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国際基督教大学ポスターから
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どんなものでも、一時的なものだと考えると救いになることが多い。たとえば歯医者での痛みは、一時的なものだと思うから我慢できるが、もしその痛みが永遠に続くと思ったら、どんなに軽い痛みでも耐えられないだろう。受験勉強も合格するまでの一時的な苦労だと考えるから耐えられるのだし、妻の小言もいつかはやむと思うから我慢して聞くふりをしていられるのだ(だが、小言をいわなくなる日は永遠にこないだろう)。
土屋賢二『紅茶を注文する方法』(文春文庫)□ "Life can be wonderful, if you're not afraid of it. All it needs is courage, imagination ... and a little dough."
(「人生を恐れなければ素晴らしいものかもしれない。人生に必要なものは勇気と想像力と、わずかのお金」)
チャップリン『ライムライト』カルヴェロの言葉(doughというのは「ドーナツ」の「ドー」で俗語でお金)
大学生活を送ることになる息子のために書いたものである。勉強については任せてあるし、「高校生のための知的生産のすすめ」で書いた通りであるので、特に書かない。
あとはお前に任せたよ、といいながら、指示が多かったりするからお笑いだ。
NHKの朝の連続ドラマ『つばさ』で実家を出なくてはならなくなったヒロインが、涙で見送る母に言った。「帰る場所があるから出て行けるんだよね」。何かあったら、いつでも帰ってきなさい。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」
と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、 「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。
すると男が、こう言った。
「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。
「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」
この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯であったと悟った。
---夏目漱石『三四郎』☆一人前の大人になろう
作家のオスカー・ワイルドは「ネクタイを上手に結ぶことは人生の重要な第一歩である」と言った。フォアインハンドと呼ばれる形のネクタイはワイルドが起源ともされる。9割とはいわないが、身なりも大雪である。今までは子ども扱いされてきたが、これからは社会人として誰もが見ることになる。
鴎外もはどもたちに、どんあに面倒なことでも、ひとつひとつ片付けていけば、必ず解決する。糸がからんでなかなかとけないときも一挙にほどこうとしてはいけない。はしの方から少しずつほぐしていけばいい、と。困難は分割する。
大学を出たら、自立できるようにしっかりとがんばってほしい。
坂口安吾は「青春論」で「青春再びかえらず、とはひどく綺麗な話だけれども、青春永遠に去らず、とは切ない話である」と書いている。青春してほしいが、いつまでも若いだけの人間であってはいけない。森田健作のようなイタイ大人になってはいけない。大人になることは素晴らしいことだ。
「汲む 〜Y・Yに〜 」 茨木のり子 『鎮魂歌』
大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました私はどきんとし
そして深く悟りました大人になってもどきまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです
☆やってみなはれ
大学生にあって、社会人にないもの。それはヒマである。金はなくとも時間はある。使わなければ損だ。何でもやってみよう。
分からなかったら、自分でやってみよう。小説家になりたいと漠然と思うのではなく、小説を書いてみることだ。どんな味か迷うよりは食べてしまえばいい。
「さよう」と、ドードー鳥が答えました。「それを説明する最上の方法は、それを実行することだよ」
---キャロル『ふしぎの国のアリス』(高杉一郎訳)それでも分からないことは、分からないと言おう。誰かが教えてくれるし、いつか解決法が見つかるかもしれない。
