症候群・シンドローム
心と体と社会の病理
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行
ま行 や行 ら行 わ行 その他........................Out, out,brief candle!
Life's but a walking shadow, a poor player,
That struts and frets his hour upon the stage,
And then is heard no more. It is a tale
Told by an idiot, full of sound and fury.
Signifying nothing.
(Macbeth V.v.23-28)
最近、何でも「症候群」とか「シンドローム」と名付けたがる傾向がある。「何でも症候群」という、一つの症候群が見られる。
初めて「症候群」という言葉を知ったのは筒井康隆の小説だった。これに「コルサコフ症候群」というのが出てきて、「症候」だけでなく「群」というのが目新しかった。
「症候群」(「症状群」とも)について『岩波国語辞典』は次のように記述。
はっきりした原因は不明だが、いつも必ず幾つかの症状が伴ってあらわれる時、病名に準じて使う医学用語。シンドローム。
“syndrome”(稀に“syndrom”とも)の意味は『研究社英和中辞典』によれば次の通りである。
1a 【医】 症候群、シンドローム。b 病的現象。
2 同時に発生する一連のもの[事件、 行動]。
3 (一定の)行動様式。
どれだけあるかをちょっと集めてみた。少しは世相を考えることもできるかと思ったからだ。何よりの契機は17歳の度重なる事件であった。世紀末の2000年には京都小学生殺害事件(“てるくはのる”)に続いて、新潟の女性監禁事件の発覚があり、その後、17歳のエリート高校生が「殺人の経験をしてみたかった」と通りがかりの家の主婦を殺害した。これに触発されて、西鉄バスジャック事件が起き、その後、根岸線で乗客をハンマーで殺そうとする事件も起きた。彼らと須磨の小学生殺人事件の14歳だった「酒鬼薔薇聖斗」の3年後の姿だった。
事件の背景を解くとして飛び交ったキーワードを整理してみたかった。
何も僕が作る必要もないのだが、サイードが『知識人とは何か』(平凡社)が述べているようにアマチュアリズムが大切だからだと思ったからだ。医学関係者はこんなホームページは作らないだろうし、社会学者も自分のキーワードに振り回されて、他は見向きもしないだろうからである。
もう一つ、ロラン・バルトは「記号学と医学」(『記号学の冒険』みすず書房)の中で“semiologie”という語はソシュールが使い始めたものだが、リトレなどの辞典には“semiologie”を「徴候学」として認めていて、病気の徴候(signe)を扱う医学の一部門だということを指摘している。だから、「記号論」を名乗るホームページに医学的な内容のものがあっても不思議ではないのである。
ちょっと、というつもりだったが、大量になってしまい、途中で止めたくなった。医学関係の言葉が多く、ホームページも多いので、リンクすることも止めた。説明するのも医学用語が多くて、間違うと大変なので人口に膾炙したもの以外は除いた。20世紀中に作られた用語だと思ってもらえばいい。だから、2007年にブレイクした「メタボリック・シンドローム」などは載っていない。
個人的なものや、単に大好きというだけのものや、勝手に作ったような、一時的な「症候群」は除いた。
例えば、「野田秀樹症候群」という自著があったり、「軽井沢シンドローム」や「クライシスシンドローム」「ドラマチック症候群」「ユーモアけじま症候群」という漫画があったり、「泡沫シンドローム」という歌があったり、「エイリアンシンドローム」というロムカセットがあったり、「美人妻アブノーマルシンドローム」とか「セカンド・バージン症候群」とか「セーラー服欲情症候群」というAVがあるらしいが、省いた。「知識断片丸暗記得点期待型受験生症候群」などというのを考えた人もいたが、除いた。「タイタニック症候群」などあるものが好き、というだけの命名の症候群も抜いた。『「幸福になれない」症候群』などという宗教書?も無視した。
ここではなるべく書物が出ていて「確立」されているものに限ったが、既に死語になっているものもあって日本人の「情報使い捨て病」(小林信彦)が、見えてくる。
外国のことはよく知らないが、日本ほど「症候群」が使われる国はないだろう。恐らく、「〜の方」とか「〜的には」などといって誤魔化すコミュニケーションが得意な日本人に向いていたのである。曖昧さをいっぱい抱え込んだカセット(宝石箱)として働いているのである。
「症候群」とか「シンドローム」という語は(言語学的にいって)「生産的」(productive)なので、どれだけでも作ることができる。
僕もいっぱい考えることができる。「インターネット・シンドローム」(ネットでお金儲けができると信じるバブル的発想)、「メディア依存・シンドローム」(ケータイやネットにしがみつかないと生きていけない)、「二宮金次郎症候群」(ケータイをもって歩く)、「人前キス・シンドローム」(二人の愛情表現よりも社会に認めてほしいという願望が見られる→「視線平気症候群」)、「神の国シンドローム」(失言が止まらない)、「ACシンドローム」(何でも“アダルト・チルドレン”で説明する)「父性シンドローム」(“父性”の欠如で全て説明する)とか、ついでに「勝手にシンドローム」という症状と歌でも作ろうかと思う。
自分の会社や学校の問題や停滞感を「○×シンドローム」というと賢く見えるから恐い。例えば「オバタリアン」というだけでは悪口になるが、「オバタリアン・シンドローム」というといっぱしの評論家になったような気分になる。でも、ちょっと考えると何もいっていないと同じである。批評して芸術家を「天才」だといったら、それで何も説明していないのと同じだ。動物行動を「本能」ですましたら、何も説明していない。「私が相手を殺したのは闘争本能からでした…」なんて。こういうのを“blanket word”ということがある。毛布で全てを覆い隠すようなものだからだ。
山口昌男は『学問の春 <知と遊び>の10講義』(平凡社新書)の中で次のように話しているのだが、他には「タブー」「アニミズム」「パラダイム」などがあるという。ある学問の領域の言葉が他の領域でも使われるものに「エネルギー」とか「ダイナミズム」とか「エントロピー」があるという。
【『ホモ・ルーデンス』の】「ポトラッチの社会学的基礎」というセクションの最後に、「ポトラッチのような術語は、ひとたび科学的用語のなかに受け入れられてしまうと、たちまち符牒にされやすく、人々はこの言葉を使いさえすれば、もうそれである現象の説明がついたように思って議論をやめてしまいがちな、そういう言葉の一つのなのである」(p.142)と書かれている。使いやすくて意味的な根拠がなくなっても使い続けられる言葉を、ブランケット・タームと英語ではな言う。ブランケットというのは毛布だから、何でもくるんじゃうということ。大風呂敷というわけではないんだけれども、ポトラッチにはその恐れがあるということで、ホイジンガは注意を喚起している。
少年非行でさまざまなキーワードが飛び交い、響きと怒りは大きいが、意味するところは何もない。スーザン・ソンタグが『隠喩としての病』(みすず書房)やその後の『エイズとその隠喩』(みすず書房)で説くように様々な病名が隠喩として社会現象に使われている。病気が体をむしばむように、こうした隠喩が人の思考をむしばんでいく。過剰なエイズ予防キャンペーン、例えば、「エイズに用心しよう」とか「知らないと危険」といって宣伝文句はそれがいくら「コンドームを使え」の意味であっても、何度も繰り返されるうちに、別に意味を帯びてくる。治療をすすめる前に、危険な病というイメージだけが先行するのだ。安部公房が「枯れ尾花の時代」というエッセイで指摘しているように「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということがある。勝手に名づけて怖がっていたら、実はその正体はススキだったということが多いのである。専門的にはこうした現象を「パレイドリア」(pareidolia)という。
レッテルを付けるだけでは解決しないし、「○×シンドローム」の人が事件を起こしたとしても、多くの「○×シンドローム」の人はごく普通に暮らしている。僕らは物語趣味というか、エイズや「アダルト・チルドレン」など「病気」に過剰な意味を与えすぎる傾向がある。絶対にレッテルで情緒的に判断してはいけない。最近とみに流行しているのは病名をつけて、隔離し、こんな育て方をした親が悪い、と責めるパターンである。親だって一生懸命に育てているだろうし、学校もあるし、地域もあると思うのに、ひとり親のせいにされる。
ピーター・L・バーガーらは「現実の心理学化」ということをいっている。「○×シンドローム」という言葉ができると人は世界をそんな風にしか見なくなる。言葉が新しい現実を作りだし、この現実が心理学の正しさを証明しているように見せるから、ますます、心理学の用語は社会を説明したくなるのである。
もしかしたら、精神医学が現実に追いついていないのではないだろうか?
しかし、鋭い人がいるもので、星新一は1982年に「病名」(『凶夢など30』新潮社)という短編を書いている。これは患者の訴えを聞いて病名をつけ、あとはその分野の適当な病院を紹介するだけで名医とされた男の話だ。病名を知るとさっきまでの悩みが嘘のようにみんな明るい表情になって帰っていくのである。遅刻する男は「定刻出勤不適格症」と名づけられ、自分は才能があるとわかっているばかりに人とは違う行動を取るのだと励まされる。夫の浮気に悩む妻には「被浮気症候群」と名づけられ、夫を憎むよりは夫に浮気されやすい自分自身に気づきなさいと注意される。幽霊やUFOを恐れる人は「幽霊感覚過敏症」と「UFO感覚過敏症」とされ、原始時代にはみな持っていた感覚を持っていると励まされる。いいことばかり続いて不安になっている人は「幸運症候群」と名づけられ、裏を読んではいけないと諭される。政治家までもがやってくるのだが、この医者は逮捕されてしまう。「流行過敏症」と命名された患者が買い控えをして服飾蚕業が傾き、「寄付愛好症」は自己顕示欲のあらわれだと診断されたために慈善団体が迷惑する。自分は病気だからと言い訳して居直る人が増えたために不満が社会全体に広がる。不当逮捕だという医者に政府関係者はいう。「医者のなかに、依存命名愛好症の傾向のある者がふえている。こう発表すれば、大衆の抗議も起らない。かえって、よくやってくれた、です。さあ、行きますか」…。
「○×シンドローム」といわれたら、「だからどうなの?」と聞き返す姿勢が大切かもしれない。
誰か鋭いことを言っていないかなぁと期待していたら斎藤美奈子が『たまには、時事ネタ』(中央公論新社)で書いていた。さすが!
【…】こういう病気の「情報」だけが、お医者さんも経由せず一人歩きしたときには、途中で「病気になりたい病」にすり替わる気がするわけ。【…】ああいう本には「これは私のことだ」と思わせる力がある。で、思った途端、あなたはもうその病気に感染しているのである。病原菌はああいう病気の情報自体の中にもある。【…】
なぜ「病気になりたい病」なんてものがあるのか。病気といわれるのがそんなに嬉しいのか。理解に苦しむ心のありようだけれども、そういう人に聞くと、診断名がつくと「私がこうなのは私の責任ではない」とわかってホッとするらしいのだ。会社に行くのが嫌なのは病気のせい。人間関係が上手くいかないのも病気のせい。子どもを叩いちゃうのも病気のせい。自己正当化の理由として、たしかに病気は都合がいい。
とか書くと、必ず「あなたは何もわかってません。病気の人を傷つけて嬉しいのですか」なんていう抗議が読者から来るのである。でもさ、診断名っていうのは、治療のためにあるわけでしょう? 治ることを前提に、治そうと努めている人にこそ「疑似患者」は迷惑なんじゃないだろうか。「病気になりたい症候群」という本を、だれかちゃんとした精神科のお医者さんが書いてくれたら菌の蔓延はいくらか食い止められそうな気もする。
一つ面白い記事があった。日本の病院では「抑制」といって患者をベッドに縛り付けることがよく行われていたという。ある病院経営者が「抑制」という婉曲な表現ではなく「縛った」と看護日誌にはっきり書くように求めた。その結果、看護士たちは日記に「縛った」と書くたびに気がとがめて、必死に縛らない看護を工夫するようになったという(朝日2001年3月17日)。
犯罪精神医学者の影山任佐(じんすけ)が名付けた「ヒステリー性障害の一般化先行の法則」というものがあって、非常に簡単にいうと「多重人格」というものが(実際には多く報告されていないのに)マスコミなどで騒がれるようになると、自分もそうだという患者が出てくるというものである。色々なキーワードが飛び交うことによって、自分もそうだと考える人が増えてくる可能性がある(このページを読んだ知人が「20も私に当てはまる」と言った!)。
最近では自ら「ボーダーラインです」と診療に来る患者も多いという。
17歳の少年たちは「酒鬼薔薇聖斗」とその後もマスコミの対応に惹かれていることは疑う余地がない。
言葉の説明をしているだけの、僕の勉強のための「覚え書き」なので大きな間違いや引用の不適切があれば、教えてほしい。こうした用語は元の意味を失って「隠喩」として使われることも多く、言葉の上で差別があってはならないと思う。
特に医学的なことに関しては(無責任と思われるかもしれないが)責任をもたないので注意してほしい。まして、医療行為を支援するためのものではありません。また、医学用語となってないものも多く含まれていることをご承知してほしい。医学用語はやめようとも思ったが、区別のつかないものもあるので、主な医学の「症候群」は取り上げてみた。詳しくは『症候群辞典』などを参照してほしい。
また、専門家の間でさえ、児童の精神障害を心理=社会的側面ばかりみて、生物学的・医学的側面を忘れる傾向があると指摘されていることも忘れてはいけない。社会的な「症候群」の「ラベリング」(「ラベリング理論」は統一した理論というよりさまざまな概念の総称)をして、本人を排除したり、親と親の育て方ばかり責めることは間違いである。病名がひとり歩きすることを恐れる。病名はあくまでその子を理解するのに便宜的に使うものであって、その子を規定するものではないのだから、病名だけでその子の本質をみないと困る。
言葉は難しい。「仮面鬱病」【masked depression】という有名な言葉も病名ではなかったりする。「多重人格障害」【multiple personality disorder】というのもごく最近使われるようになっただけで、昔から「存在」していたものではない。
だから、個人的な感想も控えた。
ただ、冒頭に出てくる「愛情遮断症候群」に関して思い出がある。知人のピアニストが故郷を離れ、夫ともコミュニケーションのない生活を送っていて、娘が育たなかったことがある。その後、故郷に帰り、安定した生活を送ると急に成長が始まった。愛情は体や心の成長にどんなにか大きな役割をしているか、よく分かる事件だった。
元は体の病気だったものが心から社会の「〜症候群」として増え続けている。これは社会全体が難病に罹っている一つの兆候ではないだろうか?
このことをミシェル・フーコーは『哲学の舞台』(朝日出版社)で次のように述べている。
そうではなく、私の知りたいのは次のようなことです。すなわち、病気というものを、狂気を、犯罪を、人はどのように舞台にのせたかということであり、言いかえれば、人が病気や狂気や犯罪を、どのように見、どのように受け取り、それらにどのような価値を与え、どのような役割を演じさせたのか、ということです。
病気の命名に初めて光を当てたのはフーコーの『臨床医学の誕生』(みすず書房)だったが、アルケオロジー(知の考古学)といって、時代のさまざまな資料を序列をつけずに「アルシーフ(集蔵体)」に集め、文化を解読することを提唱した。アルシーフとはエノンセ(言表)、ディスクール(言説)の総体というよりは、それらを成立させる規則のシステムであり、匿名性、自律性、示差的分散の特質を示すとした。
また、フーコーが『狂気の歴史』(みすず書房)の序言の冒頭でパスカルの言葉を引用しているが、狂気と非狂気はもともと分割可能な二つの異なった人間表現ではないということだ。自分を理性の側に置き、他者を軽々しく狂気の側に置いてはいけない。
人間が狂気じみているのは必然的であるので、狂気じみていないことも、別種の狂気の傾向からいうと、はやり狂気じみていることになるだろう。
ここでは到底、全ての「症候群」を網羅することはできないが、起源も問わず、資料と資料をぶつけることで、20世紀末が見えてくるのではないかと信じている。20世紀末の「言説」というか、「社会的事実」として、こうした言葉があったことを覚えておいてほしい。
今回、何よりも、個々のホームページを見ていて、いろいろな病気があることとそれと戦っている患者と家族と医者がたくさんおいでになることに驚いた。いわれのない偏見と闘っておいでになる様子も垣間見られる。
是非、皆さんに見てもらいたいのはアカデミー賞を取った『ビューティフル・マインド』(ロン・ハワード監督)という映画だ。主人公のジョン・ナッシュは21才の時に考えた「ナッシュ均衡」で、66才の時ノーベル経済学賞を受賞した人だ。天才達がひしめくプリンストンの中でも、若手ナンバーワンのスターであったナッシュは30代の頃より30年余りにわたってスキゾフレニア(統合失調症)という過酷な病気と闘うことになる。多くのビューティフル・マインドに助けられて1994年(大江健三郎と同じ年)に受賞するまでになるのだが、このページに書いてある症例を見て、治らないなどと錯覚しないようにしてもらいたい。
今度は「コンプレックス・コンプレックス」とか「ジレンマ・ジレンマ」というのを書きたいと思っているが、既に「コンプレックス・シンドローム」という漫画もある。
西鉄バスジャックの少年は入院先病院は「行為障害」と診断したし、簡易鑑定をした医師は「精神分裂症以外にあり得ない」とした。専門家でも難しいのだから、勝手に自分の病名を推測しないでください。多くの情報を含んでいると思いますが、(ネットを使う時はいつもそうですが)情報に振り回されないようにして下さい。
また、いろいろと参照した多くのホームページに感謝します。これほどインターネットの真価を見せつけられたことはありませんでした。特に難病情報センターのホームページには心から敬意を表します。
※ウムラウトやアクサン記号は表記していません。名前をつなぐ「・」は「=」で表されている場合もあります。また、名前の後に“'s”が付けられたり付けられなかったり「揺れ」があります(日本でも「バセドー病」「バセドー氏病」などと揺れがある)。「症候群」か「病」かについても様々な説があります。
個々の症候群に関しては検索ロボットを使えばすぐに出てくるので参照してください。また、人名医学用語辞典というのも後で見つけたので紹介しておきます。
あ行 ●「愛されたい」症候群=古屋和雄『「愛されたい」症候群』(講談社1987)のタイトル。
●愛されていないかもしれない症候群=加藤諦三『愛されていないかもしれない症候群』(講談社1998)のタイトル。他にも『妬まずにはいられない症候群』(PHP研究所1992)や『生きるのが辛いのは決してあなたのせいではない:きずな喪失症候群』(PHP研究所1999)がある。
●愛し過ぎ症候群=落合恵子『スパイスの誘惑』(読売新聞社1992)から。
●愛情遮断症候群【deprivation syndrome】=「愛情遮断性小人症」【deprivation dwarfism】「精神性・社会性小人症」【psychosocial dwarfism】ともいわれる(“deprivation”とは「対象喪失」「剥奪」の意)。親から精神的・肉体的虐待を受けた結果、心身両面に発育障害が生じるもので、原因となっている家庭環境から子どもを隔離して入院させると、心身の発育は急速に進む。虐待の事実は親からも子どもからも語られないため、周囲が察知しなければ子どもは救われないというところに、この問題の深刻さがある。「よい母」であろうとするあまりの虐待や、自分自身が子どもの頃に親の愛情を受けられなかったための連鎖虐待など、虐待する親の側に精神的な問題がひそんでいる。愛情ある取り扱いを受けると急に成長し始める。僕の知人でも、音楽家として忙しかったために、放っておかれた子どもが小さかったことがある。今は大きくなって、美人に育っている。
