は否定にも使われるが肯定にも使われる【からややこしい】。『方言文法全国地図』第1集第16図には岩手から東北北部・関東、近畿、大分などで富山にはないことになっているが、使う。「有る」は「あん」、「壊れる」を「壊れん」と撥音便化する。どういうことになるかというと「食べん¬がけ、食べんが¬け」(食べるのですか、食べないのですか?)となる。例:「お金、どこにあんがね、出されま」(お金はどこにあるのですか、お出しなさい)・「そんなおうどな使い方すっから壊れんがやねけ」(そんな乱暴な使い方をするから壊れるのじゃないですか)。
●…んか
「…ないの?」。富山には否定的な表現が多いのである。国立国語研究所の調査では親しい友達から「酒を飲むか」と聞かれて「もちろん飲むよ」と答える時の「飲むよ」の表現は、全国の大部分がノムヨ、ノムサ、ノムトモ、ノムゾ、ノムデなどのようにノムに文末詞が付いた形であるが、反語的表現も見られるという。ノマンジャサー(静岡県浜名郡)、ノマンジャ(愛知県各地)、ノマンカ(富山県各地)、ノマイデカ(大阪府・徳島県海部郡)、ノマイデヨ(和歌山県各地)、ノマイジャ(高知県各地)、ノマイ(鹿児島県曽於郡)、ノマジャコテ(熊本県菊池郡)、ノマンバコテ(熊本県人吉市)があり、反語的強調表現は富山・静岡県西部より西、すなわち、東西方言の大境界である糸魚川・浜名湖線以西の地域に分布する(参照・佐藤亮一『生きている日本の方言』新日本出版社)。例:「菜、食べられんか」(おかずを食べないのですか)。
●…んが
難しい言葉で肯定にも否定にも使う。「ご飯、食べんがけ?」と下がるようにいうと、「食べるのですか?」だし、イントネーションを上げていうと「食べないのですか?」になる。
●…んがぁ
「…ないのですか?」。例:「起っきんがぁ」(起きないのですか)・「せんがぁ」(しないのですか)・「立たんがぁ」(立たないのですか)・「行かんがぁ」(行かないのですか)など。
●…んがけ?
「…ないのですか?」でよく使う。例:「はよう、せんがけ?」(早くしないのですか)・「食べんがけ?」(食べないのですか)。
●…んちゃ
アラレちゃんではない。「ない」が「ん」になり、「です」が「ちゃ」になるので、富山の人は「んちゃ」で終わることが多い。
●…んな
「…ないように」。例:「そんなことせんなまぁ」(そんなことしないで)。
●…んまい
「…しよう」と「…しないだろう」という意味がある。例:「食べんまいけ」(食べましょうかね)・「あんた、絶対にオラの文章、読まんまい」(あなたは絶対に僕の文章は読まないだろう)。
●んまい
「うまい」。例:「か、何ちゅー、んっまい酒け」(これは何というおいしいお酒だろう)。
●んまそうな〜うまそうな
「うまそうな」つまり、「まるまると太った」(赤ちゃん)。「美し(うまし)」からで金沢などでも使う。例:「か、なんちゅうー、うっまそうな子やろかいね」と言って食べるのが正しいマナー。
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