内田樹『こんな日本でよかったね』(バジリコ)には「私たちは学校の選択を間違え、就職先を間違え、配偶者の選択を間違う。それでもけっこう幸福に生きることができる」と書いてある。さすがに離婚経験者!離婚しない限り、再婚なんて芸当はできっこない(内田樹は2009年に再婚)。多少の失敗が許されるのが若さなのである。
0と1の間には、宇宙間ワープほどの距離がある。そんなことを思いついたのは、数年前のことだ。
0とは、何もないということ。何も動かない、何もしない。1とは、何かをするということ。ほんの少しの動きでもいい、ただ、それは10にも100にも繋がっていく。0と1の間は大きいが、1と2、1と100の差はさほど大きくはない。1以降は、同じグループに属するのだ。私は数学者ではないので、別に数学的な話でもない。ただ、やる、か、やらない、かは、まったく違う次元に生きることであると気がついただけだ。【…】才能とか運とかさまざまな条件差はあるとしても、私と彼らとの原初的な違いは、最初の小説を書いたか否かだ。ほんのちょっとの差だが、やる、か、やらないか。1か0か。差はほんの僅かではあるけれど、そこには人生を変えてしまう力が潜んでいる。
-----板東眞砂子 【アンケート】私たちは新人だった(『小説新潮』2007年12月号)経験はとても貴重なものだけれど、授業料が高い。だから、本も読もう。本はタダみたいなものだ。人殺しの経験がなくても作家は殺人事件が書ける。『菊と刀』を書いたルース・ベネディクトは日本に来たこともなく、日本語を学ぶこともなく、「日本の文化は恥の文化」という分析をやってのけたのだった。
口だけの批評家になってほしくないのだけれど、ジャクリーン・ビセットが主演した映画『料理長(シェフ)殿、ご用心』(WHO IS KILLING THE GREAT CHEFS OF EUROPE?)には印象的なシーンがある。主人公は毒舌の料理雑誌編集長なのだが、記事で厳しく批判された料理人が「自分で料理も作れないお前に、料理のよしあしの何が分かる!」と怒鳴ってくる。ところが、このデブの編集長はたじろがずに「では君はニワトリでもないのに、どうして卵の良し悪しが分かるのかね」と切り返す…。
失敗はとても大切な経験だ。失敗が必ずしも悪くないことさえある。ケネディだって、キューバ侵攻を失敗したが、このピッグス湾での失策がより人間的な大統領として支持されるように変えた。ただし、同じ間違いを繰り返していたら、誰も相手にしれくれないが…。
☆どこに住むか
寮に入れたら入ってもらいたい。3年になったら出ていいから、最初の間だけでも入っていてもらいたい。
それが無理なら、安くてきれいで、安全な場所が大事だ。便利なところというのも大事だ。スーパーの近くでなくてもいいが、帰りにはスーパーに寄れる場所がいい。どの町にも物価が安い場所というのがあるはずで、地元の人に聞いてみるといい。暗い夜道のない暗然な町に住んでほしい。
大学まで通学する時は、東京だったら、途中、新宿や渋谷、池袋などで乗り替えることができる方が便利だ。移動のお金がまるで違う。
そして、何よりも図書館に近いところにしよう。本が楽しめるし、調べられるし、クーラー代などの電気代を浮かすこともできる。AVが充実している図書館ならもっといい。本やAVは慌てて買うことはない。
□ 登山用語に「リングワンデルング」(環状彷徨、輪形彷徨)というドイツ語がある。濃霧などで方向を失い、同じ場所をぐるぐるさまようことだ、好天の下でも見覚えある場所に戻ってぞっとしたこともある。
迷ったら原点に戻るのが原則だ。「初心忘るべからず」なのである。と、言葉でいうのは簡単だが、初心は忘れられていくものだ。「ハネムーン効果」というが、誰だってスタート時にはモチベーションが高いものだ。それを自分の中でいかに保っていくか、が問題なのである。
☆みなり
「ネクタイは、締めている人より先に部屋に入ってくる」というのは、イギリス王室のファッションデザイナー、ハーディ・エイミス卿の言葉だ。見た目が9割とはいわないが、気をつけよう。清潔で目立たない服装をしよう。オスカー・ワイルドは「ネクタイを上手に結ぶことは、人生における重要な第一歩である」と書いているが、スーツを着るべき時はちゃんと着よう。いわゆるTPOにさえ気をつければいい。
☆学問
若いのだから焦ることはない。画家のアンリ・ルソーの代表作の大部分は税関を退職した後の50歳代に描かれている。ケンタッキーのカーネル・サンダースおじさんは63歳でフライドチキンを売り出した!