「カスパール・ハウザー症候群」【Kaspar Hauser syndrome】とも。カスパール・ハウザーとは1828年身元不明としてニュルンベルグで発見された男。出自について、ナポレオン1世の子とか、バーデン大公カール・フリードリヒの子という説があって、相続をめぐって幽閉、抹殺されたとされる。種村季弘に『謎のカスパール・ハウザー』(河出書房新社)がある。
●アイデンティティ拡散症候群【identity diffusion syndrome】=エリクソンが1956年に記載したもの。アイデンティティ拡散とは後期青年期に自我同一性が形成される途上で社会から与えられたモラトリアムを利用して、さまざまな実験的同一化を統合していく社会的遊び【social play】がされて、社会的な自己定義を確立することができない状態。アイデンティティ意識の過剰、選択の回避と麻痺、対人的距離の失調、時間的展望の拡散、勤勉さの拡散、否定的アイデンティティの選択などがみられる。
●青いおしっこ症候群=中央教育審議会でも言及される話で「青いおしっこ事件」というのは「私の子どもはまだ青いおしっこをしないんだけれども、いつになったらするんでしょうか」と、若い母親からの質問があったという。おむつのコマーシャルで、青い水を流しているのを見た母親がそう思ったという話。「米を洗う」といって洗剤で洗ったという話を思い出した。もう一つ、アングルの「泉」などの絵画を眺めていた娘が「私はヘアがあって異常なんだわ」と嘆いたという話も思い出す。
●青い鳥症候群【blue bird syndrome】=メーテルリンクの『青い鳥』(チルチルとミチルのお話)から、親子関係なかでも母子関係が濃密すぎ、母親にのみ込まれてしまい、精神的な成長が止まってしまった青年像をいう。期待されていることと現実との不整合感をもち、進路を自分で選択できない。環境や集団に素直に順応し、自我を主張しない現代青年の背景に潜む幼児性の高い心理の表れである。
小林信彦『現代<死語>ノートII』では1981年の流行語となっていて「もっと自分に合う職業があるはずだと考え、短期間で職を替えていく、もしくは替えようとしている若い社員の状態」という。清水将之『青い鳥症候群―偏差値エリ−トの末路―』(弘文堂1983)で河野やす子の漫画『青い鳥症候群・全5巻』(小学館1985-86)があり、安達祐実が出た『青い鳥症候群(シンドローム)』というテレビドラマ(テレビ朝日・99年10月〜12月)もあった。
ドラマ化された「症候群」「シンドローム」は以下のよう。
- 軽井沢シンドローム(ANB1988)原作・たがみよしひさ…全4回予定でクランクインしたものの自動車事故で堤大二郎は大ケガ。スタッフに死亡者も出て制作は中止。
- クロワッサン症候群(TBS1989)秋野 暢子、池田裕子(桐生ユウ子)など。
- 結婚しないかもしれない症候群(NTV1991)原作・谷村志穂/麻生祐未、紺野美沙子、東ちづるなど…別れた恋人が結婚すると聞き、また新たな恋に墜ちていく〜。
- インターフォン症候群の女(KTV1993)原作・中津文彦/黒木瞳平田満など…女性下着のセールスレディとなって働き始めた妻が、離婚したいと書き置きを残して姿を消す。そして留守宅に忍び込む癖に苦しむ。黒木瞳の失禁シーンが有名。
- 結婚不安症候群(KTV1993) 生稲晃子、梨本謙次郎、鳥越マリなど…恋人のプログラマーの本社栄転がダメになってから、些細なことでもなじられるようになる〜。
- 東京恋愛症候群(MBS1994)中居正広、田村英里子など…二浪した俊介は東京の大学へ。幼なじみの邦彦と待ち合わせをするが、邦彦の代理の尚美だった。俊介は尚美のことが忘れられず、邦彦もアタックしろとけしかけるが〜。
- 青い鳥症候群(ANB1999)原案・河野やす子/安達祐実、羽田美智子、別所哲也など…施設で育った高校2年生の杏奈は、7年前に会社社長の藤沢の家に引き取られた。藤沢の息子、慎吾は杏奈と同い年だが、心臓が弱く学校を休むことが多い。ある日、藤沢の会社の債権者が家に押し掛け、藤沢が自殺する〜。
●アキレス・シンドローム【Achilles syndrome】=ハロルド・ブルームフィールド(相原真理子訳)『アキレス・シンドローム:愛される自分に生れ変わる』(二見書房1985)から。
●悪性症候群【malignant syndrome】=向精神薬などで起きる症状。発熱、筋強剛、意識障害など。「悪性」は放置すると、ときに死に至る重い副作用という意味。山脇成人『悪性症候群:病態・診断・治療』(新興医学出版社1989)など。
●アスペルガー症候群【Asperger's syndrome=AS】=1944年にオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーがとても変わっていて魅力的な子供たちを「自閉的精神病質」【autisitic psychopathy】として症例報告したのが始まり。ただ、この業績は90年代になるまで国際的な認知を得られなかった。
対人関係の障害、行動や興味へのこだわりなどの自閉症の症状はあるが言語発達と認知力などに目立った遅れがない症例のグループで自閉症から独立した症候群として扱われているようだ。原因は不明。
男児に多く現れる。ゴッホ、アインシュタイン、エミリー・ディキンソン、ウィトゲンシュタインがアスペルガー症候群または高機能自閉症【high functioning autism】(双方を合わせて「高機能広汎性発達障害」という)だっただろうといわれ、最近ではマイクロソフトのビル・ゲイツにも同様の特徴が見られることが雑誌“TIME”などで指摘されている。詳しくはトニー・アトウッド『ガイドブック・アスペルガー症候群』」(東京書籍2000)。
●アダムス・ストークス症候群【Stokes-Adams syndrome】=欧米では「ストークス・アダムス症候群」ということが多いようだ。心臓の拍動リズムの異常に基づく脳血流低下によって、めまい、失神、てんかんのような痙攣を起こす発作性の意識障害。
●アダルトチルドレン恋愛・結婚症候群=中村延江『アダルトチルドレン恋愛・結婚症候群:「自分探し」の処方箋 』(KKベストセラーズ1997)から。斎藤学訳でW・クリッツバーグ『アダルトチルドレン・シンドローム』(金剛出版1998)という本もある。
アダルトチルドレンは元来「アルコール依存症の親から恒常的に精神的、肉体的虐待を受けて何らかの心の傷を負って成長した大人」を指す。日本ではアルコール依存症に限らず、子供時代に親から何らかの抑圧を受け、それが性格に影を落としているケースを指すことが多い。仕事や偏差値一辺倒の親などからの心の傷も指す。「親の顔色をうかがいながら育った結果、自分を肯定的に受け止めることが出来ず、感情表現や対人関係を築くことが下手」という特徴を「思い当たる」人が多く、95年頃からよく使われるようになった。
●アナスタシア・シンドローム=メアリ・H・クラーク他『アナスタシア・シンドローム』【“The Anastasia syndrome”】(新潮社1993)から。ドラマもあった(1994.8/29〜9/9)。女流作家のジュディス・チェースは自分の出生の謎を探るために、 催眠療法を受けて幼時にさかのぼる。しかしその時、 ジュディスの歴史小説に登場する一人の女性が 彼女の精神に転移してしまった…。
●アパシー・シンドローム=笠原嘉『アパシー・シンドローム:高学歴社会の青年心理 』(岩波書店1984)から。日本では68年ころから大学生にみられ、70年安保を境に急速に広がった。さらに高校生や中学生にもみられるようになった。「無気力症候群」ともいい、人生設計をして計画的に生きることをせず、意欲に乏しく、無関心、無感動、無為に過ごす。その半面、学業外に熱心であったりする。より深刻なものを退却神経症と名づけた。。
●アマデウス・シンドローム=品川博二『アマデウス・シンドローム:だれからも好かれたい病』(文園社1991)から。“Amadeus”はモーツァルトの名前でもあるが、「神の愛」という意味。
●アメリカ・シンドローム=日高義樹『アメリカ・シンドローム』(講談社1983)から。これだと全ての国に当てはまりそうだ。
●アライグマ症候群=「1989年の言葉。…潔癖症候群の一つ」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●アルトマン症候群=和泉茉伶『アルトマン症候群』(三一書房)。
●アルファ症候群【alpha syndrome】(権勢/犬勢症候群)=英語で“alpha”は「ボス」とか「特に動物の順列で最高位を占める」の意味がある。
●いい子仮面症候群=北野浩賢『今、いい子があぶない:“いい子仮面症候群”の恐怖』(大陸書房1989)から。
●イイコ症候群=周囲を気にするあまり自己規制が強く働き過剰ストレスに陥ること。宗像恒次『本当の自分を見つける本:イイコ症候群からの脱却』(PHP研究所1997)など。
●イギリス・シンドローム=林信吾『イギリス・シンドローム−私はいかにして「反・イギリス真理教徒」となったか−』(KKベストセラーズ)から。
●異常未満シンドローム=平成カウンセラーズ『異常未満シンドローム』(ぶんか社1998)から。
●異性回避症候群=異性を避けてしまうこと。自分自身の身体・精神面に劣等感を抱いていた、幼い時に性に関する不快な出来事を経験した、生育環境が極端に異性から隔離されていた、親や周囲の人から歪んだ異性観を繰り返し吹き込まれてきた、両親の不和や離婚を身近に体験している、“マザコン”や“ファザコン”などいろいろな原因がある。
●依存症候群【dependence syndrome】=アルコールや薬物などの依存症【dependence】。薬物以外に「資格依存症候群」などもある。
●異文化ストレス症候群=カルチャーショックによるストレスで「異文化不適応症候群」とも。大西守『異文化ストレス症候群』(バベルプレス)など。 中国帰国子女にも多く現れて問題になることがある。
●入れ子企業症候群【Russian doll syndrome】=小さな企業がそれより大きな別の企業に支配されていて, その大きな会社がさらに大きな別の企業に支配されている状態。
●インスリン抵抗性症候群=秦葭哉編『インスリン抵抗性症候群』(日本メディカルセンター1998) など。
●インテリジェントビル症候群=OA化問題研究会『インテリジェントビル症候群:都庁ビルの失敗』(技術と人間1994)から。バブル期の言葉である「インテリジェントビル」は小林信彦『現代<死語>ノートII』によれば1988年の流行語。
●ウィスコット・オールドリッチ症候群【Wiskott-Aldrich syndrome】=一種の先天性の免疫異常。紫斑病などとも関連。
●ウィリアムズ症候群【Williams syndrome】=靴紐が結べなかったり、勘定ができなかったり、空間的思考に難があるのだが、言語使用能力は高い症候群。カクテルパーティ症候群とともに語られることが多いが、例えば動物の名前を挙げてというとマニアックな名前まで出てしまう。
●ウィリアムズ症候群【Williams syndrome】=心臓病の一種、大動脈弁上狭窄症(Supuravalvular Aortic Stenosis:SVAS)の約半数は ある種の症候群を伴う。これらは、大動脈弁上狭窄症候群(SAS症候群、SVAS症候群)と呼ばれている。中でもある種の遺伝子の欠損による先天性の症候群にウィリアムズ症候群がある。
●ウイルス後症候群【post-viral syndrome=PVS】=ウイルス性の病気の後の筋肉痛。
●ウェスト症候群=乳児てんかん。主に乳幼児に現れ、急に上半身あるいは頭部を前屈させる発作(電光発作、あいさつ発作、点頭発作などとよばれる)を頻発する。ヒプサリズミアと呼ばれる特異な脳波変化を示し、難治性でしばしば、レノックス・ガストー症候群に移行する。
●ウェーバー症候群【Weber's syndrome】=脳血栓の上交代性片麻痺。
●ヴェトナム戦争症候群=ベトナム戦争の後遺症。枝川公一『英雄は帰ってきたか:ヴェトナム戦争症候群』(講談社1985)など。
●ウェルナー症候群【Werner's syndrome】=白髪、糖尿病、白内障などを引き起こす早老症の一種。
●ウェルニッケ・コルサコフ症候群【Wernicke-Korsakoff syndrome】=異常な眼球運動、協調運動障害、錯乱、記憶と学習機能障害を特徴とする中枢神経系の障害。
●動くと刺身で食べたくなる症候群=東海林さだお『ブタの丸かじり』(朝日新聞社1995)に出てくる。「魚に限らず、タコでもイカでも、少しでも動くと刺身で食べたくなる。/エビでも貝でも、少しでも動くと、「刺身で……」ということになる。/動く、ということに、誰もが異常な関心を寄せる。/これを、日本人の“動くと刺身で食べたくなる症候群”という。大抵の日本人はこれにやられている」。
●右脳閉塞症候群=安部公房が使っていた。
●エコノミー(クラス)症候群【economy class syndrome】=肺動脈血栓塞栓(そくせん)症。旅客機などの狭い座席に長時間遅込められたことによる血行障害が原因で呼吸困難に陥ること。運動することと水分の補給が大切だという。アメリカでは前から知られていたが2000年末から世界的に問題化。ワールドカップサッカーを前に高原直泰選手(22)が入院した原因もこれだった。「乗り物症候群」と考えた方がいいようだ。
●エベレスト症候群【Everest syndrome】=「そこに山があるから」とやたら困難に挑戦したがる傾向。また、「そこに問題があるから」と委員会(「エベレスト委員会」“Everest committee”と呼ばれる)を作りたがる傾向。
●エーラス・ダンロス(ダンロー)症候群=結合組織の遺伝病。関節が曲がりすぎ、皮膚が伸びすぎる病気。
●エルサレム症候群【Jerusalem syndrome】=エルサレムに巡礼してあたかも自分がアブラハムやモ−セや、ペテロやイエスキリストのように思えて宗教的幻覚に陥ってしまう症状。
●オイル・シンドローム=谷山孝雄『オイル・シンドローム』(潮出版社1980)から。
●オーバー・シンドロ-ム= 高坂純一『オーバー・シンドロ-ム:行き過ぎ症候群』(文芸社1999)から。
●オーバートレーニング症候群=疲労が回復しないまま激しいトレーニングを継続することによって生じる慢性疲労状態。急激な運動能力の低下や倦怠感,睡眠障害などの症状が見られる。
●オーラル・アレルギー・シンドローム【oral allergy syndrome=OAS】=特定の食品を食べた直後に呼吸困難などに陥る劇症性の即時型食物アレルギー。症例で原因食品はモモ、ビワ、メロン、トマトなどの果実・野菜や木の実など多種に上り、未精製のハチミツやチョコレート、マツタケ、フキノトウなどが原因の例もあったという。
OASは原因食品を食べて30分前後までの間に、唇のかゆみやはれ、ノドの違和感、声がれなどの症状が発生。呼吸困難やショック状態など危険な全身症状となる場合もある。ソバ・アレルギーで子どもが下校途中に亡くなったこともある。食堂で出されるうどんの中にソバの破片が紛れ込んでいても罹るというから危険である。これは人類の危機ではないかという人もいる。
●お金持ち症候群【affluenza】=『朝日新聞』2001年8月2日号の特派員メモにニューヨークの子どもたちの症状を描いた。英語は前からあって“affluence”(裕福)“influenza”(インフルエンザ)から。
●オカルト症候群【occult syndrome】=神秘性の高い秘儀(オカルト)を行い、参加者を感応性状態に陥らせ、秘儀主催者と同一の病的体験を共有させ、呪術的行動をとらせる。現代社会に広がる漠然とした不安が、オカルトの流行を招いている。
●驕り症候群=千早正隆『日本海軍の驕り症候群』(中央公論社1997)から。
●おしんドローム=1983年、超人気番組だったNHKの連続テレビ小説『おしん』に因んだ新語。凄まじい苦労の連続を必死に耐え、それでも明るさを失わず他人に優しい主人公「おしん」の姿は、戦後を働き抜き、豊かさを手に入れた日本人の心情に“良質の日本人”像として共感の嵐を巻き起こした。その状況を、全国民の感情が同一にシンドローム化しているとして、ジェーン・コンドン(『タイム』フリー記者)が雑誌『タイム』誌上で「おしんドローム」と表現。1984年に制定された流行語大賞の新造語部門で金賞になった。このおかげでこの年以降、「シンドローム」「症候群」が大量に使われるようになる。小林信彦『現代<死語>ノートII』にも採録。
「おしん」の再現だとされた「すずらん」(1999年春)もヒットしたが、「おしん」には遙かに及ばなかった。
●お受験症候群=1994年の言葉。子どもをいわゆる有名私立小学校に入学するために、幼稚園自体から受験テクニックを身につけさえるために受験予備校に通わせる。ドラマ『スウィート・ホーム』の高視聴率で高まった。(亀井肇『外辞苑』平凡社2000参照)
●オセロ症候群【Othello syndrome】=配偶者が不貞を働いているという確信に満ちた妄想。もちろん、シェイクスピアの『オセロ』から。嫉妬は三者関係の中で愛情の対象を失う不安に基づく正常の心理だが、 事実に反することを「確信」する場合はやはり妄想とよばれる。
●思い残し症候群=大人になってから満たされない心があって、あの時、お父さんにもっと抱っこしてもらいたかった、などという思い残しがあるもの。これが原因で拒食症や援助交際などの行動に走るという。この心の病を発見、解決法を提唱した岩月謙司『家族の中の孤独』(ミネルヴァ書房)がある。岩月は『女性の「オトコ運」は父親で決まる』(二見書房)という本も書いている(cf.家庭内ストックホルム症候群)が、2004年に心の悩みの相談に訪れた関東地方の20代女性にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつの疑いで逮捕された。やましいことはない、と語っているが、思い残しがあるのだろうか?
●親ばなれできないかもしれない症候群=宮子あずさ『親ばなれできないかもしれない症候群』(海竜社1992)から。
●「女はつらいよ」症候群=『「女はつらいよ」症候群』(バイエル薬品1997)から。
●オンリーユー・フォーエバー症候群=歌謡曲のほとんどは恋愛を歌い、「あなただけを、いつまでも愛している」と歌っていた。経済学者・森永卓郎はこうした傾向を「オンリーユー・フォーエバー症候群」と呼ぶ(『〈非婚〉のすすめ』講談社現代新書)。森永は1960年代以降の歌謡曲が急激にを「オンリーユー・フォーエバー」というメッセージを含むようになったことを明らかにしている。最近では、歌謡曲の約半分がこのメッセージを含むようになっているというのだ。森永は、こうした歌謡曲が日本の国民に「恋愛至上主義」をもたらしたと指摘している。
しかし、社会の変化は、歌謡曲のこうした傾向にも影響を及ぼす。森永によれば、特に「フォーエバー」が崩れはじめ、「悲しいけれど、愛は永遠ではない」というメッセージが受け入れられるようになってきているともいう。
か行 ●会社ストレス症候群=河野友信『会社ストレス症候群』(新星出版社1992)から。教師のための「学校ストレス症候群」はないのだろうか?
●外傷性頚部症候群=いわゆる「むち打ち損傷」。諸富武文『外傷性頚部症候群』(南江堂1969)など。
●会食不能症候群=友人や異性と会食しようとすると吐き気がするという症候。 男子大学生に多く、社会における男性としてのアイデンティティの混乱に由来するという。
●帰れない症候群=「1990年の言葉。企業の人事考課制度の基準が業績よりもプロセスに偏っているために、深夜まで仕事をする行動をとってしまう」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●顎(がく)関節症候群【temporomandibular joint syndrome=TMJ syndrome】=顎関節の関節面に緊張が生じたり、関節面がうまくかみ合わないために生じた状態。
●学習障害症候群=普通は「学習障害」【learning disability】という。「症候群」という本として中里徹『学習障害症候群:学力向上を願う親と教師のために』(銀河書房1985)がある。これも「慢性疲労症候群」のように「怠惰」としてみられることがあって本人や家族が苦しむ。
●核先制攻撃症候群=R・C・オルドリッジ他『核先制攻撃症候群(ミサイル設計技師の告発)』(“The Counterforce Syndrome”岩波新書1978)から。翻訳で、病理以外に「症候群」を使った最初。
●カクテルパーティ症候群【cocktail party syndrome】=知能が著しく低いが、きわめて流暢にしゃべるのが特徴。本物のカクテルパーティと違って、意味不明なことをいう。衣服の着脱などが意のままに行えず、物を選り分けることができず、お金の計算がダメで、自分の年さえ分からないことがあるという。←これって僕のこと?
●学齢期シンドローム=大阪府保険医協会他『学齢期シンドローム』(あけび書房1992)から。
●過呼吸症候群/過換気症候群【hyperventilation syndrome】=「こむらがえり」など若い女性に多い病気で興奮などにより息遣いが荒くなり、血中の二酸化炭素が低下して、手のしびれや失神発作が見られる。自殺した可愛かずみがこの病気だったことから有名になった。深田恭子も『神様、もう少しだけ』の最終回前の収録で過度の過労とストレスのため過換気症候群を患い、入院・点滴を受けながら最終回の収録を行ったという。
●かごの鳥症候群=アグネス・チャン『聞いてアグネス:わたしたちかごの鳥症候群かしら』(主婦の友社1995)から。
●過剰適応症候群=福島章『働きざかりの過剰適応症候群』(大和書房1982)から。コンピューターなどにどっぷりと浸かってしまうことによって起きる症状。
●過剰包装症候群=リサイクル文化編集グループ編集『使い捨て社会・過剰包装症候群』(リサイクル文化社1991)から。
●過食症【bulimia】=正常な体重の若い女性に多い摂食障害。「症候群」と日本では言われてないようだが、英語ではbingepurge syndrome(神経性過食症“bulimia nervosa”)とも呼ばれる。“binge”は「度を過ぎた」、“purge”は「下剤(を使う)」の意味で、やけ食いをしては下剤の使用を繰り返す。「神経性過食症」の反対は「拒食症」で「神経性食思不振症」【anorexia nervosa】という。もうひとつ週末過食症というのもあて、仕事から解放された週末、ストレスを解消するかのように、途切れることなく食べ続けるもの。
●霞が関しんどろ−む=毎日新聞取材班『霞が関しんどろ−む:「官益」国家の裏側』(毎日新聞社1994)から。
●かぜ症候群=風邪は単一の疾患ではなくて「風邪症候群」と呼ばれるものである。
●家族症候群=斎藤学の同名の著書から。アダルト・チルドレンなど家族をめぐる様々な病理を語ったもので、「家族症候群」があるのではない。
●家族性突然死症候群=突然、脈が乱れて立ち眩みや意識を失う発作が起こる遺伝性の病気。意識を失う発作が止まらない場合は死亡することがある。しかし、発作がないときは自覚症状は全くない。また、検査をしても心電図のQTといわれる波形の部分が正常に比べて長い以外は異常が見つからない。このような心電図の特徴からこの病気は「家族性QT延長症候群」と呼ばれている。
●片恋症候群=山本文緒『みんないってしまう』(角川書店1997)から。
●学校不適応シンドローム=中里徹『学校不適応シンドローム』(銀河書房1987)から。
●カッコヨサ症候群/スベツル症候群=1989年に『メンズノンノ』が創刊された頃から始まった男性が美容整形をしたり、脱毛すること(亀井肇『外辞苑』平凡社2000参照)。毛深いのは「キモイ」といわれるようになった。
●喝采症候群=木田恵子『喝采症候群:独断的パラノイア論 』(彩古書房1986)から。木田は「阿闍世コンプレックス」説の古沢平作博士に師事した精神分析家で、『添うこころ』(太陽出版1992) 中島梓との対談『名探偵は精神分析がお好き』(早川書房)、 『0歳人・1歳人・2歳人』(太陽出版)などの著書がある。
●家庭内トラウマ症候群=斎藤学『「家族」はこわい』(日本経済新聞社1997)が使っていて、アダルトチルドレンを生み出すような機能不全家族の状況を指す。
●過粘稠度症候群=クリオグロブリン血症の症状の一つ。
●下半身症候群=山本直英『“下半身症候群”からの脱出』(大月書店1986)から。にっかつビデオにも同名のがあるようだ。
●過敏性腸症候群【irritable bowel syndrome=IBS】=腹痛を伴う下痢や便秘などが交替しながら長期間続く。腸の普通の障害で時に精神的ストレスを伴う。心身症【psycho‐somatic disease】などから起きる。
●カプグラ症候群【Capgras syndrome】=妄想、幻覚の症状で、自分が何も言わなくても相手に意思が伝わるし、テレビのアナウンサーの話すことの裏の意味も分かるように思ったりすること。見知った人が一見酷似した見知らぬ人間によってすりかわると言う妄想。「替え玉妄想、ソジーのイリュージョン」ともいう。近親者がいつのまにか替え玉(宇宙人など)に置き換えられてしまうとする妄想症候群。
●花粉症ブリッコ症候群=「【花粉症の】被害をまぬがれ平然としていると、肩身がせまくなるほど。そのような、花粉症でもないOLが友達を真似て、まるで自分も花粉症のように振る舞う行動」(亀井肇『平成ボキャブラ事典』廣済堂文庫1994)。
●噛み合わせ症候群=正井良夫『日本人は歯で滅びる!:「噛み合わせ症候群」が原因不明病を急増させている』(徳間書店1991)から。食べ物をかむ行為は、関節や筋肉、神経などの総合作業。それが不調和になると筋肉や靭帯に過度の緊張を起こしてしまうという。
●空の巣症候群【empty nest syndrome】=子供や夫の世話に生きがいを感じていた主婦が、子供の独立や夫の不在がちな状況を契機に、こころの中にポッカリ穴があいたような空虚な気持ちにおちいる鬱病的神経症。この患者を“empty nester” という。さまざまな原因によって副腎皮質の機能が亢進して種々の臨床症状を現す。
●ガリバー症候群=仲晃「『ガリバー症候群』に蝕まれるアメリカ」(『世界』1998年七月号)で使っていて、米ソ冷戦構造が終結した後の安全保障に関するアメリカのやり方を指す。
●カルチノイド(カルシノイド)症候群(carcinoid syndrome)=カルチノイドから分泌されるセロトニン(serotonin)により起こる症状、突発性皮膚紅潮、動悸、痙攣などがある。
●かわいい症候群=(リカちゃん人形研究家の)増淵宗一『かわいい症候群』(日本放送出版協会1994)から。「かわいい」言語乱用症候群、「かわいいもの」愛好症候群を扱った。「かわいい」は強者が弱者に使う、羞恥語・恥の様態語として使われる、憐憫語として使われる、愛情語・愛想語として用いられる、同年齢どうしの共有語、同類語として用いられる、異性用語として、独自の日本文化用語として普及成熟し、万能語、大衆語として愛されている場合を考えた。万能語になったのは子どもの期間が長くなった、女性のパワーが強くなった、かわいいモノが多くなっている、情報化社会におけるマスメディアを介した送り手と受けてのおりなす相乗効果に関係があるとしている。かわいいというのは小さい、幼さがある、若い、甘さ・甘えがある、丸みをおびている、色彩(相対的に暖色、中間色、赤系統、ピンク系統、白、さらにパステル・カラー、シャーベット・カラーがかわいいとされる)などであるという。
●ガンゼル症候群【Ganser's syndrome】=「偽痴呆」とも。拘禁などの心理的に追いつめられた状況下で、質問を理解しながら、1+1=3、馬の脚は2本などのような「的外れ応答」【ドイツ語で“Vorbeireden”】を繰り返すこと。
●感染症症候群=医学用語。
●帰還兵シンドローム=ベトナムや湾岸戦争などの帰還兵が悩まされるPTSDの症状。
●奇形症候群=合指症など。
●棄権症候群=投票に行かないこと。1995年頃の言葉。
●傷つきたくない症候群【"fear-of-being-hurt syndrome"】=本当の悩み事は恋人とは別の「異性の親友」(テレクラやネットで知り合った人)に相談し、お互い本音をぶつけ合わず、傷つけ合わずに“恋人ごっこ”を演じているようなカップルも増えている。彼らの恋愛模様を「友達以上恋人未満」・「傷つきたくない症候群」と呼ぶ。TBSドラマ「オトナの男」(大石静脚本・第11話1997年9月14日)で「抱いてくれ」とせまる葉子を拒む男を葉子が重度の“傷つきたくない症候群”だと非難する場面がある。東京大学社会情報研究所助教授・橋元良明が中教審(1997年11月25日)で「批判受容耐性」を説明して「傷つきたくない症候群、やさしさ症候群」で「青少年が批判に非常にもろいのではないかということ」と説明している。アメリカFOXチャンネルのドラマの「アリー・myラブ」(原題“"Ally Mcbeal”)が1999年10月からNHKで放送された時、第20話も「傷つきたくない症候群」“Only The Lonely”というタイトルになっていた。筑紫哲也も1999年6月22日の「多事争論」で言及している。
●器質脳症候群【organic brain syndrome】=『器質脳症候群:神経行動傷害入門』(西村書店1994)から。
●帰宅恐怖症候群=会社人間が家に帰りたくなくなる現象を言う。夜遅くまで残業や接待をして家に帰るのが11時、12時、早朝出勤のため朝6時半、7時には家を出なければならないので、最寄りのビジネスホテルにでも泊まった方が時間の節約にもなるし、ストレス解消にもなる。また、わずか6、7時間の在宅時間中に子供の教育や家事について妻と話をするが、疲れていてそれが苦痛になり、家にいることがストレスになってしまう。そのため、家に帰りたくないと考える。ひどい場合には、帰宅しようとすると頭痛がしたり、吐き気を催したり病気の症状が出てくる。関谷透『お父さんは、もう帰れない! 帰宅恐怖症候群』(プラネット出版1989)という本があり、関谷には『お母さんは、もうがまんできない! 空の巣症候群』(プラネット出版1990)もある。
●キチン質欠乏症候群=金子今朝夫『現代病の宿敵キチン質欠乏症候群』(荒地出版社1992)から。「キチン質」【chitin】というのは蟹の甲羅などの原料で、最近、効用が注目されている。
●キャリアウーマン症候群=「クロワッサン症候群」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●吸収不良症候群【malasorption syndrome】=タンパク質、脂肪、糖質、ビタミン、無機質などの吸収不良によって低栄養や栄養失調が起きる病気。くる病も起こる。
●休日うつ症候群【blue holiday syndrome】=久保明『「心のカゼ」の処方箋』(光文社カッパブックス)に出てくる。“blue Monday”はカーペンターズの「雨の日と月曜日は」“Rainy Days and Mondays”とか「マンデーカー」(月曜日に作られた車に欠陥車が多い)に象徴されるが、この場合、休日に憂鬱になること。
「心のカゼ」というのは憂鬱と違って鬱病というのは脳内物質のちょっとした異常から起きるカゼみたいなもので大げさに考えることはないことからよく使われる。気軽に神経・精神科を訪ねるべきである(患者が嫌がる場合は内科から入れば思春期内科とか第三内科などがある)。
●求心路遮断性疼痛症候群(deafferentation pain syndrome)=医学用語。
●急性冠症候群=「中間型冠状症候群」とともに狭心症の症状。
●急性放射線症候群=原爆などの被爆で受けた症状。
●急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)=川崎病の別名。川崎富作医師が1960年代に発見。
●教育技術・法則化症候群=岡崎勝・他『不能化する教師たち:教育技術・法則化症候群』(風媒社1988)からで向山洋一らの教育法則化運動(Teacher's Organization of Skill Sharing=TOSS)ではマニュアル人間を増やすだけと危惧する。
●境界症候群【borderline syndrome】=「ボーダーライン症候群」とも。カーンバーグは1967年に精神病でも神経症でもない重いパーソナリティの病理を「境界パーソナリティ構造」【borderline personality organization】と名付け、1968年にグリンカーらが「ボーダーライン症候群」とした。特徴はa.自己同一性の失敗、b.依存的【anaclitic】関係、c.孤立に基づいたある種の抑鬱状態、d.きわだった怒りの表現である。「ボーダーライン・カップル」(小此木啓吾)というのはボーダーラインの配偶者とある種の安定した夫婦関係を続けるものである。町沢静夫『ボーダーラインの心の病理』(創元社)などがある。
町沢によれば、境界性人格障害は感情の変動が激しく、対人関係も不安定で、衝動的である。それでいて愛情飢餓が強く、つねに人の愛情を求め、まるで子どものようにいつも愛情を確保していないと安心できない人たちである。同時に、常に虚無感に囚われており、自殺の危険性も抱えているのである。時には妄想的になることもあるという。
マリリン・モンローはアンナ・フロイト(ジグムントの末娘)の治療を受けていたが、パーソナリティ障害について、ボーダーラインだったといわれる(自己愛や外傷性なども指摘されている)。太宰治やヘルマン・ヘッセも、尾崎豊もボーダーラインと指摘されている。
●驚愕症候群=必要以上にびっくりしてしまう病気。
●恐竜症候群=竹内倫樹編著『ビジネスマンは不況で進化する−恐竜症候群を超えて−』(日刊工業新聞社)で使われている。何かがあると急に絶滅すること。
●魚臭症候群 【fish odor syndrome】=トリメチルアミンを分解する N オキシダーゼの欠乏のために、腐りかけた魚のような不快な味とにおいを感じる症状。
●魚鱗癬症候群=角化症の症候の一つ。鮫肌もその一つ。
●ギランバレー症候群【Guillain-Barre syndrome】=症状進行に伴い、呼吸筋麻痺をおこし生命に危険を及ぼす可能性がある。急激な運動麻痺によりADLの障害をきたしている。脱髄疾患に関係する。この病気を記載したフランスの医師 Georges Guillain(1876-1961)と Jean Alexandre Barre(1880年生まれ)にちなむ命名。
●銀行破局シンドローム=図師三郎『銀行破局シンドローム』(明日香出版社1983)から。
●緊張病症候群=カタレプシー【catalepsy】。「強硬(こう)症」で外部から与えられた姿勢のままで、感覚がなくなり、筋肉が硬直した状態が続くのが特徴。
●金妻症候群=ドラマ『金曜日の妻たちへ』(TBS1983年)からフリンを願う妻たちの症状。「金妻現象」とも呼ばれた。
●クインビー症候群=斎藤美奈子『紅一点論』(ビレッジセンター出版局)に出てくる。クインビー(女王蜂)症候群とは1970年代においてアメリカの社会心理学者の調査で出た『女性解放運動の足を引っ張る女性』(「アリバイの女」femme alibiに相当)。例外的に男性社会において成功し、「世の中にあるのは構造的な差別ではなく、自分らの努力によってそれは打ち払えるし、現に自分はそう行ってきた」と主張する。そして他の多くの女性たちを「努力が足りないから男性社会の中で下位層に甘んじてしまう」という主張をする。また、自身の現在の「特別な存在」であることから得られる特権や恩恵に満足し、他の女性が自身の後を追うようにこれら特権を得ようとすることに対して冷淡且つ好まない。自身の特権が消えてしまう、と考える体。このような考え方、地位の女性を「クインビー(女王蜂)症候群」と呼ぶ。「アニメの国」と「伝記の国」の構造には共通したものがあり、「クインビー症候群」と「バタフライ症候群」の女たちを作り出す源泉であるという。そして、女王蜂にも蝶々にもなれなかったフツーの女の子は、長じて「恋愛ボケのアーパー女」になってしまう。
●クッシング(カッシング)症候群【Cushing's syndrome】=クッシング病とも。糖質コルチコイドの慢性過剰分泌による高血圧があり重篤な合併症をひきおこす恐れがある。
●グッドパスチュア症候群【goodpasture syndrome】=肺出血と糸状腎炎を特徴とする病気。
●クラインフェルター症候群【Klinefelter syndrome】=XXY症候群とも。X染色体を余分に持つ男性の染色体異常症。精子減少症または無精子症、睾丸の発育不全、時に乳房の発達などが見られる。XYY 症候群というのもあり、男性染色体(Y)が1つ多い染色体異常による症状で攻撃的で低知能になるとされる。
●クライン(クライネ)・レビン症候群【Kleine-Levin syndrome】=「周期性傾眠」【periodic somnolence】青年期に好発する疾患で過多の睡眠、しばしば過食、幻想、脳波の変化を伴う。主に若い男性が1〜2週間、食事ができる程度の傾眠状態を反復する。
●クラッシュ・シンドローム(挫滅症候群/圧挫症候群)=地震などの災害による長時間の圧迫で筋肉が壊死し、毒素が急性腎不全を引き起こす病で、発見が遅いと死に至る。壊死した足や腕の筋肉にたまった毒素が、救助により圧迫から解放後、血液とともに一斉に体を回ることから起きる。腎不全だけでなく時おり心不全をももたらす。救助直後は無事だと自覚していても、1〜2週間後に突然死亡するケースもある。
●クリヴィツキー症候群=逢坂剛の推理小説『逢坂剛』(新潮社1987)から。ソ連大使館の館員が殺害されて大学教授が容疑者となるが、自分は大物スパイのクリヴィツキーだと言い出して…。
●クリューバー・ビューシー症候群【Kluver-Bucy syndrome】=側頭葉の両側性損傷によって生じる。記憶の欠陥、過食、性欲亢進、 恐れと怒りの反応の消失が特徴。
●クループ症候群=声を出す喉頭が炎症を起こしてはれる病気で、犬が遠吠えするときのような独特の咳が出る。声がかすれ、ひどくなると息を吸うときにぜーぜーと音がするようになる(喘息または喘息性気管支炎の時は息を吐くときに音がするので区別できる)。夜間突然呼吸困難発作(息苦しがり、息を吸うときに音がでる)を起こすことがあり、そのような時は、がまんさせずに救急で病院を受診した方がいいという。インフルエンザ桿菌、パラインフルエンザウイルスによって起こることが多い。
●グレー症候群【Gray syndrome】=急性循環不全により頻脈やチアノーゼが出る症状。
●クレペリン症候群【Klaepelin syndrome】=クレペリンが発見した驚愕神経症の一種。
●クレランボー症候群 =「熱情妄想」。ド・クレランボー(ラカンが師と呼ぶフランスの精神医学者)が詳細な報告を行ったのでこの名でもよばれる。 相手から愛されるというエロトマニー、復権妄想、嫉妬妄想に分けられる。
●グレンブラット・ストランドベルヒ症候群【Gronblad-Strandberg syndrome】=皮膚と眼のBruch膜の弾性線維に異常をきたす遺伝性疾患。
●クロワッサン症候群=1988年の流行語。桐島洋子などを起用しながら「女性の自立」と結婚することの愚かしさ(?)を書いた雑誌『クロワッサン』の影響で、結果として望まない独身生活を強いられてしまった中年女性が多発した。これを松原惇子が『クロワッサン症候群』『クロワッサン症候群その後』(文藝春秋)で指摘したところである。
わいふ編集部『アンチ・『クロワッサン症候群』』(社会思想社1989)という批判書もある。
●クロンクハイト・カナダ症候群【Cronkhite-Canada syndrome】=無数のポリープがある状態。
●経験欠乏症候群=森亘が中央教育審議会「幼児期からの心の教育に関する小委員会 」(第11回)で使っている。
第一に遊びの欠乏。仲間という存在とのつながりを欠落させることで、社会的に成熟することができない。
第二に学びの欠乏。真の学びであれば有能感を必ず培う。何かが少しでもできるということは、自分に対する強い自信とか、あるいはそれによる意欲、あるいは有能感ができて、それこそが知的に伸び上がっていこうとする、何かを知りたいという成熟性が、その学びが欠乏している。
第三に情動体験の欠乏。喜怒哀楽を初めとして、肯定的側面だけでなく、否定的な側面も含めまして、ありとあらゆる光とかげりのある情動体験、人間が生きていく上に感じ取る情動の体験も欠落しているということで、深みのある情操とか、情緒的成熟が阻害されている。
●芸能界大麻シンドローム=週刊ブックス特別取材班編『芸能界大麻シンドローム 「ショーケン裁判」開始!』(現代書林1983)から。
●頸腕(けいわん)症候群=首から肩・腕さらに手指にかけて痛み、しびれを訴える症状。進行すると手指の運動障害、筋萎縮をおこす。頸髄の神経根、上腕部の神経叢などやそのそばを通る血管系が圧迫されて起こる。「頸肩腕症候群」(くびかたうでしょうこうぐん)とも。
●劇薬垂れ流し症候群=『知恵蔵』で使っている。関係者の失策や無策による場合も多い。直ちに死に至るサリンから併用の危険なソリブジン、血液製剤によるHIV感染や、長期の使用により死や疾病状態に至る煙草や農薬まで、いずれも死の危険を孕むという。
●月経前症候群【Premenstrual syndrome=PMS】=更年期前の女性の多くが悩んでいる症状。これは、生理の1、2週間前から心身の変調を来たす状態で、症状は、痛みや腹部膨満感、気分の変化、乳房の痛みなど、人によりいろいろ。生理のある女性のおよそ3割が月経前症状を訴える。症状が周期的に現れること、それも排卵後の黄体期におこること、それが日常生活に影響するほど症状が重いことがPMSと判断されるポイントである。
●結婚しないかもしれない症候群=気が乗らなかったら結婚しないかもしれないという結婚観。谷村志穂『結婚しないかもしれない症候群』(主婦の友社/角川文庫)と同名のドラマ(91.10/19〜12/21)があった。「結婚しない症候群」(そのままだ)というのもある。小林信彦『現代<死語>ノートII』では1990年の流行語。
●結婚症候群=桂戴作『結婚症候群』(PHP研究所1982)から。
●結婚ドタキャン症候群=産業編集センター編『結婚ドタキャン症候群:なぜ彼らは別れなければならなかったのか』(産業編集センター2000)から。「どたキャン」というのは「土壇場キャンセル」。
●潔癖症候群=潔癖症でいいと思うが…。1988年の流行語。
●ゲルストマン症候群【Gerstmann's syndrome】=脳血栓などによる失認の一種で手指失認、左右失認、計算障害、書字障害など。
●健康流行食渡り鳥症候群=亀井肇『外辞苑』によれば「フード・ファディシュ」は1999年の言葉で気まぐれに健康食品を集中的に食べることで、日本語らしくすると表題のようになる。
●犬舎症候群=イヌ科の動物は群で生活するが事情によって隔離され、人や犬との接触の機会が極端に減ってしまったことによる心理不安が引き起こす症状。
人見知りをするようになる、動物見知りをするようになる、基本的に非常に臆病、成犬になって犬舎症候群に陥った場合、攻撃的になることもある(子犬の場合もないとは言えないという)。
●権勢/犬勢症候群=アルファ症候群ともいい、元は犬などがアルファ(群のリーダー)になりたがることを指す。犬を同等に扱うと、いつの間にか自分が一番偉いと思って飼い主を噛んだりすることがある。そのためには犬を人間よりも高い位置においてはいけないと言われる。
人間にもあるといわれるが、イヌとヒトは違うはずだ。
「モーガンの公準」という戒めがある。「モーガン(1852-1936,イギリスの動物心理学者)が動物の行動を擬人的に解釈しようとする当時の傾向をいましめて提唱したもの。もしも動物の、ある行動が、心理学的に見て下等な精神機能によるものとして単純に解釈することができるならば、これを、それより高等な精神機能の働いた結果として解釈してはいけない」(宮城音弥編『岩波心理学小辞典』岩波書店)
●原発症候群=西山明『原発症候群:アトミック・インフェルノ』(批評社1982)から。
●原発性免疫不全症候群(低ガンマグロブリン血症/重症免疫不全症候群)=体内に侵入した病原体を排除する機構の欠損を主病態とする先天性あるいは遺伝性の疾患群。障害される免疫担当細胞(例えば、好中球、T細胞、B細胞)などの種類や部位により多数の疾患に分類される。疾患により重症度はさまざまで、重症感染のため重篤な肺炎、中耳炎、膿瘍、髄膜炎などを繰り返す。
●健忘症候群=健忘というのは過去の一定期間の記憶の欠損を指す。この健忘に加えて記銘力障害、見当識障害、作話を中心とする症候群を健忘症候群、あるいはコルサコフ症候群という。
●高圧性神経症候群/障害【high pressure nervous syndrome】=潜水用の高圧のヘリウムと酸素の混合気体を吸引することによって起こるとされる吐き気、めまい、震えなど。