眠るジプシー女 1897 MoMA高校と大学の違いは定義だ。高校までは定義をしっかり覚えることが大切だったが、大学からは定義にあてはまらない例を見つけることが大切だ。教科書からどれだけ離れることができるのか、それが問題だ。
鶴見俊輔は『思い出袋』(岩波新書)の中で、「自分で定義をするとき,その定義のとおりに言葉を使ってみて、不都合が生じたら直す。自分の定義でとらえることができないとき、…すっぽりはまらないところに注目して、そこから考えてゆく」といい、「定義を覚えて、その定義にすっぽりはまる実例をひく。これは学生として試験の答案を書くときには適切な方法である。だが、学問を開拓するには、それは適切な方法ではない」という。しかし、「経験が定義のふちをあふれそうになる。あふれてもいいではないか、そのときの手ごたえ、そのはずみを得て、考えがのびてゆく」という。「明治の学校制度のはじまりから百三十年。欧米の先生の定義に合う実例をさがして書く答案がそのまま学問の進歩であるという信仰が、右左をこえて今も日本の知識人にはある。そこから離れた方向に、私たちはいつ出発できるのか」。
「大学とは、私の定義によれば、個人を時代のレヴェルになめす働きを担う機関である」ともいう。皮はなめさないと後々堅くなってしまうものだ。
勉強はとりあえず語学だけやっていればいい。今、大成している人はほとんどが語学で外国の学問を摂取して自分のものにしている人が多い。まず、語学だ。そして専門。それから定義を離れた研究に進もう。日本の5年後の問題や流行は今、アメリカで起こっている。第二外国語を学ぶことでアメリカ以外の文化がしっかりあることを学ぼう。個人的な趣味だが、できれば、フランス語を勉強しよう。
しょむない本だけど三浦哲『他人より先に洋書を読んで億万長者になりなさい』(中経出版)というのがある。洋書を読むのはコツがあり、ここで提唱されているのは次の通りである。「困難は分割する」などといわないで「困難はわんこそばにする」というべきだ。
フォーカス(明確な目標)
トップダウン法(まず全体像)
カレーライス法(知識を熟成)
心理的リアクタンス効果(reactance/限定すれば欲しくなる)
わんこそば効果(こま切れにして集中継続)
コントラスト効果(感覚をごまかす)
☆PC(パソコンについて思い付いたことを箇条書きしておく)
- ブランドタッチを2週間でマスターする。
- ウィンドウズよりもマックの方が使いやすいのだが、任せる。
- gmailを徹底的に使う。ファイルは自分宛にメールを送っておく。
- 「メール」を「めえる」で変換するなど、最初にある程度まとめて変換登録しておく。「ええ」でA、「びい」でB、「いいい」でEが出るように工夫している。
- バックアップを定期的に取る。
- ウィルスに気をつける。特にUSBからのウィルスが危険だ。
- USBメモリーは落としやすいので、持ち運ぶ時はキーホルダーにつけよう。
- 書類はpdfにして保存しておく。
- そのためにもコピーができる多機能プリンターを買おう。
- プリンターはインク切れをはじめ、いろいろなトラブルがあるから、早めに印刷しよう。
- 本当に使えるかどうか知らないが、落雷防止のタップを使おう。
- パスワードは3種類くらい決めて使い回ししよう。
☆知的生産(他のことでも同じで、基礎をきちんとしてしまった方がいい)
- 何か始める時は、どうすれば効率的か全体像を考えてから始める。
- 書類はみんなA4で統一して保存する。コピーも拡大・縮小してA4にする。
- 論文のコピーは奥付もきちんと取る(pdfにしてもよい)。
- ルーズリーフがいいかもしれないが、一冊のノートにしてもいいかもしれない。
- 分からないことは他人に聞く。英語の得意な人とパソコンの得意な友だちを確保しておく。