●抗菌症候群=「1996年の言葉。 抗菌処理をした衣服、文具などの登場で清潔症候群にとりつかれた人を指す」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●拘禁ストレス症候群=ペルーの日本大使館占拠事件など長い間、監禁されていて解放された後も健康面で懸念される問題。死が身近にあると、自分の心のくせが出やすくなり、ある人は犯人グループに取り入ろうとする自分に気付いて、そんな自分がいやになり鬱になったり、また、別の人は、他人のひそひそ話が気になって仕方がないといった人もいた。神経症の下痢に苦しんでいる人は病気に対する恐怖が高まったという。2000年に発覚した新潟の監禁事件の女性にも懸念される。
●高校症候群=山川裕『高校症候群は治るのか:歌に詠むその病巣と処方箋:中途退学者11万6千人!』(現代教育社1991)から。
●更年期障碍様症候群=九嶋勝司・鈴木泰三『更年期障碍及び更年期障碍様症候群 所謂血の道症』(医学書院 1953)から。
●後天性免疫不全症候群=エイズ(acquired immune deficiency syndrome=AIDS)の症候群。「症候群」という言葉を一般的にしたのはここから。HIV(human immunodeficiency virus)による。さらに、現代社会の不安と不分離の現象で、エイズの不安が一気に広がるものを「エイズパニック・シンドローム」と呼ぶ。
●五月危機不在症候群=1950年代末に言われたのだが、入学や入社してから思い描いていた予想と違ったり、集団になじめなかったりして、ひどいときにはパニックする「五月病」【May disease】になった。適応不全であるが、吉川武彦は「手段の目的化」の結果だといった。地方へ広がり、また年齢層も広がった(水平・垂直拡散)。「九月病」【September disease】は夏休み後、遊びから学業への切り換えがきかず、精神的不安に陥るものを指した。
小此木啓吾は、五月危機の来ないものに注目し、「五月危機不在症候群」ともいう年間性の神経症、心身症を提唱した。「新人類」以降、考えが柔軟になり、新環境、新集団に調子よく明るく素直に順応し、自我を主張しないことでかからなくなったため。
●誤記憶症候群=人の記憶は曖昧なもので、意識するにせよしないにせよ、記憶はさまざまな条件で書き換えられてしまうことがある。例えば犯罪捜査において、ある誤報が先行したりすると、それに基づいた目撃記憶が誤記憶として刷り込まれてしまい、捜査の妨げになることがある。これを「誤記憶症候群」という。
●呼吸障害症候群(PRRS)=医学用語。
●呼吸窮迫症候群 【respiratory distress syndrome=RDS】=肺にかかわる急性疾患や外傷により、肺組織の硬化、肺水腫、極度の息切れなどを引き起こす症候群。“adult respiratory distress syndrome”ともいう。
●ゴキブリ症候群=夜中に起きてごそごそと冷蔵庫を荒らす人、またはその症状。
台湾のツァイ・ミンリャン監督の映画『Hole』では別の「ゴキブリ症候群」が出てくる。2000年まであと7日。街には雨が降りしきり、水道水には新種のウイルスが混入。汚染地帯では「ゴキブリ症候群」という奇病が流行し、政府によって給水停止宣言が発動された。そんな危険地帯のマンションの上階と下階に暮らす男と女がいる。ある日、上階の男の部屋に水漏れ修理のために来た配管工が、誤って床に穴を開けてしまう。その日から、穴を通して2人の男女の奇妙な交流が始まり……。
●コケイン症候群【Cockayne's syndrome】=原因不明のまれな遺伝性疾患。
●コタール症候群【Cotard's syndrome】=自分は死ぬことを許されず未来永劫苦しみ続けなければならないという妄想。
●子供だけは生みたい症候群=古沢由美子『子供だけは生みたい症候群』(幻冬舎1998)から。
●骨髄異形成症候群 【myelodysplastic syndrome=MDS】=不応性貧血ともいう。これは骨髄のなかで十分な数の血球を造れない病気。骨髄の血球を造る仕組みが悪くなり、出来た血球は数も少なく働きも悪くなる。このように血球の量も質も異常になる状態を骨髄異形成と喚ぶ。不応性貧血を総称して骨髄異形成症候群ともいう。
●コナン・ドイル症候群=シャーロック・ホームズ物語の中に性的表現の暗喩を見出す研究。
●コミュニケーション不全症候群=中島梓の『コミュニケーション不全症候群』(筑摩書房)から。
彼らはどんどん自分のめざす方向に歩いていき、つきあたるものを蹴散らすかそこで先へ歩けなくするかするだろう。社会のルールというものが成立しなくなる時代------それがコミュニケーション不全症候群なのである。別に悪気はない------ただ彼らにはそこに何者か別の存在が存在することが知覚できないだけなのだ。相手からも知覚されず、知覚されたという扱いもうけずにきたために、彼らには「自分のと自分の仲間」以外の生物というものとどのようにコミュニケートしたらいいのかわかっていないのだ。そうしてそういう致命的な欠陥をかかえた精神構造は、つきあたった------彼らからすれば幽霊か道ばたの石ころが口をきいたとしか思えない邪魔者を排除するのと同じように、ほとんど無感動に邪魔な人間、うるさく夜泣きする赤ん坊、汚い老人をホームからつきとばし、ごみばこに投げ捨て、窓からつきおとすことになるだろう。
中島梓はこの本の中でコミュニケーション不全症候群の代表として3つあげている。
おタクとよばれる男の子(「仮想空間に居場所を見つける人」)たち、ダイエットにのめり込む女の子たち、『JUNE(ジュネ)小説』と中島が名付ける美少女どうし、男性どうしの「恋愛小説」やコミックにしか興味を示さない少女たち。おタクは、埼玉の「宮崎」事件であり、人気アニメのコスチュームを着て踊ったりするコスプレであり、コミック・マーケットに繰り出すマンガ好きである。ダイエット症候群は、亡くなった元ダイアナ王妃であり、宮沢りえである。JUNEは、竹宮恵子のマンガであり、栗本薫(中島梓と同一人物)の小説である。
●ゴム紐症候群=見元良平『健康であるために:ゴム紐症候群について 』(近代文芸社1987)から。(パンツを脱いで寝る)パンツ健康法。
●コルサコフ症候群【Korsakoff syndrome】=「健忘症候群」とも。1887年ロシアの精神科医Korsakov,S.S. が慢性アルコール中毒による多発性神経炎と記憶障害・見当識障害・作話ををきたす疾患を多発神経炎性精神病 polyneuritic psychosis と記載したのに始まる。大脳皮質と乳頭体の障害が症状発症の本態で、Wernicke脳症と同じであると考えられている。
症状−精神症状は記銘障害・失見当・作話が中心となる。注意力、判断力は案外侵されておらず、高度の記銘障害と見当識障害があっても無頓着でこだわらないためか、一見したところこの様な激しい精神症状を持っているとは感じさせない。感情的には上機嫌で多幸的となりやすい半面、不安定で興奮しやすい。情動失禁のこともある。
身体的には下肢に激しい多発性神経炎がみられ、感覚異常、筋肉痛、筋肉の圧痛を呈する。
●懲りない・困らない症候群=笠原敏雄『懲りない・困らない症候群』(春秋社1997)から。
●コン症候群【Conn syndrome】=副腎皮質の増生・腺腫の結果、副腎皮質ホルモンが大量に分泌され、高血圧症・低カリウム血症などを呈する症候群。
●コンビニ症候群=用もないのにコンビニに足を踏み入れてしまう心境。たむろする若者が多くなったのもこれだろうか。小林信彦『現代<死語>ノートII』では1989年の流行語(亀井肇『外辞苑』は1988年とする)。
さ行 ●サーロインステーキ症候群=小野博通(外科医)『サーロインステーキ症候群:医学的に楽しくやせる本』(筑摩書房1983)から。肥満・突然死・成人病といった現代人を襲う健康上の大敵をこう称した。自動車の普及などで、運動不足になり、筋肉が退化し、それによって肥満、階段墜落死、あらゆる成人病が引き起こされていると説く。
●災害症候群=斎藤学編修『心のブラックホール うつとアディクションの病理』(講談社)が使っている。阪神大震災の被災者の25%にこの急性災害症候群ストレス反応(ASR:acute stress reaction)が出現したことを報告されている。「災害症候群」は次のように現れる。
茫然自失期《2〜3日》=訳が分からない状態。 (ディザスター・)ユートピア期《7〜10日》=「生き残って幸せ」というのと、通常の社会関係が断たれた中、一種の無階級状況のもとに利他的になる。 復興期=回復。 PTSD(外傷後ストレス症候群)《2ヶ月〜2年》=悪夢、不眠、頭痛、反応の鈍さなどが起きる。 ●サイケデリック・シンドローム =デレク・テイラー『サイケデリック・シンドローム:それはビートルズから始まった』(“It was twenty years ago today”シンコー・ミュージック1988)で原本とは無関係。
●サヴァン/サバン症候群【savant syndrome】=イディオ・サヴァンともいう。「サヴァン」というのはフランス語の「学者、碩学」のこと。時刻表を全部覚えたり、カレンダー計算や音楽などに得意な能力を表すもの。山下清や大江光や映画『レインマン』など。ダロルド・A・トレッファート『なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異
』(草思社)(草思社1990)がある。篠田節子『ハルモニア』(マガジンハウス)とそのドラマから有名になった。cf.拙文「あんた、だ〜れ?」
●サカキバラ症候群=志茂田景樹『サカキバラ症候群の子どもたち』(KIBA BOOK)がある。神戸の小学生殺害事件の「酒鬼薔薇聖斗」などの問題を扱った。
●サザエさん症候群=日曜日午後6時半〜7時放映の『サザエさん』を見終わると、これで休日が終わったな、とさみしくなる現象。若い女性などの間に多いという(1994年『新TOKYOウォーク』)。
●殺人願望症候群=新谷識『殺人願望症候群』(中央公論社1992)から。
●殺人症候群=リチャード・ニーリィ『殺人症候群』(角川書店/中村能三、森慎一訳1982)から。
●産後思春期症候群=片岡直子『産後思春期症候群』(書肆山田1995)のタイトル。
●35歳症候群=麻生圭子の『35歳症候群』(海竜社)から。「三十五歳は女の曲がり角」ということで三十歳代の女性の多くが一度はくぐり抜けた結婚や出産、ダイエットといった悩みについて“本音”で語っている。
●サンタクロース症候群=梶尾真治『綺型虚空館』(早川書房1984)『宇宙船<仰天>号の冒険』(早川書房1986)などから。
●サンドイッチ症候群【sandwich syndrome】上司と部下の板挟みになった中間管理職などにみられる、うつ病などの症状。
●シェーグレン症候群【sjogren's syndrome】=シェーグレン症候群は主として中年女性に好発し涙腺・唾液腺を標的とする臓器特異的時自己免疫疾患で、全身性の臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患でもある。シェーグレン症候群は各種膠原病(慢性関節リウマチ、 全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、皮膚筋炎、 混合性結合組織疾患)に合併する二次性シェーグレン症候群と、これらのない原発性シェーグレン症候群に分類される。
●資格依存症候群=資格や免許を取ると、(実生活で役立たないことも多いのに)次から次へ取りたくなって資格を取ることが目的となってしまう症状。「君は何でもできるから大丈夫」と最初にリストラされることもあるようだ。
●自虐症候群=日本の進歩的文化人による「自虐的史観」を揶揄する皇国史観論者からの言葉。
●時差症候群(非同期症候群)【jet lag/jet syndrome】=「時差ボケ」。
●指示待ち症候群=何か指示されないと動かない子どもたちの、若者の症状。マニュアルがないと何もできないこともある。子供がやろうとすることを大人がゆとりを持って見ていると、時間はかかっても自分でやり遂げて感動に出合う。大人が言葉で簡単に近道を教えてしまうから、やり遂げた感動が生まれず、無感動、無気力の指示待ち症候群になる
●思春期挫折症候群=稲村博『思春期挫折症候群:現代の国民病』(新曜社1983)や『登校拒否の克服:続・思春期挫折症候群』(新曜社1988)から。
●思春期遷延症候群/思春期非離脱症候群=共に元琉球大教授・吉川武彦の造語。成長期にある人はその年齢にふさわしい発達課題をもっていて、中でも思春期(青年期)は発達的にみると重要な時期で、こなすべき発達課題が多い。思春期を抜けるということはこれらの発達課題をつぎつぎと解決することだが、その解決が遅れると思春期がいつまでも続くことになる。これが30歳ころまで思春期心性を引きずっているとなると病理的であるという。
●自食症候群=ジャック・ブーヴレス他『哲学の自食症候群』(“Le Philosophe chez les Autophages”法政大学出版局1991)から。
●視線平気症候群=「1996年の言葉。…まったく他人の視線を気にすることなく自分たちがやりたいことをやっている現象。こうした若者たちはひとりっ子が多く、小さいときから個室をもらい、テレビゲームで育ってきているために、家の中と外との協会を認識することができなくなっている」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000参照、なお、1992年には「チュー娘」と呼ばれる、人前キスが平気な女性が登場しているという)。
●失外套症候群【ドイツ語で“apallisches Syndrom”】=植物状態(呼吸や心臓機能が保たれ、栄養補給によって長期生存が可能な状態)では障害された脳の部位や範囲によって失外套症候群と無言無動症が区別される。
●シックハウス症候群=新築や増改築をしたばかりの高気密の家で、目や喉が痛くなったりするなどのアレルギー症状に悩まされること。塗料や接着剤などに使用されたホルムアルデヒド等の化学物質が原因ではないかと言われる。 対策としてはこれらの化学物質をなるべく放散しない建材等を使う、無垢材など 自然なままの素材を使う、換気を重視した設計をするなどが考えられる。
英語では「シックビル症候群」“sick building syndrome=SBS”、また「気密ビル症候群」“tight building syndrome=TBS”という言葉がある。
●失踪症候群=貫井徳郎『失踪症候群』(双葉文庫)があり、若者の失踪をめぐる調査。失踪した若者にはいくつかの共通点が見られるという。彼らの失踪の背後にはいったい隠されているのか?という筋らしい。詳しくは知らないが、どうやら「症候群シリーズ」というのを出しているようだ。
●失楽園症候群=渡辺淳一の『失楽園』(1997)から。不倫を「失楽園する」という言葉があったというが怪しい(「ねぇ、失楽園するぅ?」なんて迫る男はおぢさんに決まっている)。連載当時から大ヒットだったが、300万部の大ベストセラー、映画化されて劇場興行収入は40億円を記録するなど一種の社会現象にまでなった。なお、勝目梓は『消えた女』(光文社1990)で「不倫症候群」というのを書いている。
●自分が好き症候群=「1998年の言葉。若者たちに増えているナルシスト現象を指す」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●自分症候群=さだまさしのアルバム名(1985年)。この中に「もーひとつの恋愛症候群」という曲もあって「恋と呼ばれる一過性の発情症候群に於けるその発病及び傾向と対策」を考えている。同名書(KMP1986)も。
●自閉症=(小児)自閉症。
●シャイ・ドレーガー/ドレージャー症候群【Shy-Drager syndrome】(SDS)=起立性低血圧による失神や排尿障害。
●シャイマン・シンドローム=ブライアン・G・ギルマーティン『シャイマン・シンドローム』【“The shy-man syndrome”が原題】(新潮社1994)から。女性となかなか思うように話せない男性。いったん結婚するとこれほど安心できるパートナーはいないはずなのに…(亀井肇『外辞苑』平凡社2000参照)。
●社長病症候群=厚田昌範『社長病症候群:あなたの会社は大丈夫か』(祥伝社ノンブックス1983)から。
●シャドー・シンドローム【shadow syndromes】=ジョン・レイティ他『シャドー・シンドローム』(河出書房新社1999)から。
●じゃないですか症候群=爆笑問題が『爆笑大問題』(講談社1999)で取り上げた。
●“Japan as No.1”的シンドローム=国弘正雄が『世界』1983年12月号で使った。エズラ・ヴォーゲルの『Japan as No.1』によっておだてられ、外国に学ぶべきものは何もないとした80年代の風潮。
●ジャパン・シンドローム【Japan syndrome】=J・ウォロノフ『ジャパン・シンドローム 日本病の診断と治療』(ダイヤモンド社1984)から。
●ジャンクフード症候群【junk food syndrome】=“ジャンクフード”というのは、がらくた食品。ビタミンやミネラルが少なく、砂糖。食品添加物が多い食品を意味している。我が国の若い人々の食事も、ジャンクフード依存が多くなっている。ジャンクフードばかり食べることによって非行が生まれていると考える。日本だと「インスタントラーメン症候群」というべきか?
●住宅ローン症候群=広瀬仁紀『住宅ローン症候群』(角川書店1983)のタイトル。
●週末ゆううつ症候群=「1993年の言葉。一人暮らしの女性で、週末が恐いという思いを抱く症状」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●主人在宅ストレス症候群=黒川順夫『主人在宅ストレス症候群』(双葉社/ 改訂版1997)から。「亭主元気で留守がいい」ということで夫の在宅が原因のストレスで、うつ状態、不安神経症、自律神経失調症、さらには高血圧、消化性潰瘍、筋痛症、慢性肝炎に至るケースがあると報告されている。夫がいることの意識、夫からの干渉と文句とグチがストレスの原因で、アルコール依存症になったり、離婚の原因になったりで、「夫拒否症候群」ともいう。定年後、どこまでも付いてくる亭主を「濡れ落ち葉」と呼ぶようになった。
●主婦症候群【housewife syndrome】=ストレスから主婦を襲う心身の不適応状態の総称。神経症的なもの(主婦神経症)のなかには育児ノイローゼや介護ノイローゼがある。夫のため子どものため、と一生懸命やっているのにいったい私は、何のために生きているのかしら?と、自分自身の価値を見失ってしまい、自分自身を生きている実感がない状態。そしてイライラしたり落ち込んだりの繰り返しの中で、ますます深みにはまりこんでしまう。台所恐怖症や空の巣症候群などにも陥る。不倫や離婚、蒸発などの社会病理的現象もある。また、女性の自立の流れに乗り遅れまいとする心理や、乗り遅れてしまったのではないかという不安から生まれる主婦症候群もある。ドラマでは『くれない族の反乱』(TBS1984/大原麗子、田村正和、神田正輝、永島暎子など)が「〜してくれない」と責任転嫁する「主婦症候群」を扱った。円より子『主婦症候群』(筑摩書房1988)、筒井末春著『主婦症候群』(同朋舎出版1988)など、
対処法は自分自身が、両親からあふれるような愛情で育てられたかを考える、自分自身が、自分以外の人に対して、愛情を持って接しているかを考える、愛情とは、どう言う事かを深く考える、愛しているのは、自分だけじゃないかを考える、価値基準がお金だけになっていないかを考える、心の底に、男尊女卑の思想が潜んでいないかを考える。
●手根(しゅこん)管(圧迫)症候群【carpal tunnel syndrome】=過剰使用で手首の正中神経への圧迫によって、手首や手に疼痛や筋力低下を起こす病気。腱鞘炎からなることもある。アメリカでもコンピューター操作する人が多くて増えている。
●シュタイン・レーベンタール症候群【Stein-Leventhal syndrome】=多嚢胞卵巣症例。
●シュララッフェンランド・シンドローム=ホルガー・ヴィルヴァ『母親を奴隷にする子どもたち−シュララッフェンランド・シンドローム』(竹内書店新社2000)から。「シュララッフェンランド」とは、古くからあるドイツの言葉で、欲しいものが何でも手に入る贅沢三昧な国という意味。著者は現代の消費社会に生きる子どもたちをこの国の住人にたとえる。
●シュリ・シンドローム=日本ではヒットしないとされた韓国映画『シュリ』(1999年)の大ヒット現象を指す。
●純愛症候群=小山弓の詩集『純愛症候群』(思潮社1984)から。
●小脳性症候群【celebellar syndrome】=小脳半球の疾患の総称。“Nonne's syndrome”とも。
●症候群=西村寿行の推理小説『症候群』(光文社1982)のタイトル。
●上昇停止症候群/窓際症候群=中高年のうつ病とかなりかかわり深い心理的状態で出世の道を断たれた現実から自分の限界を感じるようになり、うつ状態に陥ったり、さまざまな身体症状を訴えること。久保明『「心のカゼ」の処方箋』(光文社カッパブックス2000)など。上昇一途であったものが停止し、下降しはじめることを予感する。その予感が心をむしばみ、不安定にし、心身の症状を生む。上昇指向の強かった人ほど、陥りやすい。「むなしさ病」といわれるのもこの一つである。
●食原性症候群=大沢博『食原性症候群:食事できまる体と心』(ブレーン出版1986)から。
●(小児)自閉症【childhood (infantile) autism】=カナーの報告以後、精神分裂病の早期発症例、母親の養育問題、言語の発達障害など色々な仮説が出されてきたが、現在ではさまざまな原因による脳の広汎な機能障害に基づく一つの症候群とみなされている。性別では男児が女児の3〜4倍多く、有病率は1000人に約1例である。「出生後30カ月以内に現れる症候群で、聴覚・視覚刺激に対する反応が異常で言語の表出が遅れ……社会的人間関係の障害が重く、儀式ばった振る舞いや異常なきまり、変化への抵抗、奇妙なものへの執着、遊びの常同的パターン化」(WHO)。
自閉症児の多くが出生時から、あるいは遅くとも3歳前には症状をあらわすこと、約70%に精神遅滞が、青年期までに15〜30%前後に全身痙攣がみられること、脳波にも異常所見が多いことなどから脳機能障害と考えられているようである。
社会的相互関係の障害(他人の感情への反応が乏しい、模倣行動をしない)、言葉によるコミュニケーションの障害(非言語及び言語的コミュニケーションの欠如あるいは異常、ごっこ遊びをしないなど)、限られた対象への執着(常同的な身体運動、同じ遊びを続ける、衣類・食事の好みの偏りなど)などが共通の症状である。
●女性アルコール症候群=女性のアルコール中毒。(1990年、亜紀書房)関谷透『女性アルコール症候群:酒に飲まれるキッチン・ドリンカー』(展転社1983)などで主婦症候群の一つ。
●ショッピングセンター症候群=『週刊朝日』2001年5月25日号に「子育てママショッピングセンター症候群」という記事が載る。
●ジル−ドゥ・ラ−トウレット症候群=チック【tic】症状から発症し、汚言、反響言語・反響運動を示す。
●心気症候群=G・ALadee『心気症候群』(医学書院1970)から。
●人口減シンドローム=中央教育審議会「初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する小委員会(第5回)」が使っていた。少子化によって社会が徐々に変わること。
●心臓神経症【cardiac syndrome】=精神的原因による心臓の機能障害。“effort syndrome, irritable [soldier's] heart, neurocirculatory asthenia” ともいう。
●身体化障害【somatization disorder】=ふつう20歳以前に始まり、身体的原因が見いだせない身体的愁訴を多様に持ち、重い機能障害に至る精神疾患。“Briquet's syndrome”ともいう。
●シンデレラ【Cinderella syndrome】症候群=「シンデレラそっくりの嘘の物語を語る」こと。アメリカの精神科医・グッドウィンが発見したものだが、三人の少女がそれぞれ「自分は養母にボロを着せられて家事を全てするように命じられ、養母は実の子どもたちだけをかわいがった」といったという。グッドウィンらはこの説明を「自分たちの不平不満を幻想や遊びの領域で処理できず、現実として提示したのではないか」とか「実母の死を引き起こしたのは自分ではないか、という無意識的な罪悪感を回避するために、実母を理想化するとともに、陰性感情をすべて養母へと置き換えて投影したのではないか」という(cf.香山リカ『〈自分〉を愛するということ』講談社現代新書)。
栗本薫にも『シンデレラ症候群』(新潮社1992)がある。
「シンデレラ・コンプレックス」(キャリアウーマンのような女性が心の中に抱きがちな“理想の男性”に救われたい願望)と混同しないように。
●振動症候群=岩田弘敏『振動症候群』(近代出版1978)から。
●進路不安症候群=武田利邦『進路不安症候群の時代:登校拒否・いじめと学校化社会』(労働経済社, 1986)から。
●錐体外路系症候群=この一つに舞踏病がある。
●睡眠時無呼吸症候群【sleep apnea syndrome】=寝ている時に呼吸しないもの。いびきをかく人で10秒以上止まっている場合を無呼吸と言う。この無呼吸が一晩に30回以上あるいは1時間当たり5回以上出る状態を睡眠時無呼吸症候群と言う。
●睡眠相遅延症候群/睡眠相後退症候群=俗にいう「宵っぱりの朝寝坊」が近い。 概日(サーカディアン)リズムを環境サイクルに何とか同調させようとはするが、 位相が正常者に比べて著しく後退しているために起きる。睡眠相が遅れた状態で慢性的に固定された状態で睡眠は十分に取れているが、定刻に出勤・登校できない。思春期から青年期に発症することが多く、夏休みなどの長い休暇中の昼夜逆転生活、受験勉強などが誘因となる。「フクロウ症候群」と呼ばれるものがあるが、これはもっと若年層に現れるもの。
●スーパーウーマン・シンドローム【superwoman syndrome】=ストレス症候群の一つ。マージョリー・シェイヴィッツ『スーパーウーマン・シンドローム:仕事を持つ女性にとって「ほんとうの幸せ」とは』(光文社1987)から。 いわゆるキャリア・ウーマンが、職業人としてのみならず、よき妻、よき母親であろうとするあまり、焦ったり不安になったりするもの。現れる症状は身体症状が多く、動悸、息切れ、食欲不振、過食などのほか、神経性胃かいようや便秘、生理不順などがみられる。
●スーパーカップル症候群【supercouple syndrome】=「仕事も家庭も子育てもうまくいってなければならない」と思いこみ。ウェイン・M・ソーティール&メアリ・O・ソーティール『スーパーカップル症候群』(大修館書店/翻訳2000)から。
●スーパーベビー症候群【superbaby syndrome】=子供の早期発達のため赤ん坊に刺激を与える親の諸行為。
●スーパーマン症候群=ノーマン・スピンラッドの小説(『世界SFパロディ傑作選』講談社1980)に所収。
●杉林症候群=なだいなだ『こころを育てる 杉林がいいか雑木林がいいか』(ジャパンタイムズ2000)北山杉を美しいと考える感性で、日本人は全員に同じことをさせたがるクセがあるし、人間は皆同じと考えること。お役所の通達主義も全山に薬を散布するようなものを杉林症候群という。人と違うと社会性がない、協調性がないと排除しがちである(性格にすぎない)。日本の杉は一属一種の日本独特の木であり、ヒマラヤ杉やレバノン杉は日本の杉とは関係のない樹木である。
●スターバースト・シンドローム=谷口義明『宇宙のはてで銀河に会いたい:スターバースト・シンドローム』(丸善1992)から。
●スタンダール・シンドローム【Stendhal syndrome】=外国の美術や文化に圧倒された旅行者の精神的混乱。過度の感銘をした旅行者にみられるストレス。時には自分が有名文人だと思い込んだりする。これは作家のスタンダール(Stendhal)が1817年にフィレンツェを訪れた際この症状を起こしたと書いていることから。
ダリオ・アルジェント監督の映画『スタンダール・シンドローム』(“La Sindrome Di Stendhal”1996年)がある。猟奇レイプ殺人を追ってフィレンツェへと向かった女性捜査官アンナは捜査中に立ち寄ったウフィツィ美術館で1枚の名画の前に立った時、異変が起こる。絵の中に吸い込まれる幻覚に襲われ失神、そして記憶喪失。やがて彼女は捜査中の犯人に拉致され暴力的なレイプを受ける。さらに身動き出来ないまま眼前で見知らぬ女が犯されながら殺害されるのを直視。血に飢えた男は残虐さをエスカレートさせたまま逃走。アンナを挑発するかのごとく猟奇犯行が繰り返されて事件は、幻想と血の色に満ちた狂気の深淵へと突き進む……。
●スッポン症候群=スッポンのようにかみついたら離さない「大学を卒業して就職し、社会人になっても、その月給が少なくて暮らしていけないと親に泣きついて、親に援助を頼み込む若者の症状」(亀井肇『平成ボキャブラ事典』廣済堂文庫1994)。
●ストックホルム症候群/スウェーデン症候群【Stockholm syndrome/Swedish syndrome】=監禁していて人質の方が犯人に愛着を抱く場合(⇔リマ症候群)。スウェ−デンの首都ストックホルムで1973年に銀行強盗事件が発生した時の現象にちなんで命名された。逃げ遅れた犯人達が6日間にわたって警察が包囲するうちに、なんと人質たちは犯人に対して実に協力的な態度をとったのである。仮眠中の犯人に代わって見張り役をかってでたり、犯人に愛を告白したりする女性が出現した(後に結婚したという)。銀行内という狭い空間に長時間同居し、また人質という非日常的な 状況下に置かれた中での人間の心理状況を指す。
「家庭内ストックホルム症候群」【Domestic Stockholm syndrome=DSS】というのもある(岩月謙司『家族の中の孤独』ミネルヴァ書房)。子どもは親から見捨てられたら生きていけない絶対的弱者で、特に娘は父に対して愛されたいという弱みを持っている。そのため多くの娘は父のマザコンを憎む気持ちがあっても好きになる努力をしてしまう。幼い頃からそれをやっていると、恋人選びの時に父と同じマザコンのニオイを感じると、魔法にでもかかったように引き寄せられていってしまう。父がアル中であったり、暴力をふるう人の場合も同様だ。娘は無意識のうちに父と同じ欠点を持っている男性を見つけるとパタパタと近寄ってしまうという。
●ストレス症候群=ストレスの諸症状。関谷透の『ぼくは、もう笑えない! 子どもストレス症候群』(プラネット出版1990)や『ストレス症候群 再生へのカルテ』(佼成出版社1993)などがある。よく知られたもの以外に「触れ合い恐怖症候群」(人との付き合いが苦手)「ヤマアラシ症候群」(普通は「〜ジレンマ」)「バブル崩壊症候群」(バブル後遺症)「セルフナーバス症候群」(自分はどう見られているか)「いじめられ症候群」(部下からのボイコット)「サザエさん症候群」(故郷に帰りたい)「吐きだこ症候群」(食べても痩せたい)「飛行機雲症候群」(雲になりたい)「超高層ビル症候群」(地に足がつかない不安)「身だしなみ症候群」(パジャマで朝食)などを扱っている。
●スパゲッティ症候群=病院で患者が数多くの点滴や検査器具などの管などを付けている状態を指す。電気のコードなどの状態にも使う。
●世紀末症候群=73年『ノストラダムスの大予言』で「1999年、7の月……」という一節は、オイルショック、公害等の社会不安もあって、多くの若者によって信じられてきた。終末をどう生きるか、それまで生を享受しよう、悟りの境地に達したい、地球から逃走したい、保険に入ろう、刹那を生きよう――といった症状を総称。井川一久『世紀末症候群:ノスタルジー現象は破局の前兆』(太陽企画出版1988)など。
●清潔シンドローム=「潔癖症候群」とも。生活環境、自分の身体に関する異常な清潔感覚。1日に何度も下着を替えたり、「朝シャン」したり、何度もシャワーを浴びるなど身体・服装に異常なまでの清潔感を持つ。1991年の流行語。小林信彦『現代<死語>ノートII』にも採録。「抗菌」という言葉もこの頃からよくつかわれるようになった。
ジャン・ボードリヤールは「人体をあらゆる菌感染から保護するためには環境をテクノロジカルに純粋化することで、人間の内的免疫システムを補強しようとすればするだけ、人体は自己防御のシステムを退化させ、ますます人体を外部からまもる必要がでてくる。人体はそういう透明な被いのおかげで、皮肉にも免疫不全の状態におちいってしまう」と指摘している。
「幻嗅」となって妄想の一種となることもある。「対人関係の中でマイナスの意味で日立つこと」を嫌がる日本人の心の癖ともいえる。不登校や引きこもりの事例に自己体臭(自己臭)恐怖が背景にあることは少なくない。赤面恐怖や吃音恐怖から肉体的特徴に、「ココロ」から「モノ」に焦点が移りつつあるともいわれる。
●清浄症候群=1994年頃の原田宗典の言葉で、ポルノなどを悪書だと考える傾向。
●青壮年急死症候群=「ぽっくり病」。特発性心室細動例も多く含まれているそうだが、最近、この特発性心室細動の中からBrugada症候群などの特有の疾患が明らかになり、その本態として心筋細胞膜のイオンチャネルを支配する遺伝子異常が明らかになってきたという。
●生存者症候群【survivor syndrome】=災難に遭って、からくも生き残った人に見られる、繰り返す死の恐怖、鬱、持続する不安、情動麻痺などで特徴づけられるPTSDの症候群。
●青年期境界線症候群=森省二『正常と異常のはざま』(講談社現代新書)が扱っている。物事の不鮮明化が進んだ現代社会では、青春期における精神的な健康と不健康の境も曖昧になり、その境界線上(ボーダーライン)の若者が増えてきているのだ。森は精神医学的見地から、青春期特有の病態、境界線上の異常現象を論じるとともに、その原因を追求しつつ、最後に彼らが正常へと帰還する道を提案している。
●性別不快症候群=黒柳俊恭『彷徨えるジェンダー : 性別不快症候群のエスノグラフィー』(現代書館1987)から。
●セカンド・ヴァージン症候群=水野麻里『セカンド・ヴァージン症候群』(講談社1992)から。
●セルフ・ナーバス症候群=1991年の言葉。<自分のことを周りはどう思っているのか知りたい>と、民間調査会社に自分の上司や同僚が自分をどうみているかを調べてもらうような症状(亀井肇『外辞苑』平凡社)。
●セロトニン症候群【serotonin syndrome】=抗鬱剤セロトニンによる副作用。躁うつ病患者がうつ病相に転じた為、炭酸リチウムに加えてクロミプラミンの併用を開始したところ、発熱、発汗、振戦と共に錯乱状態を呈するもの。
●全身性炎症反応症候群(SIRS) =小川道雄編『全身性炎症反応症候群』(医歯薬出版)から。
●戦争症候群=ジャン・バコン他『戦争症候群』【Les saigneurs de la guerre】(竹内書店新社1983)から。
●先天性風疹症候群=妊婦の風疹罹患のために出生児に現れる種々の
障害を総称していい、母親が不顕性感染の場合でも起こりうるという。現在は女子中学生に風疹生ワクチン接種が行われている。●前頭葉症候群【frontal lobe syndrome】=自発性や意識の低下がみられ、何事にも興味を示さず、ぼんやりとすごすようになり、感情の動きが浅薄になり、周囲への関心や責任感が薄れ、大事な仕事を任せられなくなる。
●早期興奮症候群=渡部良夫編集企画『早期興奮症候群』(金原出版1984)など。
●早期老化症候群=河野和彦『若く見える人老けて見える人 : 加速する老化“早期老化症候群"を防ぐ』(法研1999)から。
●爪膝蓋骨(そうしつがいこつ)症候群【nail patella syndrome=NPS】=常染色体優性遺伝の遺伝形式をとる疾患。
●そこはか不安症候群=大沢悠『やすらぎの瞑想さがし:そこはか不安症候群とオウム』(第三書館1996)から。
●側頭葉症候群【temporal lobe syndrome】=記憶や言語の障害などの他、意識や関心が低下し、抑制を欠いた人格障害が起きる。
●ソヴィエト・シンドローム=アラン・ブザンソン他『ソヴィエト・シンドローム』(講談社1981)から。
●ソビエト軍事症候群=杉山徹宗『ソビエト軍事症候群』(原書房1983)から。
●ゾリンジャー・エリソン症候群【Zollinger-Ellison syndrome】=膵臓小腸にガストリンを産生する腫瘍ができて胃液の分泌が過剰となり、難治性の消化性潰瘍が出現するもの。
●ゾンビ症候群=牛場靖彦『危機は人なり 一流企業を蝕むゾンビ症候群 三菱商事エリートが警告!』(山手書房1983)から。
た行 ●ダーティフーズ・シンドローム=矢牧健太郎『ダーティフーズ・シンドローム:核物語: 放射能汚染の基礎知識』(ワコー1987)から。
●ターナー症候群【Turner's syndrome】=原発性卵巣形成不全。第二性染色体の欠損により生じる先天性異常。性腺の発育が遅れる。“XO症候群”とも。やや背が低く、首が太く、子供は産めないことが多いこと。それと、社会的適応能力が 低いこと。他人の表情とか声の調子とか、しぐさを読み違える。
●ダイアナ症候群=1997年にイギリスの元皇太子妃ダイアナが亡くなったが、(それまで行動を非難していた人も含めて)その追悼で、24億人と言われる人々が悲嘆にくれる現象。「恋多き女」は一夜にして「聖なる女性」に変身し、ダイアナ神話はたちまち地球をひとり歩きし始めた。関連の書物は50冊を超え、音楽のCDや肖像の土産物は売れに売れた。
●ダイエット症候群=中島梓の『コミュニケーション不全症候群』(筑摩書房)はおタク、ダイエット症候群、JUNE(ジュネ)小説の世界の3つを取り上げ、その病態を詳しく述べ、さらにその3者をコミュニケーション不全症候群という1つの概念で括っている。また、鷲田清一『ちぐはぐな身体』(筑摩書房プリマーブックス)でも使われている。元ダイアナ王妃や宮沢りえのように(十分やせているのに)よりスリムな体を目指してダイエットすること。
●胎児アルコール症候群【fetal alcohol syndrome=FAS】= (妊娠中の母親の酒の飲み過ぎによる知能障害・水頭症など。
●大動脈炎症候群(高安病=たかやすびょう)=高安動脈炎とは身体に酸素や栄養を運ぶ道路にあたる動脈網の中で、特に幹 線である大動脈や頭部に血液を送る血管(総頚動脈、椎骨動脈)、手に血液を送る血管(腕頭動脈、鎖骨下動脈)、肺機能を司る血管(肺動脈)、心臓を養う血管(冠動脈)に原因不明の血管炎がおこり、その結果、血管内腔が狭まったり、時に閉塞したり、あるいは逆に広がって膨瘤(動脈瘤)を作ったりする疾患。日本の高安右人教授が1905年初めて報告したことから命名された。
●台所症候群=桂戴作『台所症候群』(サンマーク出版1983)、木村栄他編『壁のなかの主婦たち』(汐文社1983)など。便利な電化製品のおかげで家事は楽になったが、逆に断片化してきて、無限に繰り返される一種のむなしい雑用になっていること。
●体罰シンドロームの=鈴木孝子(保坂展人解説)『子どもたちの悲鳴 体罰シンドロームの学校で 』(風媒社1985)から。
●胎便吸引症候群【meconium aspiration syndrome=MAS】=対弁を吸引してしまった胎児に起きる症状。胎児が低酸素血症などの窮迫状態になると呼吸運動が強く起こり、羊水が吸引されるが、このような状態ではほとんどの場合、通常では起こらない胎便の排泄が起こり、羊水内に胎便が排泄され、混濁した羊水を吸引することになる。
●ダウン症候群【Down syndrome】=J・L・H・ダウンが1866年に記載した染色体異常による精神遅滞の一種。低身長、広く平坦な顔などと知能障害を特徴とする先天性疾患。主な臨床症状は、精神薄弱のほかに特有な顔貌(目がつり上がっている。目頭に鎌状の皮膚ヒダがある。左右の目頭間の距離が広く、鼻が低いなど)、手指の異常(指が短く太く、掌紋が猿線〔シミアン・ライン〕を示すなど)。また、筋緊張低下、もち肌、耳介変形などで、しばしば先天性心疾患を伴う。高齢出産の場合に生まれる頻度が高い。21番染色体のトリソミー(trisomy)が原因とされる。“trisomy21”ともいう。「蒙古症」“Mongolism”と言ったこともある。
●駄々っ子症候群=成人式の講演も聞けない若者や国旗を会見場に掲げることも嫌う新聞社を批判して産経新聞が999年9月7日の社説で使っていた。
●ダチョウ症候群【ostrich syndrome】=ダチョウは、ライオンなどの強敵に追い詰められると、恐怖から逃れるため、砂に首だけ突っ込んで何も見ない状態を作るという。そこから転じて、精神的に追い詰められた人が、直面する課題を正視できなくなる状況を症状を示している。精神病理学者・小田晋が使っていた。
●多動症候群=ADHD。1996年に石崎朝世編著『落ち着きのない子どもたち』(鈴木出版)が扱っている。
●タナトス・シンドローム=ウォーカー・パーシー他『タナトス・シンドローム』(“The Thanatos Syndrome”角川書店1989)から。
●ダニエル・キイス症候群=『ダニエル・キイス症候群:多重人格とココロの病の物語』(トーキングヘッズ編集室1993)から。 ダニエル・キイスは『24人のビリー・ミリガン:ある多重人格者の記録』を書いている。
●たばこ依存症候群=一連の行動、認知及び身体的現象。反復使用後に現れ、典型的にはたばこ摂取を強く渇望し、使用の制御が困難になり、有害な影響があるにも関わらず持続して使用し、たばこ使用に関して他の活動や義務よりも一層高位の優先権を与え、耐性が亢進し、時に身体的状態を示す。
●玉の輿症候群=1988年の流行語。小林信彦『現代<死語>ノートII』によれば「マスオさん現象」が1989年の流行語になっている。その後、「逆玉の輿」(逆玉)という言葉が流行した。
●だれかがどうにか症候群=頼藤和寛『だれかがどうにか症候群』(日本評論社)。親や教師などはっきりしている対象への依存や甘えとは少し違うという。特定の対象がなくて「誰かが」と漠然としていて、具体的要求もしないで、誰かがどうにかしてくれる「はずだ」と「あて」にしている。このような若者にものを尋ねても、「分からん」「べつに」「どっちでも」の返事が多い。「ぜひとも」「後生ですから」と執着するほどの情熱がない。我慢もしていないかわりに簡単にあきらめもできる思い切りのよさもある。(思いつめていないので思い切る程のものでもない)だからクヨクヨ悩むこともないので、不適応の症状も示さない。したいことはするが、いやなことはしない主義で、結婚するでなく、きちんとした仕事をするでもなく、たまにアルバイトして何となく生きているスタイルで生活している。
●ダンピング症候群【dumping syndrome】=胃切除の手術を受けた後におこる胃切後遺症の一つ。食後、胃部の膨満感・圧迫感・悪心・嘔吐があり、脱力感・めまい・発汗・心悸亢進などを伴う。
●チェディアック・東症候群【Chediak-Higashi syndrome/Chediak-Steinbrinck-Higashi syndrome】=常染色体性劣性遺伝による疾患。色素欠乏・白血球の顆粒の奇形・細菌症に感染しやすくなるなどの症状を呈する。
●チェルノブイリ・シンドローム=1986年4月26日の事故から。田中靖政『チェルノブイリシンドローム』(電力新報社1989)などがあり、同名のビデオがあった。
●父親不在シンドローム=斎藤茂太『父親不在シンドローム』(読売新聞社1987)から。
●ちびまる子症候群=『ちびまる子ちゃん』が日本国民に圧倒的に受け入れられている現象。郷愁に浸るこの漫画は現代文明の否定という人もいた。
●チャイナ・シンドローム【China syndrome】=仮想し得る最悪の原子炉事故。原発が炉心溶融(meltdown)を起こして炉が溶けて、そのまま地球の中を通ってアメリカの反対側にある中国まで行くという喩え。ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン主演の映画『チャイナ・シンドローム』(ジェームズ・ブリッジズ監督1978年)にもなった。スリーマイル島の原発事故とも重なり、大ヒットした。
原子力発電所を取材中に、偶然、"小さな事故"の現場に立会い、フィルムに納めるが、上からの圧力によってそのニュースはNGとなる。一方、ベテラン技術者ジャックは、原子炉の運転が再開された後も、事故の原因に不安を覚えていた。そして調査の後、運転を再開した発電所では一人の技師が原発の欠陥を発見していた。そのことを知った3人は彼の協力を得て恐るべき真相へ迫り、この事件を世間に公表しようとするのだが…。
●チャンネル回し症候群=意味もなくテレビのチャンネルを回すこと。CMになると必ず他のチャンネルを回してしまうこと。
●中華料理店症候群【Chinese-restaurant syndrome】=中華料理を食べてから30分前後で生じる、中華料理に加えられたグルタミン酸ソーダ(MSG)によるとされる頭痛、発汗などの症状。
●肘部哲症候群=肘で尺骨神経に圧迫や牽引などが加わり生じる神経の障害。 麻痺の進行により症状が違う。初期は小指と環指の一部にシビレ感が出現する。
●中葉症候群【middle lobe syndrome】=無気肺の一種。
●朝刊シンドローム=朝から無気力な状態を指し、笠原嘉『朝刊シンドローム:サラリーマンのうつ病操縦法』(弘文堂1985)がある。
●長時間労働シンドローム=辻岡靖仁『長時間労働シンドローム』(学習の友社1984)から。
●尽くさずにいられない症候群=ハーベイ・ホーンスタイン『尽くさずにいられない症候群:道具としての愛しか捧げられなくなった男たち』(JICC出版局 1992)から。原題は“A Knight in Shining Armor”。
●つくば症候群=小田晋が筑波大学で外来の研究者や学生に接し、季節性のうつ病などの「つくば症候群」を見いだし、つくばの環境との関連性を明らかにしたもの。最近は見られなくなったという。
●っていうか症候群=否定を言い換えで誤魔化す若者たちの心理っていうか秋元康『っていうか症候群:君ってこういう人 』(扶桑社 1997)のタイトル。
●つながり依存症候群=談合体質のこと。佐々木英和(1998年)「自己の『いま』とつきあうということ…『時代―世代』論的困難の直視として」『人間性心理学研究』第16巻第1号、日本人間性心理学会、22-29ページ)。
●洞機能不全症候群【Sick Sinus Syndrome】=洞結節とその周辺、さらに心房から房室結節に及ぶ細胞の脱落と線維化、洞結節動脈の閉塞性病変がみられることがある。
●帝王切開症候群=帝王切開をしたことによって起きる症状。
●適応反応シンドローム=カルチャーショック。頭痛、腹痛、胸痛、腰痛、めまい、吐き気、下痢、発熱などの心気症、消化器系疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患、内分泌・代謝系疾患、神経系疾患などの心身症が挙げられる。
●テクノストレス症候群=コンピューターなどのハイテク機械によるストレス。アメリカの心理学者クレイグ・ブロードが1984年に発表した(『テクノストレス』新潮社)。ハイテクを使いこなせないために起きる「テクノ不安症」と、過剰に新しい技術に適応しすぎる「テクノ依存症」がある。久保明『「心のカゼ」の処方箋』(光文社カッパブックス)にも出てくる。下田博次『テクノ症候群:いまコンピュータ現場で何が起きているか』(ティビーエス・ブリタニカ1984)など「テクノ症候群」ともいう。
●テディーベア症候群【teddy-bear syndrome】=一人でいることが不安で、縫いぐるみによって安心感を得るような気持で結婚や同棲をすること。
●テトリス・シンドローム=1989年の言葉で「テトリス」をいったん始めると止められなくなる症状(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●でもね症候群=「1991年の言葉。若いOLたちの間に広がっている<現状ぐちこぼし、前向き志向拒否症候群…<でもね>と後ずさりする」(亀井肇『平成ボキャブラ事典』廣済堂文庫1994亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●テラー(恐怖)・セックス症候群=英タイムズ紙が伝えたが、2001年9月の米同時多発テロの恐怖が癒えないニューヨーカーの間で流行。眠れない夜を「セックスで癒そうとしている」。普段は他人に無関心で、クールなニューヨーカーだが、事件後、話し合う相手、抱擁してくれる相手を求める人が急増。同性愛者も以前に増してパートナーを求める動きが加速してきたという。昔の恋人とよりを戻すケース、結婚をためらっていた男女が結婚に踏み切るケースも増えたという。
●てんかん症候群=医学用語。