- テレビなんか見るな。テレビに消費する時間はおそらくネットに使ってしまっているだろうし、その分、本を読んでくれればいい。
- レポートは孤立しないで、友だちと仕上げてしまおう。
大切なことはメタ(高次/背後)で物事を考えること。一つの答えを見つけないこと。問題があったら、どうしてこういう問題があるのか、考えること。事件があったら、事件の背景だけでなく、報道する人のこと、ニュースのあり方なども考える。成功本があったら、これらの共通した法則は何か見つけることである。
☆成功本、自己啓発本の法則【信じるか、信じないかはあなた次第】
- 「ゴールセッティング」…「思考は現実化する」といい、「予言の自己成就の法則」があるというもの。
- 「目標の見つけ方…自分のやりたいことを最低10個、紙や手帳に書き出して眺める。逆に、自分のやりたくないことを書き出す。動機は不純なほどいい。
- 「アファーメーション」(肯定的自己催眠)「ビジュアライゼーション」(「成功した自分」を視覚化)…肯定的な言葉を繰り返すことで自己暗示にかけ、イメージトレーニングする。
- 「ポジティブシンキング」…いかにポジティブに思考し、行動するかが成功のコツ。
- 「利他の精神」と「マスターマインド」…周りの人に対する感謝の気持ちを忘れない。目的を同じくする他者の智恵や協力を得ること。周囲との良好な関係が「Win Winの関係」を作る。
- メンターやソウルメイト…導師や魂の友人の存在。メンターは自分が目標を見つけた時に現れる。ソウルメイトは家族であったり、幼馴染みだったりだが、運命的な出会いをするものだ。
「エメットの法則」というのがある。反対に明日できることを今日はやらないのを「マニャーナ効果」という。ラテン系の国では「アスタ・マニャーナ」という言葉があるくらいだ。
エメットの第一法則…仕事を先延ばしにすることは片付けることより倍の時間とエネルギーを要する。
エメットの第二法則…グズの原因の一つは、完璧さに対するこだわりである。
ちなみに目標を立てるには5つのことが大事で、SMARTの法則と呼ばれる。
S(Specific)…具体的であること
M(Measurable)…計測可能であること
A(achievable)…同意できていること
R(Real)…現実的であること
T(Timing)…明確な期日
☆手帳で管理
きちんと手帳を作ろう。メモでいいから日記も書こう。パソコンに10年日記を作って毎日書く習慣をつけよう。というと気が重くなるので、書ける日だけ書いて行こう。そうすれば、二年後、三年後にはどの日も埋まるはずだ。三日坊主も百回続ければすごいことになる。
頭に貯めずに、メモとして吐き出した方が生産的だし、夢を曖昧にしたままでは実現しない。思い、考え、書く、思い、考え、書く…の循環にする。
「『時間管理のマトリックス」を意識しよう。コヴィー『7つの習慣』(キング・ベアー出版)に出てくるもので、仕事は振り分けて片づけてほしい。特に、第二領域(緊急ではないが重要な事)に集中することが大切だ。
自分史も書こう。大学生の場合は過去を書くのではなくて、未来を書こう。
☆生活
きちんとした生活を送ろう。習慣は人格を作って、人格は運命を開く。早寝早起きが大切だけど、無理はしないでいいと思う。
ゴミをちゃんと出そう。分別しないで出してはいけない。中を開けられて文句を言ってくる人もいるからってこともないが、注意しよう。
何よりも火事に気をつけよう。保険にも入っているか確かめよう。
「世界がほろびる日に」 石原吉郎
世界がほろびる日に
かぜをひくな
ビールスに気をつけろ
ベランダに
ふとんを干しておけ
ガスの元栓を忘れるな
電機釜は
八時に仕掛けておけOn the Day the World Ends
On the day the world ends
don't catch cold,
and watch out for the flu.
Don't forget to air out
your bedding on hte balcony.
Make sure the gas is turned off.
Set the timer on your rice cooker
for 8:00 a.m.アーサー・ビナード『日本の名詩、英語でおどる』(みすず書房)
習慣は第二の才能ともいわれる。新しい行動で習慣の上書きをすることが大切だ。
仕事を始める前に、段取りを考えよう。「段取り力」というのは斎藤孝に言われなくても重要だ。どうすれば効率がいいか、考えてから仕事をしよう。
たまにはプチリセットしよう。服を替えるだけでリセットできるかもしれない。八方塞がりというものは絶対にない。閉じたドアを眺めていないで、どこかにある抜け道を探そう。人生は負けないようにできている。
七つの習慣
第一の習慣:自分が選択する
第二の習慣:終わりを考えてからはじめる
第三の習慣:一番大切な事を優先する
第四の習慣:Win−Winを考える
第五の習慣:まず相手を理解してから、次に理解される
第六の習慣:相乗効果を発揮する
第七の習慣:自分を磨く「行動力=始める勇気+継続する力」である。簡単に夢を持てといっても分からないことが多いが、それでも一歩ずつ前に進もう。
☆料理
大学に合格して、下宿することになった私にしっかり者の母が、近所の商店街で買ってくれた、ありふれた大、中、小の鍋。この鍋を使って、私は料理を覚え今では、フードプロデューサーという肩書きまである。取材でわが家を訪れただれもが驚く。
どの鍋も、取っ手がとれていたり蓋がなかったり、底が焦げついていたり、とんでもなくみすぼらしいからである。
でも、この鍋とともに私の青春と母にもらった平穏な幸せがある。
角田光代『Presents』 (双葉文庫)「鍋セット」料理は朝とか夕飯など自分で作ろう。簡単なものだ。その代わり、材料をケチるな。バラエティに富んだ内容にしよう。 『この森で、天使はバスを降りた』という暗い映画があるが、怪我をした主人の代わりにお店をまかされたパーシーという女性が作る料理はどれも真っ黒こげでぐちゃぐちゃ。「ごめんなさい。ファーストフードで育ったから」というのだが、そんなふうにはなってほしくない。ちょっとだけでも料理をしよう。料理の本を読んでみよう。
自炊の基本は料理しながら片付ける、である。チャーハンは卵を先に入れよ、というのも千野栄一先生から学んだ。 野菜が不足したらカット野菜でしのいでもいい。インスタント食品でもいいが、必ず野菜をとろう。 一人暮らしには鍋物がいい。小さい圧力釜を買ったらいいかもしれない。 IH過熱器でもいいと思う(タイマーを癖にしておいて)。そうそう、お茶は粉末ので我慢できたらそれでいい。ポットは使わずに、瞬間で沸くポットを使おう。 電子レンジを買って、ご飯は炊いて食べたら冷蔵庫に入れて、保存して食べよう。電子レンジがあれば、冷凍食品も多く使えて料理が広がる。 スーパーは閉店間際に買った方がいいことくらい、誰でも知っている。家族がいる時は別だが、一人暮らしならそれに合わせて生活もできるはずだ。 食中毒には気をつけよう。一度、弁当が腐っていて死ぬ思いをしたことがある。賞味期限はしっかり見よう。特に生ものとその保存には気をつけよう。
☆出会い
何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するのを助けるのだ---パウロ・コエーリョ『アルケミスト』(角川文庫)
吉田修一『パレード』(幻冬社文庫)で主人公の良介の家は地方で小さな寿司屋を営んでいるのだが、母親は大学での上京に反対だ。けれど、父親は「良介には東京に出て、もっといろんな人と知り合いになってほしいじゃねえか。だろ? たとえばよ、土佐で鰹の一本釣りやっている男の息子だとか、京都の老舗料亭の息子だとか、北海道で酪農やっている人の娘さんでもいいよ」といって説得する。
良介はいろいろな知り合いが増えなかったのだが、ある時、顔見知りの学生に「お前のお父さんって何やってる人?」と聞く。そして公務員と答えられると「…お父さん、とりあえず金沢の公務員の息子は確保しました」とつぶやく。友人が大切だ。
そのためには、出会いを大切にしよう。セレンディピティが大切だ。レセプター(感度)を磨いておけば、必要なものは自然に集まってくる。
「偉大な成果は偉大な質問から始まる」と言われるように、知らないことは謙虚に聞こう。親切な人は恩師にしろ、友達にしろ多い。
友達はいっぱい持っていた方がいいことに越したことはない。でも、無理に作ろうとしなくていい。自然にできるのが友達だ。ただ、パソコンに詳しい友達と情報通の友達は確保しよう。というか、大事にしよう。
そして何よりも自分の仮説をぶつけあえる友達を持とう!