●店長拒否症候群=1991年の言葉。中央集権的チェーンシステムで店長になっても権限がわずかで、たまるのはストレスだけということで拒否すること(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●点滴症候群=1994年の言葉。点滴に頼るようにオリゴ糖、βカロチン、ファイバー、ビタミンなどの入った新食品に依存する現象。日常の食生活や健康への不安感の表れ?とも言われた。
●トイレットシンドローム=痔のこと。坂元一久・平田雅彦『トイレットシンドローム』(三輪書店1990)から。清水義範は『世にも珍妙な物語集』の中で海外旅行中に2時間ごとにトイレに行かなければならないという、日本人の強迫観念のことを茶化して「トイレットシンドローム」と呼んでいる。
●同一性拡散症候群=アイデンティティ(自己同一性)を形成する途中で、自意識過剰、社会的な遊びを楽しめない、などの障害が起きて自分に関してはっきりした定義ができなくなること。
●洞機能不全症候群(病的洞結節症候群)=洞房結節の自動能が障害されるために、徐脈や頻脈などの不整脈を伴う疾患。
●東京症候群=『新・日本人の条件/1/NHK新・日本人の条件』(日本放送出版協会1992)から。
●東京恋愛症候群=同名のドラマ(MBS・SMAPの中居が主演1994年)。
●頭内爆発音症候群【exploding head syndrome】=中年男女に特にみられる後頭部の奥で爆弾の破裂音に似た音を感じる症状。
●逃避シンドローム=P・K・ディック『悪夢としてのP.K.ディック』(サンリオ1986)から。
●トゥルー・ビリーバー・シンドローム(信じ込み症候群)【true-believer syndrome】=超常現象や超自然現象を、それがただのいんちきにすぎないと決定的に証明された後でさえ信じ込むことである。そうした明白な認知障害について、M・レイマー・キーンが表現した語である。オウム真理教の信者にも多い。
●トゥレット症候群【Toulette syndrome】=チック症の中で最も重症のものであり、自分の意志とは無関係に、突然繰り返して起こる体の運動(運動チック)とノドや鼻を鳴らしたり、「…ばか、…ちくしょう」などと声を出す事(音声チック)とを主症状とする家族性の神経の病気でいわゆる「チック」とは違うものと考えられている。普通18歳以前、しばしば6-8才に出現し、強くなったり、弱くなったりして1年以上続く。この病気は、女児に比べ男児に3-4倍多くみられる。最初に記した(1885)フランスの神経学者Georges Gilles de la Tourette(1857-1904)から命名して「ド・ラ・トゥレット症候群」とも。
●ときめき喪失症候群=評論家の樋口恵子の言葉。夫と妻のときめきの時間が違うことが熟年離婚などの悲劇を生むと考える。
●毒性(毒)ショック症候群【toxic shock syndrome=TSS“toxic shock”】=高吸収性のタンポンを使用している生理中の女性によく発症する。黄色ブドウ球菌毒素が原因の症候群。突然の発熱、胃腸症状、日焼けに似た発疹、血圧低下などが出現し、時に死に至るという。プロクター・アンド・ギャンブル社の“Rely”というタンポンが関係あるとして生産中止になった。
●途中下車症候群=吉川武彦『途中下車症候群:“時代”に圧し潰された若者たちの不気味なメッセージ』(太陽企画出版1994)から。深刻な無気力を生む退却神経症(笠原嘉の提唱)とは違った軽い“のり”で、周囲の景色に誘われてふっと途中下車するように、学校に通わなくなったり、会社や役所を辞めてしまう人。次に何をするという、目的や理由のようななものがないことが多い。「やーめた」「めんどうくさい」「うざったい」から下りるという「おんりシンドローム」(吉川武彦)とも共通するところがあるが、おんりシンドロームの心性が、より未熟と考えられる。
●とってもシンドローム=久美沙織『とってもシンドローム』(集英社1982)から。
●ドライアイ症候群=コンピューターのDVTなどの凝視による目の乾きとそれによって起きる病気を指すことがある。
●努力症候群【efffect syndrome】=「心臓神経症」“cardiac neurosis”とも。
な行 ●内分泌疾患症候群【ドイツ語で“endokrines Psychosyndrom”】=精神症状と内分泌疾患には密接な関係があり、その精神症状として三つあり、内分泌疾患症候群、健忘症候群、外因反応型である。
●夏休みボケ症候群=そのままだが1999年の8月25日毎日新聞朝刊が使っている。
●におい恐怖症候群=80年代半ばから始まってきがともかく自分も他人もにおいを出さないことに腐心するようになっている(亀井肇『外辞苑』平凡社2000「ケッペキ族」)。
●逃げ腰症候群=ソーニャ・ロウズ、マーリン・S・ポタッシュ『逃げ腰症候群』(新水社 1990)から。
●偽の(誤った/作られた)記憶症候群【false memory syndrome】=FMSF【False Memory Syndrome Foundation】という団体名から取られた。これは年老いた親が、既に自立したはずの子どもたちから告発されることに対抗して精神科医やカウンセラーを逆に告発する団体。治療者によって「誤った記憶」が作られることがあるからである。「アダルト・チルドレン」の増加とも無関係ではない。ACブームの解毒剤としてU・ヌーバーの『〈傷つきやすい子ども〉という神話』(岩波書店)が出版された。全てを親に責任転嫁するのは安易だというのだ。セラピストとクライアントの共犯で「物語再構築作業」をしてしまう危険性があるという。フィル・モロン『フロイトと作られた記憶』(岩波書店)には定義がある。
●乳児揺さぶり症候群【shaking baby syndrome=SBS】=1歳未満の乳児、特に生後6か月未満の乳児において、大人が抱いて、急速に激しく、頭部を揺らすことにより、様々な障害を来す。バーテンダーがカクテルをつくる際にシェークする様に例えていう。乳児虐待の一種として理解できるという。
症状は何れも、激しく頭部が揺さぶられることにより、頭蓋内での打撲といえる状況や頭蓋骨から脳表に至る小血管が障害されて出血したりすることによる。
虐待だけでなく、未熟な、育児体験の乏しい保護者により、意図しないで、結果的に激しく揺すぶられたためにされた例もある。
●乳幼児突然死症候群【sudden infant death syndrome=SIDS)=コット・デス【cot death】とかクリブ・デス【crib death】とも呼ばれる。小さな子どもが突然亡くなってしまうこと。原因ははっきりわかっていないが、一般に男児にやや多い。母乳栄養児に比して人工栄養児に多く、出生時の体重で低体重児に多い傾向があり、季節的に冬と夏に多い(5月と12月に多い)が、地域差もある。煙草の影響とか、うつ伏せ寝とか、室温なども影響するといわれているが明確ではない。乳児千人に対して0.5〜1人の割合である。阿部寿美代『ゆりかごの死:乳幼児突然死症候群「SIDS」の光と影』(新潮社1997)など。
これとは別に「乳児呼吸停止症候群」【nfant apnea syndrome】がある。
●ネフローゼ症候群【nephrotic syndrome】=シドニー五輪で柔道女子57キロ級で銅メダルを獲得した日下部基栄は小さい頃、ネフローゼ症候群で幼稚園を1年休んだという。ネフローゼ症候群は、原因の不明な特発性ネフローゼ症候群と、糖尿病などの全身性疾患や感染症、薬物、アレルギーなどによって、糸球体の機能が障害されて起こる二次性ネフローゼ症候群とに大別される。前者は小児期に多く、後者は20歳代の女性に多くみられる傾向がある。
●〈農夫症〉症候群=中年以後の農民に多発する特有の症候群。若月俊一が「農婦病」「農夫病」でもなく、症候群として〈肩こり、腰痛、手足のしびれ、夜間の多尿、息ぎれ、不眠、めまい・たちくらみ、腹はり〉の8症候が挙げた。
●のび太症候群=科学的技術に支えられた万能感。人気アニメ「ドラえもん」ののび太から。影山任佐『仮面をかぶった子供』(ごま書房1997)が使っていて「少年犯罪の核心には自己の存在を確認したい動機が横たわっている」と指摘し「普通の子供」がさまざまな罪を犯す心の動きに迫っている。症候群を「コンプレックス」とも表記する。
影山は98年の黒磯バタフライナイフ事件を踏まえた『「空虚な自己」の時代』(日本放送出版協会1999)の中で「超のび太症候群」=「のび太症候群」+「生活ソフト欠乏症」ということを言っている。特に「生活ソフト」の中でも忍耐力とか対人コミュニケーションに関するソフトが欠乏しているという。
2000年に愛知で主婦を殺した17歳の少年も「殺人を経験してみたかった」と話したが、彼も万能感をもっていたのかもしれない。
万能感を持って育っている若者は同時に世間がままならないことも知っている。この「誇大自己」とのギャップが周囲から自分の存在を容認してもらいたいために大きな事件を起こすことも考えられる。
●のび太・ジャイアン症候群=司馬理英子『のび太・ジャイアン症候群1.2』(主婦の友社)が『ドラえもん』ののび太もジャイアンも注意欠陥多動障害(「多動症候群」とも=ADHD)【Attention Deficit/Hyperactive Disorders】だったと書いている。ADHDは、これまで日本ではあまり認知されず、「落ち着きのない、しまりのない子ども」(「のび太」)とか、「乱暴で、我慢のきかない子ども」(「ジャイアン」)として、学校制度の中で落ちこぼされ、あるいはいじめられっ子・いじめっ子となって苦しんできた。一定の診断基準によってADHDであることがハッキリすれば、今日ではリタリンなど効果の高い薬と環境改善等によって、治療が可能であるという。
注意欠陥多動障害(ADHD)はLD【learning disabilities】の中に含まれるという。症状としては、落ち着きがなく、集中力もなく、うろうろと意味なく動き回り、切れると感情がコントロールできなくなり暴れたりする。そして、その間のことは記憶がないという。宿題や身の回りのことが簡単には出来ない場合が多く、親や教師に怒られ続けて大きくなると「自分は駄目な人間なんだ…」と思うようになり、二次的障害を併発することもある。「パニック・ボーイ」と呼ばれる授業崩壊の原因にもなる。ADHDの子供が悪ガキ番長(ジャイアン)となり、いじめられっ子や子分(のび太)が出来て『のび太・ジャイアン症候群』(主婦の友社)が発生すると司馬理英子は説く。司馬は『へんてこな贈り物』(インターメディカル)というADHDを扱った本も翻訳。石崎朝世『落ち着きのない子どもたち・多動症候群への理解と対応』(すずき出版)もあるようだ。
その特徴は次の通りだという。
1.不注意
- 学業などに綿密な注意を払えない。
- 注意の持続が困難。
- 話しかけられても聞いていないように見える。
- 指示に従えない。
- 課題などを順序立てるのが困難。
- 精神的努力を要する課題を避ける。
- 必要なものをよくなくす。
- 刺激により容易に注意がそれる
- 毎日の活動を忘れやすい。
2.多動性
- 手足を動かしたり、いすの上でももじもじする。
- 座っていられない。
- 不適切な状況で余計に走り回ったりする。
- 静かに余暇活動ができない。
- まるでエンジンで動かされているようだ。
- しゃべりすぎる。
3.衝動性
- 質問が終わらないうちに答えてしまう。
- 順番を待てない。
- 人のじゃまをする
モーツァルトなどADHDだったと言われる天才も多い。
は行 ●ハーレクイン症候群=ハーレクイン・シリーズばかり読んで自分の周りにあり得もしない恋愛に憧れる心情(「シンデレラ・コンプレックス」)、と思っていたが、違うようだ。米山公啓『ハーレクイン症候群―ドクター勾坂の事件カルテ No.03』。主人公の勾坂俊介はパソコン・ネットーワークを使った医療相談「電脳メディカル・クリニック」を行う医師。電子メールの相手は片方の頬だけが赤く染まる奇病「ハーレクイン症候群」の女性患者。しかも、銀行員である彼女の父親には10億円横領の嫌疑がかけられていた。美人ハッカーの手を借りて調査に乗り出した勾坂は、ネットワーク上にさまざまなトラップを仕掛けて翻弄する真犯人の正体を追いかけるというストーリー。
●パーキンソン症候群【Parkinson's syndrome】=パーキンソン病と鑑別できないところから。ある物質の濫用、脳膜の炎症などの結果出現する。ボクサーによく起こる。
●ハマン・リッチ症候群=肺繊維症の症状の一つ。肺に瀰漫(びまん)性に結合組織が増生して肺の硬化と呼吸不全を来す疾患。
●ハイスクール症候群=大木薫『ハイスクール症候群:10代のオムニバス・ウォッチング』(ぎょうせい1988)から。
●ハイテク症候群=テクノストレスとは逆に「コンピュータを通してしか人間関係を築くことのできない」症候群。
●ハイパーストレス症候群=『知恵蔵』に出てくる。家庭及び職場などが現場となるが、時代背景を重く背負う。過労、バックラッシュ、共ハラ、SBSなどの職場の状況に原因するもの、劣悪な居住環境によるものなど過労死やCFSに至るか、子供や配偶者らへの暴力が世代間伝播する場合も。
●肺胞低換気症候群=肺の換気(空気を入れ換える)調節の障害などにより、肺に流れ込む新鮮な空気の量が減ってきてガス交換が悪くなる病気。
●廃用症候群=寝たきりになることによっての弊害。
●播種(はしゅ)性血管内凝固症候群=「DIC症候群」とも。
●パソコン通信症候群=早川玄『サイバー大魔王の襲撃:パソコン通信症候群のカルテ』(中央公論社1993)から。
●働き蜂症候群=日本人の働き過ぎの傾向をいう(佐賀新聞1995年3月28日)。
●バットマン症候群=1989年の言葉で映画『バットマン』がヒットしたことを指す(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)
●バッツ症候群【BUTS syndrome】=冷房病より怖い無自覚性両側耳管狭窄(BUTS)症候群。体の冷やし過ぎが脳血流の低下や自律神経失調、抵抗力低下、慢性疲労などを生む。
●はっぴい・シンドローム=大谷駿雄の同名の戯曲(『てあとろ』1986年2月516号)。
●発揚症候群=「抑鬱症候群」とも。下田光造が提唱した「執着性格」と関係した症状。
●パニック症候群(不安神経症)=パニック障害【panic disorder】。1980年代に命名された現代病である。乗り物や人混みの中で突如強い恐怖や不安に襲われ、動悸、発汗、震えなどの症状をともなう。だが、心電図を調べても異常はない。原因は精神的ショックやストレスから来ている。外に出るのが怖くなる。「広場恐怖症」【agoraphobia】でもパニック障害を伴うものと伴わないものがある。年齢的には25から44歳の年齢層の女性にやや多く、抗うつ薬や抗不安薬がよく効くことも分かっている。
マフィアのボスがかかったストーリーの『アナライズ・ミー』(ロバート・デニーロ主演“Analyze This”1999年)という映画がある。
●歯ブラシ使用困難症候群=岩城宏之が「時のかたち」(朝日新聞2001年8月3日)で一日に腕を2万回近く振る職業病で電動ブラシしか使えないことをいう。
●バリント症候群=失認の一種。
●バルカン症候群【Balkan syndrome】=コソボ自治州でNATO軍のユーゴ空爆した後生まれた、劣化ウラン弾による症状。2000年11月5日から毎日新聞が特集した。
●春の急性向学症候群=新学期になると、書店には情報整理術、文章作法、読書術を説く勉強本が並ぶが、文芸評論家の斎藤美奈子はこの現象を『読者は踊る』(マガジンハウス刊)の中で「春の急性向学症候群」と名づけている。
●バンカー・シンドローム=小西輝夫『バンカー・シンドローム:サラリーマンの心の危機』(東京書籍1986)から。
●反核運動症候群=反核研究会『亀裂』(日中出版1986)から。
●ハンター・ラッセル症候群=水俣病の症状。
●犯罪症候群=別役実『別役実の犯罪症候群』(三省堂1981>ちくま文芸文庫)のタイトル。日本で「症候群」を病名以外に使ったのはこの本が最初である。
●バンチ症候群【Banti syndrome】=イタリアの病理学者バンチ Guido Banti(1852‐1925)が慢性貧血と脾腫で発症し末期に肝硬変で死亡する疾患について研究し、この病気の根本原因は脾臓にあると考えてバンチ病という名称を提唱した。ところがそれ以降の研究で彼の脾臓原因説は否定され、今日ではバンチ病(あるいはバンチ症候群)は脾機能亢進症の中に含まれるとする意見が強いようだ。
●汎(はん)適応症候群【general adaptation syndrome】=「一般〜」とも。ストレスによって生体に起こる炎症、発熱、胃腸の潰瘍(かいよう)などの症候群。警告反応期から抵抗期を経て疲弊期に至る。均衡状態を保とうとするホメオスタシスがストレスに対して人の身体は防衛機能を働かせるが、セリエは汎適応症候群と呼び、これを説明する中でストレスの概念を導入した。
●バン・デル・ヘーベ症候群=骨形成不全症に出てくる病気。
●バンビ症候群【Bambi syndrome】=自然公園などで観光客が子鹿のバンビ(Bambi)をかわいがるように、動物に対してなれなれしく接するため、時として襲われること。日本だと「日光の猿症候群」ともいうべき。
●悲哀排除症候群=現代社会は病や死を遠ざける方向で進んできたが、死への恐れや悩み、悲しみから、悲哀・喪の心理を世の中から排除し、面白おかしく伝えることで軽視しようとしたり、眼前の快楽や成功だけを追求したり、死や病を日常から切り離そうとしたりする傾向。また、対象喪失に出会わないようにはじめから、失うべき目標を持たないとか、失っても傷つかない程度の人間関係しかつくらないなどの、モラトリウム人間の増加も指摘されている。こうして人々は、心の通い合った本当の人間関係を作れなくなっていく。ここに、コミュニケーションの希薄化を見出すことができるという。
●ピーターパン・シンドローム【Peter Pan syndrome】=アメリカの実存心理学者であるダン・カイリーが1983年に提唱した概念であり、J・M・バリーの戯曲『ピーターパン』の主人公の心性にちなんで、現代に生きるある種の男性の心理現象を症候群としてとらえた。カイリーの『ピーターパン・シンドローム』の副題が「決して成長しない男たち」であることからもわかるように、一般にこの言葉は、大人への成熟を拒否しいつまでも子どものままでいることを願う「おとな・こども」の男性の社会的、心理的傾向を指して用いられる。社会的経済的に中流から上流の階級に属し、ホワイトカラーの父親と専業主婦の母親の間に生まれた長男で、外見は一見愛想の良い好人物。その多くは独身で、経済的には親がかりであり、高学歴を持ち、立派なキャリアに憧れるが、努力を怠るため職場を転々とする。1984年(翻訳された年)の流行語。小林信彦『現代<死語>ノートII』にも採録。
モラトリアム人間→ピーターパン症候群→アダルトチルドレンと流行り言葉は変わっても、日本人の幼稚さは変わっていないようだ。
「永遠の少年」ともいえるが、これは古代ギリシアの神のオウィディウスの転身物語に由来する。この神は成人することなく死に、太母の子宮のなかで再生し、少年として再びこの世に現れ、決して成人しない英雄であり、神の子であり、太母の申し子である。この神話に由来してC・G・ユングは「永遠の少年」と名付けた。
カイリーには『ウェンディ・ジレンマ』という続編もあってこちらは大人になれないピーター・パンたちの母親を止めて、自立したティンカーベルのようになれ、と説いている。女性が男性に依存する生き方を止め、自分自身のための生き方を身に付ける。妻であり、母である以前に、まず自分自身になる必要があるという。
●ひきこもり症候群=「社会的ひきこもり」(Social Withdrawal)の症状で最近多くなったと言われる。斎藤環『社会的ひきこもり』(PHP新書)などがある。2000年の京都の小学生殺人事件(“てるくはのる”)で有名になった。
英語で“withdrawal syndrome”というと「離脱症候群」で嗜癖性のある薬剤を突然中止したことにより現れる種々の症状をさすようだが、なだいなだ『ふり返る勇気』(筑摩)には次のように書いてある。
日本では「引きこもり」などという特別な言葉が流行してしまったが、西欧諸国では、家を出られない場合に、広場恐怖という言葉が使われてきた。閉所恐怖は素直に取り入れられたのに、どうして広場恐怖という名前の方は、日本で定着しなかったか? ぼくの答。「広場がなかったからだ」。
フロイトが訪ねてきたフェレンチに、そっと自分が広場恐怖をまだ完全に克服できていないことを告白した、という逸話を読んだことがある。この話には、告白されたフェレンチが、実はわたしもだ、と答えたというおまけまでついている。広場恐怖が、西欧ではありふれた症状だったことが知れる。
●被虐待児症候群/児童受傷【battered child syndrome】=「殴打された子の症候群」とも。両親や保護者に繰り返し叩かれたり、虐待を受けている幼児が呈する種々の肉体的受傷。外傷、るいそうの総称。発見されないで外来に通院している例も多い。1961年、米の小児科医ケンプが「被虐待児症候群」の存在を報告して注目された。加害者が保護者で、加えられた行為が偶発的な事故でなく、反復・継続的になされるのが特徴。
一般に身体的虐待、保護の怠慢ないし拒否、性的虐待、心理的虐待の4つに分類される。
虐待する親の共通点を池田由子は「概説・被虐待児症候群」(『現代のエスプリ・被虐待児症候群』至文堂)で次のように述べている。
- 彼らは子ども時代に親からやさしく愛され、保護された経験がない。
- 彼らは我が子に対して不正確な認知のしかたをしている。
- 家庭内にストレス状況がある。
- 体罰が適切な躾の手段と信じこんでいる。
厚生省でも95年度から、養護施設に24時間対応できる専用電話を設置し、地域の子供や保護者、住民から虐待の通報を受け付け、児童福祉アドボケーター(権利擁護者)を派遣する制度を発足させることになった。
なお、親が子どもから暴力をこうむる(「家庭内暴力」)のは「被虐待親症候群」という。
●ピグマリオン症候群【Pygmalion syndrome】=自分の作ったモデル(理論)を現象(事実)そのものより優先することを、自分の作ったビーナス像に恋をしてしまった彫刻家ピグマリオンにちなむ(バーナード・ショウ『ピグマリオン』という戯曲があり、ミュージカル化されたのが『マイ・フェア・レディ』)。
なお、「ピグマリオン効果」【Pygmalion effect”は誉めて育てる、など先入観による期待の学習者に与える効果を意味する。
●微細脳損傷症候群=医学用語。
●美少女症候群=『美少女症候群』(ふゅ−じょんぷろだくと)があって添えられた英語は“Lolita syndrome”。
●ビッグ・ガバメント・シンドローム=内田満『政党政治の政治学』(三一書房1981)から。
●ピックウィック症候群【Pickwickian syndrome】過眠、低換気および多血症を伴った極端な肥満が特徴の病気。ディケンズ(Dickens)の小説『ピックウィッククラブ遺文録』“The Pickwick Papers (The Posthumous Papers of the Pickwick Club)”のJoeがこの症状だったことから。
●ビッグ・ブラザー症候群【Big Brother syndrome】=ジョージ・オーウェルのSF『1984年』に出てくる支配者のビッグ・ブラザーのように、個人の生活を全て監視してしまうこと。ネット社会で再び脚光を浴びた。
●羊症候群=臆病で、1匹の羊が右を向けばみんなが右を向くもの。日本の企業のような体質。
●ひとりにしないで症候群=この中には例えば「ランチメイト症候群」や「携帯(電話)依存症」などがある。前者は一人で食事をしていると友達がいないのではないかと思われるのが嫌で一緒に食べたりするし、後者は絶えず他人と電話で会話していないと不安になってくるもの。
●泌尿器症候群(FUS)=ドライフードを主食にしている若い猫に多く発生。
●皮膚粘膜リンパ節症候群【mucocutaneous lymphnode syndrome =MCLS】=川崎病。
●ヒラリー症候群=クリントン大統領のヒラリー夫人のように政治に口を出すこと。2000年夏に野党保守党が英ブレア首相の奥さんが罹ったと批判した。