□ 目標とすべき恩師を見つけることも大切だ。師は自分で探せばどこにでもいる。
人に世話になることを躊躇するな。
“The Reverend Mother always says,`When the door closes, someone opens the window.`”
---The Sound of Music
「修道院長が常々おっしゃっておられます。“ドアが閉まられても、必ず窓を開けてくれる人はいるものです”って」
『サウンド・オブ・ミュージック』
ベンジャミン・フランクリンは、気難しくて冷淡な、ある議員の協力を得たかった。 しかも、頭を下げて取り入ったりせずに。彼は議員がもっている貴重な本を貸してくれないかと訊ねた。次の議会で顔を合わせた時、珍しく声をかけてきたという。「誰かに親切をほどこした人間は、相手にもっと親切な行為をしたいと望む」と書いている。これを「フランクリン効果」と呼ぶことがある。
トルストイも「私たちが人を好きになるのは、相手からしてもらったことのためではなく、自分が相手にしてあげたことのためである」という。これは星の王子さまがわがままな赤い花にしてあげる行為と同じである。若いのだから、遠慮なく、大人のお世話になろう。先輩に面倒をみてもらおう。友達に親切にしてもらおう。
☆お金
エリザベス・テイラー「お金がすべてじゃないわ」
ジェームズ・ディーン「持ってる人はそう言うんです」
(映画『ジャイアンツ』)お金を馬鹿にしてはいけない。大切に使わなければならない。お金で人に裏切られることもあれば裏切ることにもなる。友だちに貸す時は返ってこないものだと思って貸せ。保証人には絶対なるな。保証人になったりするくらいだったら、そんなことはできないからと可能な限りのお金をあげてしまった方がいい。
お金で済むことはお金で済ませろ。万が一、借金しそうだったら、親に相談しろ。まとまったお金はもっている。宝くじは絶対に買ってはいけない。あれは統計学を学ばなかった人に対する税金だ。
株には手を出すな。そんな時間があったら、別の勉強をしてほしいし、証券会社がうるさくつきまとうようになったらおしまいだ。
チャップリンは貧しかったが、『自伝』で貧しい時代の体験が大切なものだったという考えには反対している。貧しさは性格のいやしさを作る。貧しいことがいいいことだなんてどうして言える、と怒っている。
だからこそ、冒頭のチャップリンは「勇気と想像力とわずかのお金」と言った。お金がなければ何も始められない。
金の力で活きておりながら金をそしるのは、産んでもらった親に悪態をつくのと同じである---夏目漱石 どうせお金を使うなら最初に使った方がいい。何かをしてもらって「ありがとう」とプレゼントを渡すよりは何かをしてもらう先に渡した方がいい。海外旅行でもそうだ。金持ちになったら行こうと考えずに、早めに行ってしまおう。その方が生涯、思い出を楽しめる。後で取っておこう、などとは考えない方がいい。初期にうまく投資することができたらとてもいい。
Dear Dad、
Thing$ are pretty good here at $chool. Plea$e gue$$ what I need mo$t de$perately. I hope that you can gue$$ what I mean、and $end $ome $oon.