●ファミコン症候群=「縦人間関係が切れ、横人間関係の希薄化によって自閉傾向を示した人が、残る心的エネルギーを模擬社会で燃焼させている」(吉川武彦)というのもの。深谷昌志・深谷和子『ファミコン・シンドローム』(同朋舎出版1989)などがある。『ファミコン症候群:任天堂奇跡のニューメディア戦略』(洋泉社1986)は任天堂の商法を指す。
●不安症候群【anxiety syndrome】=「苦悶症候群」とも。不安、不機嫌、苦悶などが強く、落ち着きがなくなる。 運動不安【restlessness】や 攻撃性【aggression】を示すことがあり、激しい苦悶は 激越【agitation】とよばれ、激越性うつ病でみられる。不安症候群は、不安神経症のほか、うつ病、精神分裂病、脳器質疾患などでもみられる。
●フィーメイル・ストレス・シンドローム =ジョージア・ウィトキン=ラノイル『女性のためのフィーメイル・ストレス・シンドローム:もうこれでイライラしない 』(扶桑社, 1984)から。
●フィッシャー症候群=神経根が侵される病気群で、ギラン・バレー症候群の関連疾患に似ているといわれる。バランスよく歩けない、吐き気や頭痛、めまいがする、物をうまく飲み込めない、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどの症状が出る。
●風しん(三日ばしか)先天性風しん症候群=風しんは発疹、頚部リンパ節腫脹、発熱を主症状とする急性伝染性疾患で俗に「三日はしか」と呼ばれ、症状は3〜4日で軽快する。一般に予後のよい疾患。
●不応性貧血(骨髄異形成症候群)=骨髄の中にある造血幹細胞の異常による病気で、白血球や赤血球、血小板の減少が認められる。
●不器用っ子症候群=谷田貝公昭『ハシも使えない』(サンケイ出版1984)から。谷田貝公昭『直接体験不足症候群の子どもたち』(汐文社/1991)もある。これなどは「生活体験が不足している」といえばすむものである。谷田貝公昭らの研究調査「青少年の生きる力を育むための総合的調査研究」(98年3月)による。
鉛筆削りに関して見ると、実技で判定A(鉛筆削りで削ったようにきれいに削れている)は、小学生では全学年1−3%程度で、大部分は判定C(鉛筆として使用できるように削れない)が小学校の低学年で96−98%におよんでいる。高学年でも8−9割に達している。鉛筆削りでは、削れる削れないも問題だが、さらに危機的なのは、鉛筆が削れないどころでなく、ナイフの刃の部分がどこかを認識できない子どもが小学校の低学年で4−5割、高学年で2−3割もいたことである。削れたとしても、ナイフの持ち方と鉛筆と指の関係が正しくないものがかなりおり、ノコギリで板を切るようにして鉛筆を削る、刃を手前に向けて引いて削っているものも見受けられた。また、報告は、鉛筆の木がちょっと固いと削れなかったり、2分間の制限時間のうちに削れない子も見受けられ、手先の力、指の力が弱くなっているのではないかと指摘している。調査は、先にあげた10項目すべてにわたって同じような傾向が深刻に見られ生活技術が極端に貧しくなっていると指摘している。
●不況ストレス症候群=不況が職場のストレスを強め、過労死をはじめ、うつ病や自殺が増えてきたことをいう。また「途中下車症候群」「『おんり』シンドローム」という言葉も使われている。
●不均衡症候群=人工透析に伴う合併症。
●複製症候群=クローン人間がテーマの西澤保彦『複製症候群』(講談社ノベルス)がある。
●フクロウ症候群=不眠、過眠などのために朝起きられず、日常生活に支障が出る、という睡眠覚醒障害である。単に眠る時間が昼夜逆転しているというだけではなく、体温、ホルモン分泌など生体の持つ一日のリズムが乱れているもの。三池輝久『フクロウ症候群を克服する:不登校児の生体リズム障害』(講談社1997)から。NHK「サイエンス・アイ」が「子供の心に何が・・・増えるフクロウ症候群」として1998年4月4日に放送されて有名になった。「睡眠相遅延症候群」の方は思春期から青年期に発症することが多い。
●不幸自慢症候群=「1989年の言葉。…自分のもっている<不幸>を<自慢する>」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●不死鳥症候群【phoenix syndrome】=倒産会社の経営者がすぐに新会社を起こす傾向。前会社の負債を負わずに商売を続行することができるため。
●不定愁訴症候群=不定愁訴というのは医学的には一般的に「体がだるい、疲れやすい、足が重い、頭が重い、動悸がする、というような漠然とした愁訴で、その原因となる器質的疾患の裏付けがない場合」を指す。自律神経失調症。
●ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群=飛火(とびひ)の重症型。
●不平不満症候群=斎藤茂太『不平不満症候群』(KKベストセラーズ1984)から。
●フランケンシュタイン・シンドローム=戸井十月『超人戦争 フランケンシュタイン・シンドローム』(角川書店1984)から。ジョージ秋山『フランケンシュタイン・シンドローム少女』(祥伝社1986)もある。
●ブランマー・ビンソン症候群=口腔癌と関係のある病気。
●フルラー症候群【Hurler's syndrome】=代謝機能の欠陥によって知能障害、腹の突出、骨の変形、頭部の巨大化などが生じる。
●プレダー・ウィリー症候群=米沢多加生『悪魔の爪跡 奇病『プレダー・ウィリー症候群』ドキュメント』(K・A・V1983)から。遺伝子の刷り込みが関係しているかもしれない現象がいくつか分かってきた。ハンチントン舞踏病は、父親由来だと症状が重い傾向がある。15番染色体の一部が欠けて起こるある病気は、父親由来のとき精神遅滞、肥満などを特徴とするプラダー・ウィリー症候群となり、母親由来だと精神遅滞、笑い発作などが起きるアンゲルマン症候群になることも分かってきた。
●フレンドレス・シンドローム=「ともだちがいない症候群」とも(『SPA!』1999年10月6日号に記事)。
●不思議の国のアリス症候群【Alice in Wonderland syndrome】=てんかん、大脳の病気、メスカリンやLSDによる酩酊、熱性譫妄(せんもう)、催眠状態、精神分裂病など自分の体が大きくなったり小さくなったり、あるいは周りのものが大きくなったり小さくなったり、時間の進み具合がおかしくなったりして見える症状で1955年にイギリスの精神科医Todd.J.によって提唱された医学用語。その名はむろんルイス・キャロルの同名の作品(1865)に由来するが、そのなかでアリスの体験する奇妙な現象は真に迫っていて、作者自身が実際に同様の体験に苦しんでいたのではないかと想像される。病変の頭頂葉局在説が指摘されている。
角田昭夫『「不思議の国のアリス」症候群』(講談社1993)もある。
●プログラム駆動症候群=三森創『プログラム駆動症候群 心をもてない若者たち』(新曜社)から。三森は心がはじめからあるのではなく、つくるものであることを主張する。それをマインド・コンストラクションと呼ぶ。そして、若者たちの心を探そうとしても無駄だという。彼らは初めから心を持っていないのだから。もし心がなければ、意図や目的で行動しているのではない。それではいかなる動機づけで彼らは行動するのか。それを「プログラムに駆動された」(program-driven)と呼ぶ(⇔mind-driven)。ある時ふとプログラムが駆動されて、後はプログラムの促すままに行動してしまう。心理的無組織化症候群(PDOS, Psychological De-Organization Syndrome=“ピードス”)を意味するという。つまり、心がスカスカで、何をするあてもなく、動機なく行動してしまう。そこで、プリクラやPHS、コンビニなどの「プログラム入りの商品」によってひたすら時間をつぶすのであると説く。
“心がない”一部の子どもは動物に近づいているから、「心がある」ことを当てにする近代学校教育的コミュニケーションが無効になったのだとする。
●プロテウス症候群【Proteussyndrome】未知の遺伝病で不規則な骨の成長、極端にしわの寄った足の皮膚、頭蓋の隆起などを呈する。「プロテウス」はギリシャ神話で姿を変える能力と予言力で名高い海神。主義主張をすぐに変える人も“Proteus”という。
●文学じゃないかもしれない症候群=高橋源一郎『文学じゃないかもしれない症候群』(朝日新聞社/朝日文芸文庫)。
●文化均一化症候群【homogenized culture syndrome】=多くの国からの移民からなる国家が新しい均一化された文化を生み出す傾向をもつこと。
●文化特異(文化結合)症候群【culture-specific/bound syndrome】=文化群自体によって、定義され命名される、特異的文化環境における行動障害。激しい興奮状態に陥って被暗示性の亢進、命令自動、反響言語、反響動作、性的言動、苦悶、不安が伴うものである。
内村祐之が研究したものだが、アイヌの女性にかつて「イム」(imu)という錯乱が見られた。これは「トッコニ」(マムシ)という語を耳にしたり、蛇の玩具を見るとしばらくの間錯乱状態になって襲いかかってきたり、一目散に逃げ出したりする。一度こういう不安な状態になると、彼女たちは相手の命ずるままの行動をとるか、命令と正反対の行動をとる。また他人の言葉や動作をそのまま、まねるという反響症状が著明になったり、与えられたままの姿勢をいつまでも保ち続ける強硬症状を顕著に示すようになる。
原始ヒステリー反応ともいうが、アイヌ以外にもマレー・インドネシアのアモク(“amok”=突然狂躁状態になって走り出す、暴力を振るう《“run amok/amuck”「血に飢えて走り回る;狂ったように暴れる;間違う、失敗する」という英語があるが、マレー語の“amoq”から来ている。16世紀にイタリア語で、阿片を吸って街の人を次々と殺すジャワ人について書かれた記述の最後の部分に“These are called Amuco.”(こういう行為は“amuco”と呼ばれる)と英訳されたことから一般化》、ラター(“latah”=突然もうろう状態になって、反響動作、反響言語などを繰り返す状態)などがクレペリンによって紹介された。フィリピンのマリ・マリ(“mari-mari”)、ミャンマーのヤウン・ダ・チン・ヨガなども知られる。恐山のイタコも類似していると言われる。こうした「解離現象」【dissociation】は近代化とともに消滅しつつある。
“未開”の文化だけに起きるのではない。「ヘップバーン・シンドローム」のように若々しく少年のような体型に肯定的な価値をおくことも文化結合症候群の一つである(マッケロイ&タウンゼント『医療人類学』大修館)。
韓国人固有の精神・身体現象である「火病(ファピョン)」も同様で、主に女性によくある症状で、夫の浮気などの強いストレスを適切に解決できず、我慢しているとき、それが原因で時々胸に火をつけたような息苦しさを感じるもの。
憑依症候群も含めて、比較文化精神医学(transcultural psychiatry)で研究されている。
●閉経期症候群=筒井末春『心身医学的にみた更年期の臨床:閉経期症候群』(新興医学出版社1989)から。
●ペットボトル症候群=炭酸飲料、コーラ、果汁飲料、コーヒー飲料などの糖質濃度は約10%であり、1500ccのペットボトルで約150gもの糖質を一度に摂取することになる。糖尿病になりやすい人や、軽い糖尿病の人が、これらの糖質を多量に摂取すると血液中のブドウ糖量が高くなり、糖尿病になる。また、高血糖により、ノドが渇き、さらに清涼飲料を飲むことになることがある。そのような悪循環を起こし、ひどい時には昏睡状態になることがある。「1992年の言葉」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●ペットロス症候群=ペットが亡くなって心が空虚になること。
●ヘップバーン・シンドローム【Hepburn syndrome】=ヘップバーンが『ローマの休日』で衝撃的なデビューを果たしたことによって起きた現象。肉体派の女優像を変えて、その後の減量ブームにつながる。『オードリー・ヘップバーン:私のスタイル』(朝日新聞社)によればマリア・カラスも巻き込まれてしまい、1年間で36キロの減量に成功したという。サイン入りの写真を見てはオードリーのようにスラっとなるのだと話していたという。
●ヘラー症候群【Heller's syndrome】=少なくとも2歳までに正常に発達した言語および社会的行動が数ヶ月のうちに失われ、小児に共通する諸症状を示す一方、次第に重い精神遅滞の状態に陥る。原因は不明であるが、単一のものではなく、診断は状態像および経過から下される。幼児期痴呆、崩壊性精神病、共生精神病などとも言う。
●ベンチャー症候群(シンドローム)=高橋佳哉・原伸之『ベンチャー症候群(シンドローム):世界を覆う起業家願望 』(総合法令出版1996)から。
●母子融合症候群=人格的にも社会的にも未熟な母親は、子供を個体としてではなく、あたかも自分の身体の一部、あるいは玩具のように考えて自分の思うがままに扱う。そこには真の愛情は存在せず、愛情不足は子供の分離不安をひきおす。強圧的に支配するか、逆に子供の言いなりになるといった両極端な行動をとる。ある時期までは子供は母親の一部として存在していくが、思春期を過ぎますと力関係が逆転してしまい、今度は母親が子供の一部と化すことになる。これは共依存【co-dependence】関係よりもはるかに異常な現象であり、既に二つの個体が存在しないということで、「母子融合関係」と称する。
対処法は子供は意思をもった個体であると認識すること、親が育児書を読みすぎて頭でっかちにならないこと、母親自身が成熟していくこと、である。
●ボケのはじまり症候群=ええっと、どこまで書いていたっけ?式田和子『ボケのはじまり症候群:老年性痴呆症の前兆:家族で治した体験事例と専門医の助言』(光書房1984)から。
●ポケベル症候群=ポケベルへの執着。女子高生のバッグに必ず入っているといわれたのが、化粧品と避妊用具とポケベルだった。ポケベルはデートクラブとの連絡用にも利用されていたが、主たる利用法は、オモシロイメッセージの創作・伝送・判読、つまり暗号解読の遊びだった。現在ではケータイにとって代わられている。
●ポケモン・ピカチュウ症候群=1997年12月16日にTVアニメ「ポケットモンスター」を見ていた700人を超す子どもたちがけいれん、意識障害、不快感などの症状を起こし、病院に運ばれたあった事件から。ピカピカと画面が光って、子どもたちを気絶する光過敏症。閃光刺激によって異常脳波を誘発され、けいれんを起こすことを、光突発波応答、あるいは光けいれん反応という。
●微笑み症候群=不適応でほとんどウツ状態になっているが、ひきつったような笑い、妙なヘラヘラ・ニヤニヤ笑い、いかにもつくったような笑いをいつも浮かべている。時にはことさらにゲラゲラ笑う。ネクラは嫌われるという思い込みも原因のひとつ(『知恵蔵』)。
●ポスト・ポリオ症候群【post-polio syndrome=PPS】=小児まひ(ポリオ)回復後の患者を数十年にわたって襲う症状.
「ポリオ後症候群」とも。
●ほっとき症候群=「1999年の言葉。恋人がいるにもかからわず数ヶ月の間、その恋人をほったらかしにしておく男性が増えている症状を指す」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●ホルネル症候群=犬の病気。
ま行 ●マイクロソフト・シンドローム=外崎則夫『マイクロソフト・シンドローム』(オーエス出版)。
●マクベス夫人症候群【Lady Macbeth syndrome】=シェイクスピアの『マクベス』から。罪の意識による罪責複合で“guilt complex”とも。
●「マジ切れ」症候群=?
●マッククーネ(マッキューン)・アルブライト症候群=単に「アルブライト症候群」とも。思春期早発症。
●末端こだわり症候群=「1999年の言葉。若者たちのオシャレのポイントが身体の中心から次第に末端に移ってきた現象を指す」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●マルファン症候群【Marfan syndrome】=リンカーン元米大統領も発症していたと考えられている遺伝性疾患。5000〜1万人に1人発症する遺伝性の難病で、大動脈にできたコブが破れ突然死することがある。やせて高身長、長い手足、はと胸、緑内障などの目の異常、ゆるい関節などの特徴が出る。「蜘蛛指」など異常に伸びた(四肢の)骨などが特徴。梅田加奈子『この子は生きる:わが娘の「マルファン症候群」 』(講談社1997)など。
●マロリー・ワイス症候群=吐血、下血を主訴とする病気。
●慢性疲労症候群【Chronic Fatigue Syndrome=CFS】=周りから「怠け者」「仮病」と間違えられて患者がひどく苦しむ症状だが、病気の一つ。原因にはウイルスや免疫異常、ストレス、脳の血流不足など諸説あり、定説はない。治療法にも決め手はなく、解熱剤などの対症療法から漢方薬までまちまちだが、「死に至る病気ではなく、治すことはできる」という。
●満点ママひとりっ子症候群=松原達哉『満点ママひとりっ子症候群』(旺文社1984)から。
●マンボウ症候群=「1992年の言葉。自分の意思で泳いでいるのではなく、流れにまかせて漂っているだけの高校生」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●ミキハウス症候群=ミキハウスの服のように親子でペアルックを着る心理。緒方明『ミキハウス症候群』(宝島社1993)から。
●ミクリッツ症候群【Mikuliz syndrome】=両側の涙腺、唾液腺が腫れる症状。
●ミドルエイジ・シンドローム=いわゆる「中年クライシス」のこと。新福尚武『ミドルエイジ・シンドローム』(朝日出版1983)などから。
●みのりちゃん症候群=1993年の言葉で朝ドラ『ひらり』の姉が自分の頭の中で悪い方向にばかり考えて何も得ることができない症状(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●ミヤール=ギュブレル症候群【Millard-Gubler's syndrome】=下交代性片麻痺、病変側の顔面神経麻痺と反対側の上下肢麻痺。
●ミュンヒンハウゼン症候群【Munchausen syndrome】=病気をねつ造したり、自己誘導的に病気となって病院をあちこち歩く病的虚言症。「詐病(さびょう)」とも言う。「ほら吹き男爵」(Baron von Munchausen)から。2000年に奈良市で長女を殺害した看護婦は「代理ミュンヒハウゼン症候群」とされた。これは児童虐待の一種ともされ、これに陥った母親は、自ら傷つけた子供を献身的に看護して優しい母親を演じるという。
●ミルク・カルシウム症候群【milk calcium syndrome】=カルシウムの大量摂取によって腎臓結石やひどい時には昏睡状態になる。
●無動機症候群=大麻を長期に使用すると呈するといわれる症状で、意欲の滅退、関心の狭小、覇気の減少などを特徴とする。
●メイグズ症候群【Meigs syndrome】=胸水の症状。
●メニエール症候群【Meniere's syndrome】=メニエール病とも。内リンパ水腫で、回転性めまい(嘔吐・嘔気)を繰り返すようになる。内耳の疾患、難聴、耳鳴り、めまい、吐き気などが特徴だが、致命的な病状ではない。仰臥の体勢で、安静が必要。動きまわるとますます増悪、嘔吐が激しくなる。『ガリバー旅行記』のスウィフトは60歳を過ぎるころからメニエル症候群が高じたため、発狂したと誤認された。
●メビウス症候群=医学用語。
●メリティス・シンドローム=糖尿病の一つ。
●メルヘン症候群=三十代、四十代の女性が『不思議の国のアリス』から抜け出たような格好をすること。1995年頃の言葉。
●免疫不全症候群=AIDS。
●燃えつき症候群【burn-out syndrome】=恋愛や子育てなどであまりにも力を入れて頑張ったあげく、最後に何もなくなるといきなり鬱状態になること。
アメリカの精神分析医H・フロイデンバーガーが彼の部下であるソーシャル・ワーカーたちにあたかも燃え尽きたかのような無気力状態に陥る心身の疲労状態を見出し、1974年、これを“バーンアウト・シンドローム”と名付けた。
彼は「燃え尽き症候群」のことを「自分が最善と確信する方法で打ち込んできた仕事、生き方、対人関係などが、全くの期待外れに終わることによりもたらされる心身疲労あるいは欲求不満の状態」と定義している。
「燃え尽き症候群」に陥り易い人は、人を引きつける力があるうえ、エネルギッシュで気が短く、高い目標を持って仕事に全力投球し、その努力に見合った報酬を期待する人たちです。
燃えつき現象の結果生ずる身体症状としては、不眠、頭痛、上気道炎、腰痛、消化器症状などがあらわれるし、精神症状としては、不安・焦燥、悲哀、抑うつ、自己卑下、無力感などが知られている。
アメリカでは「燃え尽き症候群」の低年齢化が進んでいるというが、受験生などにも見られ、日本でも同様である。
福岡のバスジャック事件でも精神鑑定書は高校受験前に成績の低下に直面して「燃え尽き症候群」の状態になった可能性を指摘し、インターネットを通して反社会的な価値観の影響を受けたなどとしている。
●模擬体験症候群=「1999年の言葉。本格的に手をつける前に<模擬体験>をしておきたいと、何事でもとりあえず試しておかないと不安でならない若者たちのこと」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●モナリザ症候群=みんなに好かれたいという八方美人的な考え。ウーテ・エーアハルト【平野卿子訳】『誰からも好かれようとする女たち』(講談社)の副題が「モナリザ・シンドローム 微笑みの心理」となっている。原題は「いい娘は天国に行くが、生意気な娘はどこでもいける」である。
●物忘れ症候群=八木哲郎『物忘れ症候群のためのモノと頭の整理術:人の名前、資料、小物…がすぐに見つかる』(日本実業出版社1997)から。最近は赤瀬川原平の『老人力』(朝日新聞社1998)としてパワーになった?!情報社会は情報を一人で全部抱えこもうとするからケチになりがちで、江戸ッ子老人力は「宵越しの情報は持たねえ」と言って情報はポンポンと捨てる。それを世間は「物忘れ」というのである。「物忘れの力」「眠る力」「ボケていく力」、そして最後は「死ぬ力」も老人力なのである、と説く。
●モルキオ症候群【Morquio's Syndrome】=「モルキオ病」とも。ウルグアイ、モンテビデオの医師モルキオLouis Morquioらによって報告された病気。ムコ多糖類の代謝異常によって、全身の骨の発育異常を生ずる疾患の一つ。遺伝性の病気で、症状が現れてくるのは3〜4歳ころからである。
ピーター・チェルソム監督『マイ・フレンド・メモリー』("The Mighty")に出てくる。巨漢だが内向的な学習障害児マックスが、モルキオ症候群に侵された少年ケビンと出会い、二人で一人の“無敵の勇者フリーク”となって、友情と想像力を糧に成長していく。アーサー王伝説をなぞらえた映画。
や行 ●夜間突然死症候群【Sudden Unexplained Nocturnal Death=SUND】=アメリカに暮らす東南アジア人の若い男性に多い。直接の原因は心室細動(心室の統御不全の痙攣)だが、カルチャーショックなどが考えられている。
●扼輪(やくりん)症候群=先天性四肢障害。
●ゆううつ症候群=吉川武彦『ゆううつ症候群』(法研1997)。日常の職場や家庭生活の中に、いくらでも転がっているきっかけから陥る「こころの風邪」で思い当たる原因もないのに元気が出ない、気分が暗い、やる気が出ないというのが初期症状。
●誘拐症候群=貫井徳郎『誘拐症候群』(双葉社)。
●夕暮れ症候群=アルツハイマーの一つ。このポケの症状はなぜか、夕暮れ時になると起きてくるところから。
●夕鶴症候群=「1990年の言葉。…はた目には恵まれたキャリアウーマンと見られていても、実は心の病抱えて心身症に悩んでいる女性」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●優等生症候群=「いい子、いい子」と育てられて遊びに罪悪感をもつこと。
●揺さぶられっこ症候群=頭が激しく揺さぶられたために頭がい骨内が出血する症状。2001年1月に長女を死なせたとして同年7月に逮捕された父親がいた。
●〈豊かな社会〉症候群=『平凡社大百科事典』に出てくる「先進国病」。今の日本の状況は全てこれで言い表せる?