Be$t Wi$he$、$on.Dear Son、
NOthing ever happens here. I am pleased to kNOw that you are getting along better NOw. White aNOther letter soon. As I have NO news、I must close NOw.
Dad.
☆バイト
バイトは家庭教師以外はするな。その分、勉強してくれた方が進学コストに見合っている。受験テクニックを忘れないためにも家庭教師をしよう。学生課に行けば教えてもらえるはずだ。でも、サークルなどで忙しい時はそちらを優先させなさい。
☆旅行
最近の若者は海外に憧れないというが、長期休暇の時は外国に行こう。日本もいいけれど、刺激はやっぱり外国の方がいい。安藤忠雄だって、若いころはヨーロッパを放浪したものだった。お金は自分で出すように。土産はいらない。
☆本の利用のしかた
本をたくさん持っていても何の価値にもならないことは僕の家を思い出せばいい。引っ越す時にも面倒だ。価値のある本だけを持つようにしよう。
本といっても2種類ある。楽しむ本と調べる本だ。楽しむ本は図書館か、文庫本を利用しよう。文庫本は持っていても後にタダ同然となるものだと思っていてほしい。楽しむ本を大量に読むためには県立か市立図書館の近くにアパートを持つようにしよう。大量に読んでいる人と全然読まない人では話をしていてもまるで違う。理系だったらよけいに文系の本を読もう。小説を一冊読むことで、別の誰かの人生を体験することができる。人生の幅が出てくる。
調べる本も図書館に行けば大抵、揃っている。大学図書館は充実しているからなるべく利用しよう。
□ タモリは「テレビは見るもんじゃない、出るもんだ」と言ったが、「本は読むもんじゃない、書くものだ」。
そうそう、論文はいっぱい書こう。そして、なるべく若い頃に無理をしても本を出そう。本を書こう。一冊書けばそれが呼び水になるはずだ。
☆買い物
ものは買わないようにしよう。特にコレクションにはまるのはいけない。コレクターというのは上には上がいる訳で、最後はお金の問題になってくる。もちろん、お金では買えないものもいろいろあるが、最終的にはどれもお金で換算されることになるからだ。
ものは増えるだけだ。買わない方がいい。それでも必要なものは買うしかない。迷った時は買うのを止めよう。そのうち、もっといいものが安く手に入る。早く買っても、後から安いお金で買った連中がよりよい製品を持っていると腹が立ってくる。
□ デパートでものを買うのはやっぱり高い。コンビニも同じだ。なるべく大学の生協かスーパーを利用しよう。
ものを買うのはセールの時にしよう。慌てて買うべきものなどないからだ。例えば、ユニクロなら土日にセールの対象になったものを買う。それ以外は我慢する。少し待てば必ず安くなる。なくなっても心配しなくてもいい。今度はもっといいものが出てくる。同じものでも、安いところを知っていれば生活が楽になる。慌てて物を買うことはない。
☆交渉の仕方
交渉というのは相手を騙すことではない。自分も相手も納得して新しいことが起きることだ。その意味では調整型の人間になってほしい。
交渉で大切なのはタイミングだ。相手の気分の悪そうな時に交渉するのは愚の骨頂だ。タイミングを待つことが大切だ。
□ 5万円の借金をしたい時は最初から「5万貸して」といわない。「百万必要なのですが…」というべきだ。相手はびっくりしてそんなに貸せないというだろう。その時に初めて金額を下げて行く。10万も出せない、といわれたら、「じゃあ、5万」といって交渉を成立させよう。
ただ、この手は僕が教えたのだから、僕には使わないように。
□ 相手にNOと言わせない言い方がある。「今度デートしない?」と聞くのではなくて「コンサートと映画とどっちに行きたい?」というように話しかける。
そうそう、何かを言って相手が納得しない顔をした時には「というのは、まあ、普通の人の言うことだけど」といって意見を変えるべきだ。
☆考える
フェルミ推定を学ぼう。最近では細谷功『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)などいう本がある。
野口悠紀夫の『超「超整理法」』もいい。gmailの使い方だけだ。どんな書類も自分のアドレスに送っておけば、いつでも、どこからでも取りだせるということだ。
□ ま、自分で考えることだ。ただ、先行業績があるから、しっかり調べる。車輪を再度発明するようなことはするな。
☆盗難
どんなに謹厳な人の集まりでも盗難はある。自衛するしかない。保険証だけは絶対になくさないで!
自転車には鍵を2つつけよう。パソコンの管理も徹底しよう。
不用意にお金を扱わない。お金は分散して持っていよう。財布は紐をつけよう(着脱式のを百円ショップで買えばいい)。
☆マスコミ
大学院までの6年間くらいテレビを見ないでも構わないと思う。まあ、ワンセグで見ることも可能だから、ニュースくらいはチェックしてもいいが、ドラマは時間の無駄だ。それだったら、映画を観た方がいい。ビデオを借りるのはいいけれど、会社に入ってから暇な時に見れば充分だ。それよりは映画館で映画を観た方が感動も大きい。
□ 新聞は取らなくてもいい。そんな時代になった。ネットで充分だからだ。ただし、図書館で新聞や雑誌に目を通すようにはしよう。
☆人生
「おれさあ。父さんのようになりたくないって言っただろう。」
「ああ。」
「深い意味は、ないからな。
「ああ……。だけど、父親のようになりたい子どもなんて、気持ちが悪いぜ。」
「そうかな。」
「そうさ……。」
阿部夏丸『父のようにはなりたくない』三つの自分を生きなければならない。いずれの場合もオンリーワンになって隙間を狙うことだ。自分しかできない分野を見つけることだ。
ブランド・パーソン……個人としてキラキラ光りながら生きる
ビジネス・パーソン……(企業人)として生きる(会社を自己実現のパートナーにする)
ソーシャル・パーソン…世間のために役に立つバートランド・ラッセル(1872〜1970)は、『幸福論』(岩波文庫)のなかの「家族」の章で次のように述べている。
…特に青年時代が過ぎてから、この世で幸福になるためには、自分のことをまもなく一生を終える孤立した個人として感じるだけでなく、最初の胚種から遠い未知の将来へとどまることなく流れていく生命の流れの一部だ、と感じることが必要である。
誰もがいつの間にか進化している。焦らないことだ。そうそう、「鈍感力」も大切だからね。世間に惑わされてあまり敏感に反応しないように。政治に興味を持つのはいいが、政治家になってはいけない。
□ 焦るな!アラブでは「急いでいると悪魔が手伝う」というらしいが、じっくりとした仕事をしてほしい。
村上春樹は『そうだ、村上さんに聞いてみよう』で「三十歳成人説」を唱えていた。「三十まではいろんなことをやってみて、三十になってから人生の進路をはっきりと決めればいいじゃないかと」いう。春樹は大学を7年かけて卒業し、ジャズ喫茶の経営を経て三十歳でデビューした。三十歳説は、そんな経歴を踏まえたもののようだが、僕にはそこまでの体力はない。博士課程までは面倒をみれるだろうが、その後は自分で考えてくれ。
God Bless The Child
Billie holiday / arthur herzog jr.Them thats got shall get
Them thats not shall lose
So the Bible said and it still is news
Mama may have,
papa may have
But God bless the child
thats got his own自活する子供を神は祝福する
(村上春樹訳『村上ソングズ』中央公論新社)持てるものはさらに富み、
持たざるものはさらに窮する。
聖書の言葉だけれど、今でもそれは同じこと。
お母さんが何を持っていようと、
お父さんが何を持っていようと、
神が祝福するのは、自らの手で
生きていく子供だ。
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