●ユッコシンドローム=86年4月8日にタレントの岡田由希子が飛び降り自殺して後追い自殺する人が出たが、これをユッコシンドローム(ウエルテル効果)と呼ぶ。青少年自殺の変動がみられた。
●ユリシーズ・シンドローム=S・ネイフ他『ユリシーズ・シンドローム』【“Why can't men open up?”】(三笠書房1986)から。
●幼稚園症候群【Kindergarten syndrome】=幼稚園で子供によくみられる症状。喉の渇き、眼や唇の痛み、しゃがれ声、空咳、発疹、かゆみ、時には頭痛や倦怠感を伴う。
●欲休症候群=ジェイムズ・ブリッシュ『明日への帰還』(ハヤカワ文庫1980)から。
●ヨーヨー症候群=「1990年の言葉。…何回も減量しては太り、また減量を繰り返すうちに、脂肪をとりやすくなり、より太りやすく、やせにくい体になるということ」(亀井肇『平成ボキャブラ事典』廣済堂文庫1994亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●ヨーロッパ症候群=1999年の言葉。リゾート行きと違ってヨーロッパは夫婦の価値観の違いがモロに出て起きる夫婦喧嘩(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
ら行 ●ライ症候群【Reye's syndrome】=脂肪肝を伴う急性脳症。インフルエンザや水痘などウイルス疾患にかかった、主に小児がアスピリンを内服した後に現れる重篤な珍しい疾患。1998年、厚生省は「アスピリンとの関連性を示す米国の調査報告がある」としてアスピリンを含有する市販のかぜ薬など230品目を15歳未満の子供に投与することを禁止するなどの医薬品等安全性情報を出した。
後藤俊江『今日は何を教えてくれるの』(千書房1984)などがある。
●ライター症候群【Reiter's syndrome】=尿道炎、結膜炎、関節炎の徴候を伴う原因不明の疾患。
●落屑症候群=緑内障の症状。湖崎弘、布田竜佑『落屑症候群』(メディカル葵出版1994)から。
●ラムゼイ・ハント症候群【Ramsey-Hunt syndrome】=ヘルペスウィルスの感染により顔面神経麻痺、頭痛、眩暈を主徴とする疾患でベル麻痺(「顔面神経まひ」ともいう)より治癒に時間がかかる。
●卵巣過剰刺激症候群(OHSS)=排卵誘発剤、特に注射剤で問題になる最も恐ろしい副作用。その症状はお腹がはれる、血液が濃縮するに大別される。
●離婚予備軍シンドローム=ローズ・ドゥウォルフ他『離婚予備軍シンドローム:男をあきらめないための十三章』(コンパニオン出版1986)から。清水義範『人生うろうろ』(中央公論社1995)には「シンドローム離婚」というのが出てくる。
●梨状筋症候群=医学用語。
●リスク行動症候群【risk behavior syndrome】=「風が吹けば」みたいな論理だが、次のような特徴をもつ。ある薬物を乱用した青少年は他の薬物乱用へと進む傾向がある。薬物乱用する青少年は薬物以外のリスク行動(性行動、暴力等)に走る傾向がある。乱用薬物が増えれば増えるほど、他のリスク行動の頻度が高くなる。薬物を乱用する青少年は教会通いなどの因習的な行動を取らない傾向にある。保健リスク行動に走る青少年には共通の心理社会的背景が存在する。これらは問題行動が同一個体内で集積してみられるリスク行動症候群の特徴である。以上のことから問題行動を個別に予防するよりも、いくつかの行動と関連要因に対して同時に介入することが大切である。
●リストカット症候群【wrist cutting syndrome】=自傷行為の一つで「手首自傷症候群」と言われる。手首を切って自殺しようとする。大量の血が流れるが、死なないこともあるので、周りが騒ぐだけで終わり、また同じ行為を繰り返すこともある。自己愛的で未熟な性格者の抑うつ、ひきこもり、あるいは演劇化、攻撃的な傾向との関連でおこる性格障害なのではないかととらえられている。「いい人」を演じる人に多いともいう。
●リセット症候群=「大久保クリニック」(大阪府池田市)の大久保圭策院長は最近、軽い離人症の子供が多いと指摘。その上で、「酒鬼薔薇聖斗」について「まず、離人症があって自分が実社会に参加している意識が薄いところにホラービデオが入り、実感を感じずに残虐な行為をしたのでは」と分析する。少年が逮捕されたきっかけはネコなどへの動物虐待だった。リセット症候群によって「例えばテレビゲームの主人公は、死んでもリセットすれば生き返ります。現実は一回しか存在しないが、ゲームは一からやり直せる。実感を感じないうちに、何でも他人事と思えてしまうことがある」という。「たまごっち」もリセット症候群を助長する面があって、最後にはどうすれば早く死なせられるかというゲームにまで発展した。
離人症【depersonalization】というのは周囲や自己の現実感がなくなり、“ぴんとこない”“夢の中みたい”“自分が自分でない”と強く感じるようになる症候。知覚されるものに現実感が乏しく(現実感消失【derealization】 )、まるでベールを通してみるように感じられるとき、これを知覚の疎隔【alienation=哲学用語だと「疎外」】という。しばしば身体感覚も失われ、頭の重さが感じられず、空腹感や尿意や便意もなく、時計を見て食事したり、トイレに行く。ただし、この病型の分類には異論がある。
また、「酒鬼薔薇聖斗」は重度の行為障害【conduct disorder】ともされた。これは反社会的人格障害【antisocial personality disordor=ASPD】の一種である。米国精神医学会【American Psychiatric Association】の「精神疾患の分類と診断の手引」によると、行為障害は幼児期から青年期に発生し、社会的な規範、規則について侵害を繰り返す行動様式を指す。人や動物への攻撃、所有物の破壊、うそや盗みなどなどが当てはまる。
●離脱(禁断)症候群(abstinence/withdrawal syndrome)=常用している薬物(特に麻薬)を断った後の離脱症状。
●離断症候群=左右の半球を連結している脳梁が障害されることによる病気で「ゲシュヴィンの離断症候群理論」として知られる。脳梁が損傷されると、閉眼したままでは左手で触った物の名前が言えなくなる。ゲシュヴィンの理論で全ての心理機能障害が説明できるものではない。
●猟奇殺人症候群=松岡弘一の推理小説『猟奇殺人症候群』(青樹社1996)のタイトル。
●リマ症候群(Lima syndrome)=ペルー首都リマの日本大使館占拠事件から97年の『警察白書』で名付けられた現象(⇔「ストックホルム症候群」)。占拠の犯人たちが人質に愛着を持ち、かばおうとする現象。127日間を共にしたテロリストと人質であったが、 ゲリラの中には日本語の読み書きが出来るようになった者もいたらしい。これによれば「犯人グループのうち特に少年または女性は初めて接触した日本および西欧の文明に感化されて憧憬を感じ、学習したいという意欲を持つに至る一方、人質は『教養のある年長者』としてその要望にこたえたことが挙げられる」としている。さらに「立てこもりの長期化に加え、リマ症候群の影響もあって、犯人グループの緊張感が緩和し、その士気と規律を維持する必要が生じ、犯人グループはペルー人に身近なスポーツのサッカーを行わせることになった」と報告。特殊部隊の突入の際に犯人側が人質を殺すことをためらったと伝えられている点についても、「リマ症候群」が作用した可能性があるのではないかと指摘されている。
●リモコン症候群=泉麻人『リモコン症候群』(文芸春秋1988)から。
●リリパット症候群=式貴士『アイス・ベビー』(CBS・ソニー出版1984)に所収。
●ルンルン症候群=テレビアニメ「花の子ルンルン」(80年春まで放送)から。林真理子の『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(角川書店)を経て林真理子『ルンルン症候群』(角川書店1984)から。小林信彦『現代<死語>ノートII』は1982年の流行語としているが前年という記録もある。
●レイノー症候群=寒冷時や精神的ストレスにより、手や足の指の際動脈に痙攣が生じ、その結果指が蒼白、チアノーゼになる現象をレイノー現象で、これが原因不明で起きるのが「レイノー病」でレイノー現象が原因となる基礎疾患により起こるものがレイノー症候群。
●レノックス(レンノックス)・ガストー【Lennox-Gastaux syndrome】症候群=ウェスト症候群と同様に、てんかんの症状の一つ。小児期に現れ、さまざまな形の発作と精神遅滞を伴い、小発作異型波とよばれる特異な脳波変化を示し、予後は一般的に不良であるという。
●レッシュ・ナイハン症候群【Lesch-Nyhan syndrome】=プリン代謝異常症。酵素の欠乏により生じる男児の先天性疾患。精神薄弱、舞踏病的運動、腎障害などを伴う。
●レット症候群【Rett's syndrome】=広汎性発達障害【pervasive developmental disorder】の一つ。女児だけに見られる稀な病気で、2歳以前にそれまで発達していた言語を失うとともに、脳の発達が止まって小頭症になり、手も含む常同運動や各種の神経症状を生じる。
●レフラー症候群=単純性肺好酸球増加症。
●恋愛中毒症候群=恋愛しなければいけないと思いこむような症状。実は恋愛というのは非常に近代的な産物で、お見合いが封建的とは簡単にいえない。ところが、恋愛至上主義というものが生まれていて、目の前の幸せが見えないことがある。さだまさしに「恋愛症候群−その発病及び傾向と対策に関する一考察−」という曲がある。
●恋愛できない症候群=1989年の言葉。都会を中心として、恋愛したいけれど相手がいない、異性とどうつきあったらよいのかわからないという若者たちが増えている現象(亀井肇『外辞苑』平凡社)。
●恋愛未満症候群=梶原葉月『恋愛未満症候群』(朝日新聞社1993)から。
●老人深夜族ゐkお1991年の言葉。<ラジオ深夜便>を聞いている老人(『外辞苑』)。
●ロックド・イン症候群=米山公啓『ロックド・イン症候群』。
わ行 ●ワーキングウーマン症候群=杵淵幸子『ワーキングウーマン症候群』(大月書店1993)から。
●わかっちゃいるけどやめられない症候群=久保木富房・不安・抑うつ臨床研究会編『強迫性障害:わかっちゃいるけどやめられない症候群』(日本評論社1999)から。強迫神経症など手をいつまでも洗ったり、限りなく掃除したり…。
●わからない症候群=「1988年の言葉。都会の中学生たちに蔓延している、家族がいくら質問しても<わからない、しらない、べつに>を連発する風潮を表現したもの」(亀井肇『外辞苑』平凡社2000)。
●私は不感症かも症候群=『AERA』2001年1月29日号に出ている。性情報があふれている反動であろう。
●ワレンベルグ症候群【Wallenberg's syndrome】=脳血栓の症状の一つ。
●湾岸戦争症候群【Gulf-war syndrome】=湾岸戦争症候群。湾岸戦争の後も戦争の後遺症を引きずっていること。米退役軍人グループは、湾岸戦争症候群の原因の一つに挙げられている劣化ウランについて、40万人の米兵らが劣化ウランが燃えた際に発生する微粒子にさらされていた恐れがあると指摘している。松野哲朗文、 山本耕二写真『湾岸戦争症候群』(草の根出版会1998)という本もある。湾岸戦争症候群に関する大統領の特別諮問委員会が、症候群が存在するとの証拠は発見できなかったとする報告書原案をまとめている。2004年には米復員軍人省の調査諮問委員会が「化学兵器のような神経毒性物質との接触が引き起こした可能性が高い」とする初めての報告書をまとめた。
その他 ●ADD症候群【Attention Deficit Disorder】=「注意散漫症」で「ADD」だけで十分。ADD/ADHDとまとめられることもある。集中困難、衝動性、多動等の症状をもつ。間宮修一郎『ADD症候群』(第一企画出版)は少年犯罪の多くの原因がこれだという。精神病理学者のハロウェル・ラテイによれば次のような症状だという。
- すぐに注意が逸れてしまい、ものごとに集中できない。
- 退屈に弱い。
- いくつかの仕事を同時に行い、しかも、そのどれも完成することができない。
- 不満を我慢できない。
- 衝動的な行動をする。
- いつも落ち着かない。
- タイミングやその場の適正を考えず、頭に浮かんだことを喋る。
- いつも刺激を求めている。
- 目標を達成できないという気持ちを持っている。
- ものごとの整理ができない。
- なかなか仕事を始めることができない。
- 確立された手順に従うのも苦手である。
- 心配のない時にもあえて心配のたねを探し不必要な心配をする。
- いつも不安に怯えている。
- 躁鬱の気がある。
- 何かへの依存症になりやすい。
- 自分をきちんと観察できない。
- 家族にADDの子供がいる。
- 創造的で知的である。
●Bartter症候群=傍糸球体装置の過形成。高レニン、高アルドステロン、低カリウム血症で高血圧がみられない。
●Budd-Chiari症候群=原因不明の肝静脈閉塞をきたす疾患であるが、しばしば肝部下大静脈の閉塞を伴う。
●Cronkhite-Canada症候群=医学用語。
●DESシンドローム=環境ホルモンによる症状。
●EE'(イーイーダッシュ)症候群=皿海達哉《長谷川集平絵》『EE'症候群』(小峰書店)から。
●Hanako症候群=三浦展(あつし)の用語。都会に住むOL向けの雑誌『Hanako』を読む女性たちとと紹介される店に集まる女性たちの心情。高級品もレストランも買ったつもり、行ったつもりになる。小林信彦『現代<死語>ノートII』にも「Hanakoさん」が「強烈なキャリア志向とも、結婚願望とも遠い二十代後半の女性」として1989年の流行語として採録。
●HBS(多動症候群)=過活動性、衝動性、興味の持続が短い等の症状を有する。
●ICU症候群=さまざまな苦痛に直面させられる事により、過度の不安状態・不穏状態・情緒的錯乱・譫妄状態等の拘禁性の精神反応をきたす。ICU入室に不安を持っている。
●LTL症候群=ダン・カイリー(「ピーター・パン・シンドローム」)他『結婚していてもなお孤独:LTL症候群の女たち』(社会思想社1990)。“Living Together, Feeling Alone”が原題。
●Mallory-Weiss症候群=医学用語。
●me too症候群=荒川信夫『サヨナラ!me too症候群』(泉文堂1991)から。
●NIMBYシンドローム=“Not in my backyard”(うちの近くにはお断り)−略してNIMBY(ニンビイ)という。原発や処理場などを嫌う症候。清水修二『NIMBYシンドローム考』(東京新聞出版局1999)など。
●OA症候群=墨岡孝『OA症候群!』(三笠書房1984)など、OAによる労働環境、体の不調などを指す。
●OL留学症候群=一旦OLになっているのにもっとキャリアを上げなければと外国に留学すること。バブルの頃がもっとも盛んだった。川恵実『彼女がニューヨークに行った理由:OL留学症候群』(PHP研究所1991)など。
●O-157溶血性尿毒症症候群(HUS)=O-157による食中毒。ベロ毒素による溶血性尿毒症(HUS)の発生が観察される。中毒症状の発現と共にHUSの発生を見る。特に、血便や腹痛等の症状が、医療機関での点滴、薬剤治療等で、終息したあと、2〜7日後、急性腎不全の症状である全身倦怠感、無尿、浮腫などを来たして受診する患者が発生する。
●PCO症候群=卵巣の病気。
●PTSD【post-traumatic stress disorder】(心的外傷後ストレス障害)=事件が解決してからも心のトラウマがずっと残ること。阪神大震災や地下鉄サリン事件、新潟三条市の監禁事件などで日本でも有名になった。PTSDの症状としていつ、いかなる所でも、だれとも話さなくなる全緘黙が現れることもある。『終のすみか(ついのすみか)』(NHK1999原作・大石静)も阪神大震災のPTSDを扱っていた。漫画『ちびまる子ちゃん』の長沢君が皮肉屋なのも家が火事になったことのPTSDか?
●PVS【Post-Vietnam syndrome】=ベトナム以後症候群。米国のベトナム戦争復員兵士に多い精神障害。
●QT延長症候群=様々な病態から成り立ち、多形性心室頻拍や心室細動などの重症な不整脈をきたし、死亡の原因ともなりえる病態。
●RAIDS【recently acquired income deficiency syndrome】 (転性所得不足症候群) =突然の所得の減少をいう。
●SAS【space adaptation syndrome】=宇宙不適応症候群。
●SIDS【Sudden Infant Death Syndrome】=乳幼児突然死症候群。
●Tolosa-Hunt症候群=海綿静脈洞付近に生じる非特異性肉芽腫による頭痛。
●VDT症候群=疲れによる充血やかすみ目、視力低下などの目に関する不調で、身体の痛み、胃痛や食欲不振、便秘などが起こることもある。さらに進行すると、イライラや不快感、抑うつといった一見、目とは関係のなさそうな症状へ発展することもある。
●WDHA症候群=水様性下痢 watery diarrhea、低カリウム血症hypokalemia、無酸症 achlorhydria をおもな症状とする病気で、それらの頭文字をとって名づけられた。膵臓の腫瘍が VIP(vasoactive intestinal polypeptide の略)とよばれる物質を産生することによって起こる。ゾリンジャー・エリソン症候群と並んで消化管ホルモン産生腫瘍とよばれている。
●WPW症候群【Wolff-Parkinson-White syndrome】=不整脈を起こす疾患の一つ。「早期興奮症候群」とも。笠貫宏編『WPW症候群』(医学書院)など。
●Yes、but…シンドローム=チャールズ・シック他『Yes、but…シンドローム』【“Yes,but...”が原題】(ダイヤモンド社1997)から。
●35歳症候群=麻生圭子『35歳症候群:私だけのしあわせをみつけるために』(海竜社1997)から。
●4Pー症候群=医学用語。
●5P−症候群=幼児に見られる稀な染色体異常。フランス語で“cri du chat”ともいう。
●7P−症候群=医学用語。
英語にはあるけれど、日本語としてまだ定着して(?)いないものも多い。アメリカ人も“syndrome”が大好きなようで“Kabuki syndrome”などもある。『リーダーズ・プラス英和辞典』でも新しいプラスの方に多く“syndrome”がある。
Chop Suey syndrome=チャプスイ症候群 《伝統的な料理を異国の材料に合わせること;寿司のカリフォルニア巻き (California roll) などがその例。
drunk mouse syndrome=(ハッカー用語)スクリーン上のマウスの動きがずれる現象。
K-Z syndrome=(強制)収容所症候群:捕虜となったことに起因すると考えられる精神的変調。ドイツ語 Konzentrationslager「ラーゲリ、強制収容所」の変則的な(“K-L”にすべき)省略形。「ムッセルマン症候群」【Musselmann syndrome】というのもある。
Lords-town syndrome=ローズタウン症候群。1973年にオハイオ州ローズタウンのGMの工場で起きたストライキからオートメーション労働拒絶症。オートメーション作業の単調さによるいらだち、不安、不満などの症状。
Maggie-Jiggs syndrome=マギー・ジグス症候群。DV【Domestic Violence】と反対で、妻が夫に暴力を加える病的な傾向。米国の漫画 Bringing up Father『親爺教育;ジグスとマギー』に登場する夫婦の名前から。
Oriental nightmare death syndrome=悪夢で恐怖にうなされること。ベトナム帰還兵が戦場での恐怖を再現したために名付けられた。
restless legs syndrome=貧乏揺すりなど。
the retirement syndrome of endless golf and bridge games=ゴルフとブリッジに明け暮れる退職後の行動型。
space adaptation syndrome=宇宙適応症候群 =宇宙飛行士が経験する吐き気・食欲不振・眠気・冷汗などの諸症状。
tall poppy syndrome=名や財産を成した人を非難する傾向。“tall poppy”はオーストラリア英語で「大物」の意味。
Teicher syndrome=抗鬱剤のProzacを服用している患者が自殺をはかるようになる状態。
three o'clock syndrome=事務職の人が午後3時頃に眠くなる症状。
Vietnam syndrome/post-Vietnam syndrome【PVS】=ベトナム戦争従軍者の後遺症。スタローンの映画『ランボー』や『ディア・ハンター』などはこれを扱っている。
Oxford English Dictionaryによれば次のような“syndrome”がある。“syn”は“同じ”という意味で“drome”は“走る”という意味である。
abstinence syndrome acquired immune deficiency syndrome the battered baby syndrome carcinoid syndrome Cushing's syndrome(moon-faceともいう) Down's syndrome dumping syndrome empty-nest syndrome Frohlich's syndrome Hurler's syndrome hyaline membrane disease /syndrome The Klinefelter-Reifenstein-Albright syndrome Korsakoff syndrome Lesch-Nyhan syndrome Munchausen's syndrome myeloproliferative syndrome menopausal syndrome nephrotic syndrome Parkinson syndrome Patau('s) syndrome Pendred('s) syndrome Pickwickian syndrome Plummer-Vinson syndrome psychosyndrome Raynaud's syndrome Reiter's syndrome Reye's (or Reye) syndrome Schonlein-Henoch syndrome SIDS, sudden infant death syndrome Sheehan's syndrome sicca syndrome Sjogren's syndrome Stein-Leventhal syndrome Stockholm syndrome Sturge-Weber syndrome/disease survivor syndrome Tietze's disease/syndrome Waldenstrom's macroglobulinaemia syndrome Zollinger-Ellison syndrome
《参考文献》
- 小此木・深津・大野編『精神医学ハンドブック』(創元社)
- 山下格『精神医学ハンドブック』(日本評論社)
- 沢木修二他編『症候群小辞典』 (金芳堂)
- 石田・中島章・野田編『症候群事典』(金原出版)
- 小林信彦『現代<死語>ノートII』(岩波書店)
- 『ランダムハウス英和辞典』(小学館)
- 『研究社英和中辞典』(研究社)
- 『リーダースプラス英和辞典』(研究社)
- 『広辞苑』(岩波書店)
- 『知恵蔵』(朝日新聞社)
- 『平凡社大百科事典』(平凡社)
- Oxford English Dictionary(Oxford University Press)
- Britannica Encyclopedia(Britannica)
- 英和医学用語集
- Britannica Encyclopedia(Britannica)
- Online Dictionary of Mental Health